まずは、イランの大統領・外相・イラン国民にお悔やみを申し上げます。
私は国際政治と言う意味では、中立の立場です。
その視点から見ると、アメリカもヨーロッパもロシアもイランも全部同じです。どの国が正しくどの国が悪いとは考えていません。
欧米のプロパガンダとフェイクニュースにすっかり騙されて反省しました。
私が最も嫌うのは、ダブル・スタンダードです。
その視点から見ると欧米は、ダブルスタンダードそのものです。
ガザ紛争やウクライナ紛争を中立の立場から見れば、それが嫌になるくらい分かります。
最初、イスラエルかアメリカの謀略を疑いました。
『イラン大統領ヘリ墜落、原因は不明 「米国は関与せず」=米国防長官』
By ロイター編集
2024年5月21日午前 4:16 GMT+928分前更新
https://jp.reuters.com/world/security/JGXKZBM3NJORFGSLVBOENSC4FE-2024-05-20/
疑いをかけられそうなアメリカは、早速言い訳をしました。
もっとも事故当時の現地の気象状況を見ると、山奥のダムの完成式に出席し、次の目的地に移動する時に事故に遭遇しています。スケジュールがあったから移動を強行したのであろうと思います。
現地では濃霧が立ち込め断続的に雨が降る悪天候だったようです。
有視界飛行のヘリコプターが飛行してはならない気象条件です。周囲が見えなければ山肌や樹木などの障害物が見えません。気流も不安定な空域もあります。だから通常ならヘリコプターの飛行は絶対に避けると思います。
それを強行したのが事故の原因だと思います。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024052000175&g=int
※ここから見えてくるコーカサスの国際情勢の大きな変化があります。
イラン北西部とアゼルバイジャンの国境地帯の山奥のダムの完成式に出席したとあります。
ダムがどちら側にあるのかは記事からは不明ですがアゼルバイジャンとイランの共同事業のようです。
そして事故後、すぐトルコがドローンを飛ばして捜索に協力し、ロシアも協力を申し出ました。
以前は、イランはアルメニア経由でロシアとの陸路を確保していました。アルメニアとアゼルバイジャンの戦争が終結し、イランとアゼルバイジャンの関係が深まっていることが分かります。
アルメニアは山の中の国家です。そこを通るよりカスピ海側のアゼルバイジャンを通る方が平坦で安全な道です。
もちろん、アゼルバイジャンはトルコの弟のような国です。
トルコとイランも様々な協力関係が出来ました。
だから弟分のアゼルバイジャンとイランも関係が深まったのであろうと思います。
これまでコーカサスの勢力関係は・・・
トルコ=アゼルバイジャン
ロシア=アルメニア
こうなっていました。この関係を固定していたのが、アルメニア・アゼルバイジャン戦争です。
以前は、トルコとロシアの対立もありました。
トルコとロシアの関係は、対立から友好に劇的に変化しています。
そしてガザ紛争を契機に一気にトルコとイランの関係も深まりました。
アルメニア・アゼルバイジャン戦争の終結とガザ紛争が、一気にロシア・トルコ・アゼルバイジャン・イランの関係を深めました。
ほぼコーカサス同盟に近いですね。
コーカサスから欧米の勢力は、ほぼ排除されたと言っていいと思います。
欧米にすり寄っているのはアルメニアですが、山の中の孤立した小国です。周囲が敵対的な国ばかりですから陸路すらありません。アルメニアが逆らえば、即陸上封鎖されます。その意味で以前は貴重だったアルメニアのロシアとイランを結ぶ陸路の役割は、なくなりました。
ロシアの立場から言うと、ロシア~アゼルバイジャン~イランの安全な陸路を確保したことになります。
そしてアメリカが狙っていたアゼルバイジャンの石油も、ほぼアメリカの手から離れたと言えます。
コーカサスの覇権とアゼルバイジャンの石油はアメリカが1990年代の半ばから手を付けていた場所です。
アメリカのコーカサスへの影響力は、ロシア・トルコ・アゼルバイジャン・イランのかなり強い友好関係により排除されたと言えます。
ロシア外交が勝利したわけではありませんが、アメリカ外交はコーカサスで完敗しました。そして元には、戻らないと思います。
似たような事例は、結構ほかの地域でも見られます。
アメリカのウクライナ紛争とガザ紛争におけるダブル・スタンダード外交が、アメリカの敵性国家の友好関係を深め、あるいは団結を呼び寄せています。
ロシアと北朝鮮の準軍事同盟と言える関係もウクライナ紛争が生み出したと言えます。イランとロシアの関係も同じですね❓
そして今では、北朝鮮とイランの協力関係も復活しようとしています。
ダブル・スタンダード外交(または政策)をやっていれば、欧米以外の国々の反発を招き結果として欧米以外の国々の多くが欧米から距離を取り、場合によっては団結すると言うことです。
欧米は、どうしてもその理屈が理解できません。
昔、欧米の力が圧倒的に強かった時代の自分たちの主張を押し通す外交や政策を行おうとします。
第三世界の経済力や政治力が、世界に占める割合が大きくなった現在は、それは無理筋です。
力ではなく話し合いでアプローチしないと、欧米は益々世界の中での比重が軽くなり、影響力は減少すると思います。現に、そうなりつつあります。
欧米が理解できないうちに国際情勢の大きな変化が起きています。
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項目「ロシアと周辺国」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/c/a23a051cf8ecfe4e9a324034dc37f999