モデラート38号ができました。
モデラートは和歌山市の岡崎葉さんが発行しているポエムマガジンです。
わたしは、“いちかわかずみ”の名前で参加しています。
今回は、第4回モデラート賞の発表がありました。
モデラート賞とは、個人詩誌が出している賞であり、対象は詩人です。その理念は、人々の心を打つ作品を書き、詩人としての生き方がおしゃれで優しい詩人に贈られる賞。
受賞者は新井啓子さん。(群馬県前橋市)
『分水路』(モデラート掲載)の中で、気になる一節を紹介させてください。
「誰もが知っていて 誰もが行ったことがない その行程を流れている
深みの奥は定かではないが 川沿いの道にはときどき 丸い言葉が
ころがっていて 投げ入れるひとがいる
ぽ
ぽぽろおーん ほっ
そのとき川はかすかに振り向く (以下略)」
川はどこに行くのかわからないままに設けられた水路を行く。
それは誰もが知っていて、しかし、誰も行ったことがない。
かつて、兵庫県の氷上町にある「水分かれ公園」に行ったことがあります。
ここから瀬戸内海(太平洋側側)へ、ここから日本海側へ、
分かれて流れていくという場所に立った時に感じた不思議な気持ちを思い出しました。
私が紅葉した葉っぱだったら、自分の意志はすべて自然任せ。時々、人工物にもお任せ。
どこに行くのかハラハラドキドキ。期待半分、不安半分。
「ぽ
ぽぽろおーん ほっ」
このオノマトペ、おだやかなやさしい気持ちになれます。(^_^)/
新井さんの水三部作、とりわけ第三詩集『遡上』が読みたくなりました。
(タイトルが気になって)
私の作品を紹介して終わりにします。
チェンジ
イチローがマリナーズのトップバッターから
ヤンキースの8番打者になり
北島康介がロンドンオリンピックで
個人メダルを逃した時
新旧交代のサインは出ていた
それは真か偽か
否、潔しと言いたい
この春に母が亡くなった
「お風呂でね、ゆっくり気持ちよく入ってるとね、
このままぽっくりいったらいいな、と思うんよ」
常々そんな話をしていた
その通りに逝ってしまった
古きものは
新しきものに
申し送りをすませて
期待と言う名のたすきを
未来にかける
母の申し送りを
私は聞いたのだろうか
もっと
生きたら
わかるだろうか
たすきをかけさせられた世代が
一所懸命走っている
それを
私は静かに見ている
ポエムマガジンModerato(モデラート)第38号(年2回発行)