Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第66回スーパーマグナム1年目分解整備⑤ =小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul

2018年02月12日 | マニュアル
分解整備継続

遅れ気味の作業で仲間にも呆れられている様だが、次回あたりには何とか完了すると期待している。
長期遠征には本機2台を持参するのが常だったが、黒猫が寸法、重量共に制限してしまった為、1台で何とかならぬか、気を揉んでいる。


先端ウオーターシール
スタータケース先端にあるシールは交換するはずだったが、他の部品も劣化は少なく、ましてシャフトは起動時しか回転しないので滅多に劣化しないと思い始めた。そこでグリスを拭き取って点検し、このまま交換せず使うことにした。何せ点検孔を新設したので、漏れは常に試験可能だ

スタータプーリ円盤の空転止めに、点線部に斜めに圧入したピンはしっかり埋没しており問題ない。また、この写真では見えないが、シャフトにはOリングが嵌めてある。私にはどうもその作用が理解できないが、これもそのままにした。


ここまでくればさあスタータAssyを高圧部に嵌めようと、グリスアップして押込んだら、Oリングがはみ出してしまった。この状態のままでも、取付けネジ4本をまともに締付ることが可能なので、気付かないことがある。それで浸水した例が「軍艦島」へ通っていた柿田氏のHPに出ていた。
今回はケース全体が完全に嵌らないうちにはみ出してしまい、すぐ気づいて大事には至らなかった。

このような失敗も点検孔から加圧すればすぐ発見できるので、私としては不安が減った感じだ。
是非メーカーのコメル社で高圧部の点検孔を復活して欲しいものだ。


ブラケット補強金具はしっかり付着している。接着剤は弾性エポキシのセメダインEP001


プロペラを取付けようとして、中心部裏側が自作の抜具の滑りで大きく削られている。機能上の問題は無いが、次回は抜具を改善しなければならない。

抜具は第15回で紹介したもので、ボルトの頭を削っただけだが、精度と剛性不足らしく、脚が開き気味になって滑ったもの。

余談:加工技術も材料工学も半可通の私だが、このプロペラにしろ、今回ドリルで穿孔した本体アルミ部にしろ、ごく軟らかい印象がある。純アルミなのだろうか。少々硬質の等級にして呉れれば安心感が向上するのだが?


本体部の組立が進んでかなり気が軽くなった。
マフラ固定ネジには液体ガスケットを塗布した。この部分は銅のワッシャを使って密封してある筈だが、浸水した経験がある。


さて今回のオーバーホールで、Blog第62回の写真を見返したところ、キャブレタのニードルバルブ(針弁)周りを点検し忘れたことが気になりだした。
そこで再度蓋を外して上部燃料溜りを点検すると、この写真の如く、針弁の連結悍の支点棒に塩が析出して錆びていた。錆びても機能にすぐ影響するわけではないが、嵌る溝と棒とを清掃した。
針弁の先端を見ると輪形に筋が入っている。弁座に当たって開閉する部分だ。ゴム?状のコーティングがあるが、パーツクリーナで拭くときれいになり、摩耗で段付になってもいなかった。従って、これもこのまま使用することにした。


下側のポンプ室は、上記第62回でも紹介した通り、ポンプ膜に塩が析出(侵入?)していることが最近は多い。こちらの蓋はネジ1本で固定するため、浸水し易いのではないだろうか。
その対策の積りで、液体ガスケットをポンプ膜や蓋の内部合わせ目に使って、はみ出したものが不具合を起こしたことがある。クランク室の合わせ目には必須だが、他への塗布は要注意だ。今回は気休めだろうが、組立後の留ネジと蓋の合わせ目に外側だけ液体ガスケットを塗布してみた。



念の為としてキャブ単体で水密検査をした。以前は木片にキャブをねじ止めして簡単に確認できたが、今回は板が割れてしまって失敗。
金属板では面倒だったので、手近なアクリル板にネジ孔2か所だけを開け、ガスケットを挟む。アクリル板が反って漏れるのを防ぐために、ジャンクのキャブ接続フランジを裏から当ててねじ止めした。伊のLorenzo氏もYoutubeでこれと同じ感じの治具を紹介していた。


浮袋用ポンプをつないで水中で加圧すると、な、な、なんと今回触りもしなかったアクセル軸から泡が出て来た。これは洗面台の水中だ。


泡喰って軸を抜いて特殊Oリングと云うのか、断面がひょうたん型のようなゴムパッキンを点検するとかなりの塩が析出している。実は手持の別のキャブではこのゴムパッキンが劣化していて、困っている。この現品も25倍のルーペで観察すると、表面はかなり荒れている。1年でこれでは困ったもので、普通のOリングで何とかならないか検討中だ。 
寸法は、ゴムなので正確に測れぬが 4.7mmΦ X 7.8mmΦ X 1.8mm厚で、アクセル軸の方は4.75mmΦとなっている。


掃除とグリスアップで再組立し、また水中で加圧したところ、今度は泡の漏れが無くなった。甚だ不安だが、これでキャブは組付しようと思う。



Xリングだった!
この特殊形状のOリングというか、パッキンについては自動車整備関係者に尋ねても判らなかった。しかしキャブレタメーカーが独自に作れるような物ではないから、標準品として有る筈だとその形状からネット検索したところ、それらしい “Xリング” に行当った。
やれやれ今朝の事だ。

キャブの修理に必要なので、入手を急ぎたい。適合品が見つかると良いのだが・・・・

これはツイスターリングが正式名称で、断面から通称Xリングと呼んでいる物だ。こんな特殊製品が有ったのかと誠に驚いたが、それよりも、当然必要になる部品なのだから、交換部品として Walbro社がキャブダイアフラム修理キットに含めるべきだ。
取急ぎ一例として「華陽物産」の頁を見て欲しい。機能も説明されている。販売もしている。
ここの T-008 というものが適合しそうだ。
URLも紹介する: 
http://www.kayo-corp.co.jp/common/pdf/twistar_ring.pdf


更に、元は矢張り米国規格だというので、念のため過去に購入経験のある “Oringsandmore.com” という業者ページを見ると、品番 008 というのがほぼ同じサイズだ。但し厚さというか高さが僅かに小さい。
20個組で2ドル以下と安価だと感心したが、互換品だ。送料の方が何倍も高い。
http://www.oringsandmore.com/x-rings-size-008-price-for-20-pcs/


華陽物産の方は見積依頼をしなければならないので、逸る気持ちでたった今、さっさとUS業者に注文した。仮に不適合でも、費用は僅かだ。また、純正でなくとも、点検はしょっちゅうしているので、これで良しとした。

また寄り道してしまったが、多少時間が掛かると思うので、本機の組立はこのまま進めようと思っている。
以上
Blog 第66回スーパーマグナム1年目分解整備⑤ 終り=小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul