①プーチン氏「犯罪であり処罰する」 ウクライナ軍のクルスク州越境攻撃
2024/8/21 07:49
https://www.sankei.com/article/20240821-ZPSGTDFU3NPXDIB63SDVDAGR7Y/
西側のメデイアはロシアの混乱ぶりを報道し、ロシアの軍事ブロガーは危機を煽り立てているようです。
実際に12万人以上の地域住民が強制避難したわけですからクルスク州は大混乱にあると思います。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/08/post-105364.php
ロシア軍の方は、完全にノーマークでウクライナ軍が荒らし放題でやっと2週間後の今、ロシア各地から動員されたロシア軍が迎撃を始めたところです。
1200平方km以上を占領したようですから、相手の軍隊がいないところを占領するのは、実に簡単です。
いつもは過激な発言をする面々もなぜか今回は静かです。
一応、聞こえるのは①のプーチン氏の発言だけです。
『20日、ウクライナ軍による露西部クルスク州への越境攻撃や、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州に対する攻撃は「犯罪」だとし、関与者を「処罰する」と表明した。』
越境攻撃を「テロ攻撃だ」とも発言しています。
一つには、戦争を拡大させない意図があると思います。
「特別軍事作戦」と「テロ攻撃」にしておけば、NATOとの戦争ではないことになります。
もし、プーチン氏が「NATOの侵略だ!」と発言してしまえば、どうなるか❓
ロシア国内では、一気にNATOとの主戦論が強まると思います。そうなれば戦時体制に移行して国家総動員になるでしょう。
ウクライナどころかポーランドやバルト3国まで占領しろ!と言う話になると思います。
もうロシア国内では過激民族右翼が跳ねくりかえっていると思います。「ポーランドやバルト3国まで占領しろ!」とか「キエフに戦術核を叩き込め!」とか普通に聞くと恐ろしい話が、飛び交っていると思います。
うっかり、これに火を付けるようなことをしてしまえばプーチン氏であろうと制御不能になると思います。
だから、「特別軍事作戦」と「テロ攻撃」にしておく必要があるわけです。
(2)だからと言ってロシアが対応を躊躇うというわけでは、ありません。
対応には時間がかかるだけの話です。
今は、応急処置で現地にいる部隊でウクライナ軍の進撃を止めておいて、更にロシア軍の集結を待っている段階でしょう。
1200平方kmの面積を包囲しようと思えば、5万人程度の兵力が必要だと思います。
緊急に派遣したのは、1~2万人程度だと思います。
その人数で取り敢えずウクライナ軍の進撃を阻止しておいて、本格的な対応は、残りのロシア軍が集結した後だと思います。
これだけの人数の補給体制を整えるのだって相当大変です。遠方からくる部隊は、武器装備を輸送しなければなりません。砲弾やミサイルやドローンの備蓄も必要です。
などなど考えてもかなりの時間が必要だと思います。
(3)出来る部分は、もう始まっています。
滑空爆弾は、戦闘機から撃ち込みますので目標を変えるだけですから、もうたっぷりと投下されています。
1日の分量が100発程度で、その半分(50発くらい)が優先的に、後方の補給・輸送ルートであるスームイ州に撃ち込まれているようです。
(その意味では東部戦線に投下される滑空爆弾の量は半減しました)
もう10日常経過していますから大雑把に計算しても500発以上の滑空爆弾がスームイ州に撃ち込まれたことになります。相当、被害が出ているでしょうね。
一方で、ロシア軍の方も砲弾やミサイルやドローンは、クルスク州の部隊に優先的に配分されていると思います。在庫を気にせず「思いっきり!」クルスクにいるウクライナ軍に打ち込んでいると思います。
加えてウクライナ軍も後半になるとロシア軍の陣地攻撃になっていますから、かなりの損害が出ていると思います。
ウクライナ政府の発表は、「1200平方km以上を占領した」と誇らしげですが、それに対する損害もかなりのものだと思います。
『ゼレンスキー氏、攻勢・和平両面で圧力 ロシアは交渉の可能性否定』
https://www.afpbb.com/articles/-/3534518?cx_part=top_category&cx_position=3
ウクライナは、『ロシアに対し、和平交渉再開に向け圧力を強めている。』のだそうです。
一発拒否されるでしょう。
こうなればロシアは停戦は必要ありません。
むしろウクライナ軍の最後の精鋭機甲部隊とそれに付随する武器を破壊するチャンスです。
それが、それほど広くないクルスクのウクライナ軍の占領地でウロウロしています。
多分、結果としてロシア軍は喜んでいるように思えます。
これが広い東部戦線に散らばっていれば、撃破するのは大変です。
それが、まとまっているのですから嬉しいでしょう❓
だからロシア軍としては、ウクライナ軍の精鋭機甲部隊が出来るだけ長く占領地に留まることを願っていると思います。
更に言うなら西側の特に戦車は、1回屋外で使用すると1か月くらいのメンテナンスが必要なんだそうです。ロシアのオンボロ戦車みたいに連続使用できるほど頑丈ではないのだそうです。しかもウクライナ国内では、出来ません。
つまり、今回の作戦に投入した西側の戦車は今後3か月くらいは実戦に投入できません。
ウクライナ軍の精鋭機甲部隊が無事、ウクライナ領に撤退できるかどうかは、今後に大きな影響があります。撤退できなければ、なくなります。
Forbesの記事によると都合7個の精鋭機甲部隊が投入されていますから、これが壊滅するとウクライナ軍の戦闘力は大きく失われます。
そしてスームイ州では、既にかなりの被害が出ていると思います。
クルクスのウクライナ軍を撃破したら、その勢いでロシア軍が緩衝地帯を作るのを口実にスームイ州に雪崩れ込んでくるでしょう。
復讐の念に燃えたロシア軍は、優しくはないと思います。
ロシア政府だって、思いっきり!やりかえさないと立場がありません。
むしろロシア国内から部隊を動員する口実が出来て助かっている面の方が、大きいような気がします。ウクライナ戦線に送るためには、動員できない部隊です。
西側諸国も相当、疑惑の目でウクライナを見ているでしょうね❓
「武力による国境変更は断じて許さない!」
あれは、どこに行ったんでしょうね❓
西側諸国が言い訳に苦労するのは、間違いないです。
西側の武器も「どっさり!」ロシア領で使いました。
吠えない犬ほど怖い・・・のかも❓
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27