Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog第64回 スーパーマグナム1年目分解整備③ =小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul

2018年02月07日 | マニュアル
分解整備③ 各部品の点検整備

少しずつ分解整備を続けて何日も経過しているが、折から某国軍用ヘリが、整備が原因で墜落したという。
本機も何とか使へているものを、敢てばらして組直しているので、却って調子を悪くするのではないかと、素人としては不安が消えない。
なお、今回の分解整備作業は、各部の現状確認として今後役立つと思うので、小生の覚へ・便利帳として詳しく記録している。諸兄には冗長かもしれないが、悪しからず。



クランクシャフト・ピストンアセンブリ(Assy)
コンロッドの小端部ベアリングは新品同様で全くガタも無い。
ピストンピンも見たところ摩耗も無く、触っても凸凹なしで、このまま再使用で問題ないと感じる。
メインシャフトは僅かだが擦れたり嵌合していた痕の様に見える部分がある。しかしこれは新品時からのものらしい。業者のページ写真にもある通りだ:
ドイツ業者(Aquascooter.De)HPから
http://aqua-scooter.de/goshop/catalog/popup_image.php?pID=233
イタリア業者(Aquascooter Land)HPからhttps://www.aquascooterland.it/product.php~idx~~~57~~ALBERO+MOTORE+D_41+SM~.html


シリンダ内部
パーツクリーナとぼろきれで掃除した。ニッケルメッキで耐久性を改善したと云う通り、光沢があって滑らかな良い状態に見える。

ピストン
三角=▷印 が排気側だ。AS650まで39mm径だったものがスーパーマグナムでは41mm径に増大されその旨刻印されている。

ピストンリング 
表面は擦れて磨かれ、ピカピカしているはずだが、この部分は元の黒色表面がかなり残り、シリンダと密着していないのかと心配になった。しかし本機の様な2ストエンジンのピストンリングは4ストと違い回転しないので、シリンダヘッドの▷印や対応するシリンダ部を見ると、それは排気口を横断する部分だった。その分だけ摺動が少なく、磨かれないらしい。

こんな場合は上下のリングを入替れば均一に摩耗していくと思うが、判断できず、このままとした。

ピストンスカート部
全体に綺麗な状態だが、この赤枠内に浅い僅かな縦傷があった。映像を少し強調してある。そしてピストンリングの対応する部分も少し荒れている。何か、砂の様な物が吸い込まれたのかもしれない。吸気フィルタがないので、気を付けねばならないと感じる

コンロッド大端部
大端部自体は10.5mm厚で、カウンタウエイトの隙間は12.0mm つまり横方向即ち本機の前後方向には1.5mmの遊びがある。従って本機全体の組立時にその分(ピストン前後位置)の寸法差は吸収できるということになる。
隙間から見えるベアリングの状態は全く正常だ。
またコンロッドの長手方向へ引いたり押したりしても全くガタが感じられず優秀だ。
更にピストンを組付けてみても、上下動には全くガタを感じない。

この状態から、コンロッドAssyは大・小端部ベアリング含めて部品交換などは無用と結論付けた。
これこそ素人考えだが、両ベアリングにはシリコーングリスを塗布した。すぐに流れ去ってしまうだろうが、逆に悪さをしなければ良いと思う。


シリンダヘッドのガスケット
DIYというかケチ精神を発揮して、ガスケットはいつもシートから切抜いている。これは1.0mm厚のもので、切り抜くのは中々手間が掛かる。ボルトの孔は100均のパンチで開けるが、なまくらでこの切れ味は非常に悪く、砥ぎながら使っている。

クランクシャフトAssyとシリンダ
点検の結果問題ないとし、このまま組付けする。


シール交換
クランクケース後ろ側というか本体後ろ半分からメインオイルシール及びプロペラシャフトシール2個を外した。
議論のあった2重のプロペラシャフトシールは2個とも外向きに(正しく?!)挿入されていた。
手製の引掛鉤で外したが、中々外れない。途中でマイナスドライバーも併用し、他に傷を付けぬよう用心したがシール自体はいつもの如く壊れてしまった。

シールを外して見えるようになったベアリングは、メインベアリングもプロペラベアリングも滑らかでガタもないので、このまま再使用することとした。

グリスの交換
全体を分解している際に、清掃目的でプロペラシャフトが通る軸受周りに、多量に溶剤のパーツクリーナを吹き付けてしまった。しかしメインベアリングの裏というか奥のグリスは取除けない。それらを交換するにはメインベアリングを抜かないと無理だが、かなり大変だ。・・・・しかし気が付くと、内部の円筒(カラー)をずらすと大きな隙間ができる。そこに布を何度も押し込んでグリスを吸い取るというか、拭取った。このカラーというのは、単にプロペラベアリングの内輪が脱落しないように抑えて(突っ張って)いる物だ。

グリス注入
その後からリチウム系の透明なグリスを注入した。品質的にこのグリスで適合するのかどうか? 既に別のAS650の整備には使っているが、事後の点検はしてない為、現状は良く解らない。
手持のグリスチューブの口は細くなってはいないので、ストローを粘着テープで固定し、カラーの隙間に挿込んでグリスを押込んだ。カラー自体には詰め物をして漏れを防いである。しまいにはメインベアリングの隙間から写真の如く古いグリスがはみ出してきた。同様に、プロペラ側からも、カラーの後端からはみ出して来た。こんなことで我ながら巧くいったと安堵した。


古いグリスを拭き取った状態 
グリスアップが出来た様で、透明の新グリスがベアリングのボールの隙間からはみ出して来ているのが見える

交換用のシール

プロペラシャフト・シール
グリスを塗って2個とも外向きに挿入した。元々のテフロンワッシャ(白)を載せて木片で押し込むことが出来た



メインオイルシール
挿入が少々難しいと感じたが、木片で押して挿入した。

しかしよく見ると外側縁が乱れて写真手前が微妙に凹になっているように見える。触った感じでも僅かに差がある様に感じて、あれこれやってみたが変化しない。これで問題ないのか、組立時に再検討したい。



と云う次第で、まだまだ作業が待っている。
今回はクランクシャフトAssyというか、燃焼室周りの分解整備は無用だったか?!と感じている。果たしてどうなのか? 玄人はどう感じるのだろう。
以上


Blog第64回 スーパーマグナム1年目分解整備③ 終り =小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul