藤田けい☆幸せブログ

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明るい気分になってもらえたら嬉しいです。

技芸天の絵刺繍

2010年09月12日 | 日記
土曜日の番組終了後、奈良町の音声館をのぞいてみたら、仏像の写真が壁にかけてありました。
 「お邪魔しま~す」入ってみると、明日から始まるギャラリーの作品搬入中。

作業の邪魔をしないように、そ~っと見せてもらうことに。
 「あ、写真じゃなくて油絵だった」私の独り言を聞きつけて、音声館の男性スタッフの方が
 「いえいえ。驚いちゃいますが、なんと刺繍ですよ」と笑っています。

仏像の腕の血管が浮き出ているところまで写実的に再現されています。
フェルトに刺繍された、温かみのある作品もありました。
どの作品にもタイトルはないのですが、その中に親しみのあるお姿を発見

 「わあ、秋篠寺の技芸天
 「まあ!お分かりになりますの?」と、女性の声。

振り返ると、いつのまにか私のすぐ後ろに、優しい笑顔を浮かべた70代の女性が。
刺繍作家の伊藤範子さんでした。

作品の搬入作業を担当していた息子さんと彼女は、ギャラリー開催前に、ふらりと入ってきた私に
1時間にわたって、お話を聞かせてくれました。くわしくは月曜日の番組でね

60代初め脳卒中で倒れた母を、あきらめずに毎日5,6時間マッサージし続けた息子さん。
彼の勧めで、リハビリを兼ねて始めた自分流の刺繍絵。
心を込めて、何ヶ月もかけて仕上げられた美しい作品ばかりです。(休館日を除く23日まで)

マヒの辛さから、何度も死を考えた日々を経て、幸せな今があること。
最初は下絵も無しに、不思議な力に突き動かされ、作品を生み出したこと。
範子さんの語り口はとても控えめなのに、胸に迫ります。

大好きな技芸天立像をきっかけに、素敵なお二人とお話出来ました。
彼岸花が咲く頃、久しぶりに秋篠寺をたずねてみようと思います。