「北の山・じろう」日記

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東部戦線アウディイウカの攻防と双方の今後の作戦計画<ウクライナ紛争2023年10月

2023-10-13 18:15:17 | ウクライナ紛争

ウクライナ東部で総攻撃 包囲進むアウディイウカ―ロシア軍
2023年10月11日06時53分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023101100290&g=int

ドネツク州アウディイウカАвдіївкаは、ロシア軍が今年に入ってから攻略しようとしてきましたが、これまでは失敗してきました。
アウディイウカАвдіївкаの位置は、州都ドネツクの北にあります。その更に北東にロシア側の都市ゴルロフカГорлівкаがあり、ウクライナ軍のドネツク市に迫る最前線です。

ロシアの作戦計画にも疑問があり、ここを放置してリマンЛиманやハルキウ州クピャンスクКуп'янськ方面をかなりの兵力を集中して攻撃していました。東部で占領地を拡大しようとしていたのでしょうね。しかし、東部から部隊を引き抜いて南部戦線に援軍を送っていると思います。

そのため攻撃することが出来ず東部ではロシア軍は作戦を変更したと思います。拡大ではなく防御です。アウディイウカАвдіївкаをロシア軍が攻略できれば、ロシア側のドネツク市の防衛がより強固になります。逆にウクライナ軍はドネツク市に迫る最前線の拠点を失います。

アウディイウカАвдіївкаは、2014年からロシアの勢力のドネツク州侵略を妨げてきた重要拠点です。攻略したくても出来ない拠点でした。それをもし制圧できればロシア軍にとっては、大きな収穫です。

ウクライナ軍の前線は、その大分北にあるコンスタンチノフカКостянтинівкаまで後退せざるを得ないと思います。コンスタンチノフカはバフムトの西のウクライナ軍の拠点都市です。その分、ロシア側のドネツク市は安全になります。

ほぼロシア軍にとってもウクライナ軍にとっても戦況は膠着状態にあり、今後に向けてどのように戦い準備するかの段階に入ってきました。今となっては、ロシア軍は南部では徹底的な防衛戦を戦い、東部では占領地の防御を徹底的に固める作戦に出始めているように思います。

つまり領土の拡大は、いったん中止して今占領している領土を守り切る戦略です。

但し、いつまでもそうであるわけではないと思います。今年は現状を守り切り、来年ロシア軍の方の武器装備が補充でき人員の補充が出来れば、また違う作戦をとると思います。これが、ロシア側の作戦だと思います。

ロシアT-90戦車の損失増加は「新規生産分の投入」が増えたから
2023.10.10
https://forbesjapan.com/articles/detail/66543

これまでロシアは、月間20両程度しか戦車の製造が出来ませんでした。それが最大90両まで引き上げられているようです。
イランのドローンのロシア国内での製造工場は、来年1月に完成するようです。
北朝鮮からかなり大量の武器を買い付けたようです。すでに北朝鮮側で貨車に積み込まれておりこれからロシアに運び出されるでしょう。

今年は、ロシアの武器生産能力が低かったから旧式の兵器を細々と前線に送っていました。来年は、新型の武器がどんどん前線に送られてくると言うことです。

ウクライナ軍は、それを見越して作戦計画を立てる必要があります。南部戦線の進捗状況は今見ている通りです。今の段階でアゾフ海側に到達できていないのは、ウクライナ軍の作戦計画は失敗していると言うことです。

そうすると今後ウクライナ軍に必要なのは、今のロシア軍と同じ発想です。これまで奪還した領土を再び奪われないように守ることです。具体的には南部でロシア軍がやって見せたように勢力の境界線上に堅固な要塞のラインを建設することです。

堅固な防御網があれば、ほとんど攻略することが不可能だというのは、ウクライナ軍が今年体験しているところです。

ここまで戦況が膠着してしまえば、守ることを考えるべきだと思います。攻めが途切れてしまったところで準備した相手が反撃に出てくれば非常にもろいです。それは2022年秋ロシア軍がハルキウ州で大敗北したのを見れば分かります。

ロシア軍は、来年それを狙っていると思います。今年は武器装備の備蓄と兵員の増強をするでしょう。それを投入してくるのは、来年だと思います。早ければ年明けに東部戦線で充実した武器装備で攻勢をかけると思います。それに対する準備を、今しておかないと危うい状況が生まれるかもしれません。

つまり南部戦線のウクライナ軍の攻勢は成功が見込めない以上、その次に予想される戦いの準備を始めるべきだと言うことです。無駄な消耗を避けて武器装備と兵力を温存して堅固な防御網を建設するべきでしょう。

攻め切れなければ守りを固めるしかありません。

※ウクライナ軍にとって不気味な事があります。
ロシアは、今年に入って30万人以上の応募兵があったと言っています。プーチン氏もセルゲイ国防相も発言しているから事実なのだろうと思います。
その30万人が、前線に配備されている様子がありません。理由は、武器や装備がないからです。武器と装備が準備されて武装出来れば、おそらく前線に出てくるでしょう。来年、そうなる可能性があると言うことです。

それを見越してウクライナ軍は、準備しておかないと来年、飛んでも無いことになるかもしれません。来年に向けて作戦計画を考えるべきだというのは、このような事情を踏まえてのものです。



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