Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog第65回 スーパーマグナム1年目分解整備④ =小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul

2018年02月09日 | マニュアル
スーパーマグナム分解整備④=苦闘中=
無いない尽くしの狭い共同住宅での作業は過酷で、ノロノロと進めている。
作業手順など、もっとスマートにこなせるのかもしれないので、今後取り組む諸兄はよく計画を立てて欲しい。

動画にすれば投稿が簡単かとも考えたが、却って編集作業が膨大になりそうで諦めている。
なお、イタリアの Aquascooter lorenzo77 でyoutubeに有ったビデオは静止画を流すだけになってしまっているが、他にも有用なものが結構投稿されているので、未だの諸兄は是非一覧あれ。

高圧部点検孔
今回の最大の関心事として、旧モデルに有った高圧部の水密性を点検するための孔をやっと穿孔した。
穿孔位置は内部に残る元々の点検孔の肉盛に開けるため、旧品と全く同じにすればよい。それを見ると、孔はクランク室の真横90度から円の中心に向いている。しかし後退角というか、機体の後方へ角度が付いている。それ故2軸式と云うのか、高圧部の筐体つまり本体前半部を傾けて掴める万力の様な物が必要だと思っていた。だがふと気が付けば、必要な角度を付けて板にねじ止めし、それを普通の万力で掴めば可能なので、実行した。

位置決め
AS500型のジャンク品に合わせてポンチを打つ。この写真では、縦位置は両側の縁からそれぞれ21mmほどの中心で、横位置はクランクシャフト孔中心に合わせる

穴開け
まず点検孔があるジャンクの旧品を、板片に30度の角度を付けてねじ止めし、万力を利用して孔を鉛直に調整して位置決め印をつけた。その後旧品を取外し、本機の前半部をねじ止めし、位置決め、確認後ボール盤で4.2mmΦで穿孔した。結果は・・・ナント位置がずれてしまった。アルミで簡単にドリルが進むので、一旦確認をしないまま開けてしまい失敗した。使った板が薄くてぐらついたのも敗因だったか? 玄人筋の哄笑は忘れ、恥を忍んで “普通の” 諸兄の参考までに掲載する次第。

大工の墨糸ではないが、何か針金のようなもの、或いは巧い型紙を、中心から肉盛部に張って位置決めした方が、後退?角も示すことが出来て確実かも知れない。その場合は旧品見本など無くても穿孔が出来そうな気がする。

開通
角度はほぼ正しいようだが、位置ずれの分だけ?孔もずれてしまった。実はこの台座というか肉盛部は結構な厚みがあるから、少々ずれても問題ないと思っていたので、まあ良しとした。そもそもこの部分はメインのシール吹抜でクランク室内圧が掛かることはあっても、外部水圧は僅かだから、ネジと液体ガスケット塗布で問題ないと思う。

ネジ切
旧品は5Φネジで塞いでいたので、同じにタップを立てた。

点検孔完成
ネジ頭を沈める為に10mmΦの段付孔とし、段付部は止ネジでの密閉を確保するため平面にしたい。試しにそのままボール盤で初めてエンドミルを使ってみたがグラグラで巧く行かず、ドリル先端のままの円錐段付で済ませた。しかし上記通り液ガスを塗布すれば密閉性も問題ないと思う。
ワッシャとネジは旧品をそのまま流用した。
段付と云ってもあまり深くするのは不安だったので、ネジの頭はかなり出っ張っている。平頭のネジにすれば凹状になるだろう。

点検孔には実際は、いつも使っている浮袋用のポンプを挿し、加圧して空気漏れがあるかどうかを確認する。しかしメインオイルシールが不良の場合はクランク室へ漏れてしまい、判明しづらいかも知れない。そうなると長い時間を掛けてクランク室側も均圧するまで加圧し続けるのか。
圧力計付きのポンプなら、その圧が抜けていくかどうかでシール不良も判断できるのだろう。


前側メインオイルシール
シール抜き取りはいつも苦労するが、本機の場合は簡単だ。前後のメインシールは下に強固なボールベアリングがしっかりと嵌っているので、間にマイナスドライバーを突っ込んでこじる事で、他に傷も付けず、簡単に外すことが出来る。この場合はシール自体に傷も付かず、再利用も出来そうな感じで外れてきた。なお、プロペラシャフトシールは1個目は同じやり方で外せるかもしれないが2個目は奥まった位置で、前回紹介したように引掛け具がないと難しい。この後交換予定のスタータシャフトシールも少々厄介だ。


シール交換
後側に付けたのと同じNOKのオイルシールを挿入


クランク室組立
ピストンリングが正しく嵌っていることはシリンダを回して開口部から確認した。回転止の小さなピンがあるので、リングの切欠き部をそれに合わせなければならない。
シリンダの位置合わせはネジ穴で簡単に決まるので問題ないが、以前見たイタリア?の投稿に、クランク室を止めているネジを緩めず、シリンダを鏨か何かで叩いて外した例が有った。それでは再組立時に、ピストンリングを巧く挿入するのが、かなり難しいのではないかと想像したものだ。


シャフトの回転を確かめながらネジを締付けようと、キー溝に適当な円盤(座金)を挿してセロテープで留め、手掛とした。なかなか便利だ。

スタータ部Oリング
Oリングは再使用可能とも感じたが、僅かにざらつくところがある。塩粒なら洗えば良いかとも思いながら、新替した。写真外側が取外した物。内側が交換品で、他の物にも使ったが、オリジナルより小径の95mmΦだ。この点は前にも記したが、スタータケース取付時にOリングがはみ出す事があり、私としては、この程度の径が適度だと感じている。


高圧ユニット取付、プラグコード根元縛り
点火タイミングが狂わぬよう、予め印をつけておいた位置に合わせて固定した。
プラグコードを動かせなかったが、プライヤで口ゴムの脇を咥へ、CRCを吹き付けたところ、滑らかに動くようになった。過去に問題は無かったが、念のため口ゴムの根元を針金で縛っておいた。
そういえば、プラグコードとCDIユニットの接続部は相変わらず動かせず、触らぬ神に祟りなしとばかりそのままにした。接続端子は10mmほどの長さの木ネジの様な電極で、コードはそこに捻込んである。捻じれば抜けて来る筈だが、動かないのでコードも傷みやすいかと心配した。その分、ラップ材を巻付けて作業中は養生とした。

なお写真でOリング部にごみが付着していることに後で気が付いた。ケースを嵌めるときには再度清掃しなければならない。このような部分は最後に作業すべきなのだろう。


マフラ嵌合部清掃
いつもながら、この部分には塩が付着し、錆も出て清掃が厄介だ。外から隙間を塞ぐよう何か塗り付けた方が良いのかもしれない。

Oリング交換
多少ざらつくところがあり、また外側リングはこの写真の如く、外すと捩れた状態なので、どちらも新替した。

マフラ組付
手で圧力をかけても嵌らないが、長ネジ2本で締付けると簡単に組付出来る。分解もこんな感じで簡単に出来れば内部の残滓清掃が楽だろうと思うが簡単ではない。最後にこの長ネジにも液体ガスケットを塗布しておく。

やれやれやっとここまで来たかという感じだが、まだかなりの作業があり、簡略なオーバーホールでもこれかと聊か辟易している。


以上

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