写真は宍粟市一宮町の事代主命を祀る「式内社庭田神社由緒記」
:由緒記では「庭音村(庭酒)」に比定されているが、比治里は山崎町比地の地と考えられる
「最高だなあ。2人の美女からおもてなしを受けながら、日本酒談義に花を咲かせることができるとはね」
カントクは必ず女性を褒めるが、高木も全く同感であった。ヒメはどちらかというと愛くるしい顔立ちであるが、母親の方は正統派の美人として多くの男性を引きつけたに違いなかった。
「今日は皆さん、はるばる播磨の地にお越しいただき、ありがとうございました。樹の母の楓です。樹からみなさんの話はよく聞いていましたので、とても初対面のような気がしません。どうぞ、我が家にいるように、くつろいでお楽しみ下さい」
母親の挨拶を受けて、カントクが音頭をとった。
「本日は、楓様と樹様、見事なお料理をご用意いただき、感謝に堪えません。美しいお二人のご健康と、神話探偵団のますますの迷走・暴走・力走を祈念して、乾杯!」
酒好きというよりもアルコール好きの高木であるが、瀬戸内の魚介類を肴にした「八重垣」の冷酒はよく合っていた。
「ヒナちゃんが酒好きなのは知っていたけど、お酒の研究もしていたんだ」
マルちゃんも高木と同じように感じていたようだ。
「父が神主ですから、子どものころから御神酒(おみき)には親しんでいます。だから、播磨国風土記を読んでいても、お酒が気になるんです」
「地元なのに、全然、そんなことは知りませんでした。説明していただけます?」
ヒメの母に促されて、ヒナちゃんが説明を始めた。
「播磨国風土記から酒に関わるところを抜き出してコピーを用意しましたので、ご覧になって下さい」
コピーには、次のような抜き書きがされていた。
①賀古郡「酒屋村」:大帯日子命が酒殿を作った。
②印南郡含芸(かむき)里(本の名は瓶落):他田熊千、瓶の酒を馬の尻に付け、家地を求めて行き、その瓶がこの村に落ちたので瓶落と曰う。また酒山あり。大帯日子命の御世に、酒の泉湧き出る。
③揖保郡麻打里「佐佐山」:品太天皇の世に、額田部連久等が酒屋を佐佐山に作って(出雲御陰大神を)祭る。宴遊して甚く楽しむ。
④揖保郡枚方里「佐岡」:筑紫の田部・・・常に五月を以て此の岡に集聚(つど)いて酒飲み宴した。
⑤揖保郡石海里「酒井野」:品太天皇の世に、井戸を此の野に開いて酒殿を造り立てた。
⑥揖保郡萩原里「酒田」:息長帯日売命、・・・御井を開いた(墾った)、故、針間井と言う。・・・韓清水と号す。その水、朝に汲めば朝には出ず。爾して、酒殿を造った。・・・神を祭る。少足命(すくなたらし命)坐す。
⑦讃容郡仲川里弥加都岐(みかづき)原:難波高津宮天皇の世に、伯耆の加具漏、因幡の邑由胡二人、大きく驕って節なく、清酒を以て手足を洗った。
⑧宍禾郡比治里庭音村(本の名は庭酒):大神(葦原志許乎命:あしわらのしこを命)の御かれひ(餉:乾飯)枯れて、かむ(黴)が生えた。酒を醸(か)ませて庭酒(にわき)を献って宴した。
⑨宍禾郡御方里伊和村(本の名は神酒(みわ)):大神(葦原志許乎命)、此の村で酒(みわ)を醸(か)んだ。
⑩託賀郡賀眉(かみ)里荒田村:道主日女命・・・盟酒(うけひさけ)を醸(か)もうとして、田7町を作ったところ、7日7夜の間に稲が成熟した。乃ち、酒を醸みて諸神を集え・・・・。
⑪賀茂郡下鴨里「酒屋谷」:大汝命が酒屋を作った。
「播磨国風土記のことは子どもの頃からよく見聞きしていましたけど、お酒の話は初めて聞きました。ヒナちゃんの調査力は樹から聞いていたとおり見事ですね。今日は、新しい世界が広がってきそうな予感がします」
ヒメの母親だけあって、好奇心が旺盛な方かも知れない。
「こう抜き書きしてみると、播磨国風土記の構造が見えてくるなあ」
長老はゼミの学生に対するような口調がどうしても抜けない。
※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
内容にご興味を持っていただけましたら、下の「ブログ村」のアイコンをどれでもクリックして下さい。href="http://novel.blogmura.com/">,,,
:由緒記では「庭音村(庭酒)」に比定されているが、比治里は山崎町比地の地と考えられる
「最高だなあ。2人の美女からおもてなしを受けながら、日本酒談義に花を咲かせることができるとはね」
カントクは必ず女性を褒めるが、高木も全く同感であった。ヒメはどちらかというと愛くるしい顔立ちであるが、母親の方は正統派の美人として多くの男性を引きつけたに違いなかった。
「今日は皆さん、はるばる播磨の地にお越しいただき、ありがとうございました。樹の母の楓です。樹からみなさんの話はよく聞いていましたので、とても初対面のような気がしません。どうぞ、我が家にいるように、くつろいでお楽しみ下さい」
母親の挨拶を受けて、カントクが音頭をとった。
「本日は、楓様と樹様、見事なお料理をご用意いただき、感謝に堪えません。美しいお二人のご健康と、神話探偵団のますますの迷走・暴走・力走を祈念して、乾杯!」
酒好きというよりもアルコール好きの高木であるが、瀬戸内の魚介類を肴にした「八重垣」の冷酒はよく合っていた。
「ヒナちゃんが酒好きなのは知っていたけど、お酒の研究もしていたんだ」
マルちゃんも高木と同じように感じていたようだ。
「父が神主ですから、子どものころから御神酒(おみき)には親しんでいます。だから、播磨国風土記を読んでいても、お酒が気になるんです」
「地元なのに、全然、そんなことは知りませんでした。説明していただけます?」
ヒメの母に促されて、ヒナちゃんが説明を始めた。
「播磨国風土記から酒に関わるところを抜き出してコピーを用意しましたので、ご覧になって下さい」
コピーには、次のような抜き書きがされていた。
①賀古郡「酒屋村」:大帯日子命が酒殿を作った。
②印南郡含芸(かむき)里(本の名は瓶落):他田熊千、瓶の酒を馬の尻に付け、家地を求めて行き、その瓶がこの村に落ちたので瓶落と曰う。また酒山あり。大帯日子命の御世に、酒の泉湧き出る。
③揖保郡麻打里「佐佐山」:品太天皇の世に、額田部連久等が酒屋を佐佐山に作って(出雲御陰大神を)祭る。宴遊して甚く楽しむ。
④揖保郡枚方里「佐岡」:筑紫の田部・・・常に五月を以て此の岡に集聚(つど)いて酒飲み宴した。
⑤揖保郡石海里「酒井野」:品太天皇の世に、井戸を此の野に開いて酒殿を造り立てた。
⑥揖保郡萩原里「酒田」:息長帯日売命、・・・御井を開いた(墾った)、故、針間井と言う。・・・韓清水と号す。その水、朝に汲めば朝には出ず。爾して、酒殿を造った。・・・神を祭る。少足命(すくなたらし命)坐す。
⑦讃容郡仲川里弥加都岐(みかづき)原:難波高津宮天皇の世に、伯耆の加具漏、因幡の邑由胡二人、大きく驕って節なく、清酒を以て手足を洗った。
⑧宍禾郡比治里庭音村(本の名は庭酒):大神(葦原志許乎命:あしわらのしこを命)の御かれひ(餉:乾飯)枯れて、かむ(黴)が生えた。酒を醸(か)ませて庭酒(にわき)を献って宴した。
⑨宍禾郡御方里伊和村(本の名は神酒(みわ)):大神(葦原志許乎命)、此の村で酒(みわ)を醸(か)んだ。
⑩託賀郡賀眉(かみ)里荒田村:道主日女命・・・盟酒(うけひさけ)を醸(か)もうとして、田7町を作ったところ、7日7夜の間に稲が成熟した。乃ち、酒を醸みて諸神を集え・・・・。
⑪賀茂郡下鴨里「酒屋谷」:大汝命が酒屋を作った。
「播磨国風土記のことは子どもの頃からよく見聞きしていましたけど、お酒の話は初めて聞きました。ヒナちゃんの調査力は樹から聞いていたとおり見事ですね。今日は、新しい世界が広がってきそうな予感がします」
ヒメの母親だけあって、好奇心が旺盛な方かも知れない。
「こう抜き書きしてみると、播磨国風土記の構造が見えてくるなあ」
長老はゼミの学生に対するような口調がどうしても抜けない。
※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
内容にご興味を持っていただけましたら、下の「ブログ村」のアイコンをどれでもクリックして下さい。href="http://novel.blogmura.com/">,,,