窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

オオハクチョウ・渡りの前に

2020-04-20 15:36:49 | オオハクチョウのいる風景

今年の冬の積雪は例年に比べ3分の1ほどでした。立春を過ぎ日射しが強くなっ

雪が急速に融けました。牧草の新芽が出てきたのも早かったようです。

しかし・・・。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★ オオハクチョウ・渡りの前に ★

雪が少なかったせいで、地面の凍土深度が深くまで進んでいました。凍ったせ

いで土が盛り上がり、解凍が遅いのです。表面は少し融けているだけで、掘っ

てみるとかちんかちんでスコップが弾き飛ばされます。

それでも牧草は新芽を伸ばし始めます。雪がない分、オオハクチョウは新芽の

先をくちばしで千切り食べます。新芽は栄養分が多いので、枯れ草を食べるより

ずっと体力づくりには役立ちます。

デントコーン畑のようにひとところに集まらなくていいのです。車で走って見

ていくのですが、今年は家族単位で牧草地に降りていることが多かったです。

そのせいか、のんびりとしている光景がよく見られました。

これから体力を付け、4月下旬の旅立ちまで待機します。


シジュウカラガン

2020-04-17 00:11:52 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

シジュウカラガンが亜種ヒシクイの群れと一緒にいるのを初めて観察しました。

5年前から根室半島や野付半島で10羽前後の家族群が秋に観られていましたが、

春、群れで牧草地に降りているのを観察するのは初めてです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★ シジュウカラガン ★

場所は野付半島のそばの牧草地、500羽以上の亜種ヒシクイの群れと一緒に68羽

シジュウカラガンが降りていました。

朝の6時過ぎ、野付湾に注ぐ当幌川の河口から飛び立ってきた連中です。

近場の牧草地で牧草の新芽を食べ、それから内陸の方へ飛んでいくはずです。

シジュウカラガンは1938年から62年まで日本での観察記録が途絶えました。

絶滅したと考えられました。ところが1963年、アリューシャン列島で再発見

アメリカ合衆国による保護計画が始められました。

元来、シジュウカラガンはアリューシャン列島から千島列島にかけ繁殖していま

した。

それが毛皮目的で繁殖地に移入されたキツネ類が逃げ、野生化。彼らによる捕食

原因でほぼ絶滅したと考えられていたんです。

やがて、1983年に日本とアメリカのリカバリーチームによる保護活動が始まり

ました。

のちにロシアも加わり日米露3国の共同事業になりました。米国魚類野生生物局

から譲渡された個体を日本で繁殖、増加さ、1995年にエカルマ島で放鳥を開始

しました。1995年から2010までに551羽が放鳥されました。

成果は着実に実り、平成30年には5000羽を越すシジュウカラガンが東北に飛来

するまでになりました。

北海道では十勝川流域で定期的に観察されていましたから、いずれ根室地方で

多数のシジュウカラガンが渡る途中で見られるはずだと思っていました。

それが現実になってきています。これから春と秋には多くのシジュウカラガン

根室の原野で滞在する光景が見られるようになるはずです

千島列島には野付半島や根室半島を通過して行くのが、一番いいはずだから。


角落ち。エゾジカ

2020-04-15 23:48:23 | エゾジカの四季

三又四尖の角を持ったエゾジカのオスが湿地に出てきていました。角の形状から

まだ若いオスです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 角落ち。エゾジカ ★

一本角を付けたみすぼらしく見えるオスです。背骨の突起が異様に目立ちます。

骨の両側についている筋肉が凹み、肋骨のが浮き上がってきています。

冬季に秋に付けた隆々の筋肉が削ぎ落ちています。厳しい冬季の寒さで栄養分

を費やし、丸々だった体が肋骨が浮き上がるほどになっています。

毛のつやも悪くなり、若き雰囲気はすっかり消えています。あどけない顔だけが

若いと思わせます。冬季には雪が多くなく、枯れ草を苦も無く食べることが

できたはずなのに痩せています。

冬中、威厳を見せていた角も今は用無しです。乾燥して白くなった片方の枯角が

落ちるのも時間の問題です。

抜け落ちた角の痕にはすでにふっくらと袋角の芽が出てきています。これが枯角

浮かせ落としてしまったのです。

そもそもシカの角は骨の組織です。知ったかぶりをする人が、「シカの角は生え

変わるから皮膚や爪と同じだよ」と言います。でも、それは違います。牛のよう

頭蓋骨が延長しているのではないので、骨ではないように思われますが、

組織的には「骨」なんです。

頭蓋骨とは別に、独立して骨質が成長してきます。図のように頭蓋骨の突起を

台座にして、角が伸びていきます。

秋に袋が剥がれ、栄養分が行かなくなると枯角になります。強靭な角になるの

です。

そして役目が終わる春、新しい角の芽に押されるようにポロリと落ちます。

鹿の角の生え方。Bで表されているところが「前頭骨角突起」です。

 


コクガン大集合

2020-04-13 23:20:17 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

コクガンが集まってきてます。先月、2000羽ほどがやってきてました。その後、

小さな群れが次々にやってきていました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★ コクガン大集合 ★

増えてきているのは気配で分かっていましたが、彼らは湾の真ん中の浅瀬に集

まり、遠くてどのくらいの数なのかわかりませんでした。

12日、風がなく海水面が凪いでいたので遠くまで見通せることができました。

早朝、1000羽を超える群れが岸に近くに飛んできました。ここは干潮になると

アマモがびっしり生えているのが分かっているアマモ場です。

いつもは車の通りがよく、人の気配ですぐに遠ざかる場所です。しかし、新コロ

ウイルスのせいで車が非常に少なくなっています。それが分かるかのように

集まって来たました。

水面を低空でやってきた群れは、待ち伏せしていた私の前を通過し、旋回して

から私がいる近くに降りてくれました。運がいいの一言です。

滅多に出会えない幸運です。丁度、干潮になりつつある時刻でアマモが採りやすく

なっています。潮の時刻と彼らが来そうな予感、私の読む力のおかげです。

私がいることにすぐ気づきました。ゆっくりと遠ざかって行くのが分かります。

じっとしていれば、彼らは必ず寄ってきそうだったので、動かず待ちます。

見慣れてくると食べるために寄ってくることがあるのです。

潮の満ち引きは彼らの食事行動にすごく影響します。彼らはそれをよく知って

います。食べやすい時にたくさん食べておく。渡りの前に体力をつけておかない

とロシアのツンドラ地帯まではいけません。必死なのです。

長居をしません。彼らによっくり食べてほしいので30分ほどで次の観察ポイント

移動しました。気温が低いせいでまだ陽炎が出てきません。遠くまで見通せ

ます。

沖合を調べると湾の真ん中の浅瀬に黒い集団がいます。数は大まかにしか分かり

ません。オジロワシが群れの近くを飛ぶのを待つしかありません。

必ず飛んでくれるはず。待機、5分。運よく、群れが飛び上がりました。

多すぎて数を数えるのは無理です。

いつも通り、カメラを連写して群れを撮りまくりました。時間はかかりますが、

あとで写真を拡大して数えます。正確ではないけど、大まかな数字は出てきます。

出てきた個体数はほぼ4500羽以上。さっき出会った数が1100羽以上。大まかに

5600羽を超えるコクガンが野付湾内に入ってきています。

秋に比べると少ない個体数です。これからもっと増える可能性があります。

5月10日ごろまでに大方のコクガンが野付湾から飛び立って行きます。


ねぐらに向かうオオハクチョウ

2020-04-10 14:45:00 | オオハクチョウのいる風景

本州で越冬していたオオハクチョウが根室地方に集まり、滞在しています。

1カ月あまり、新芽が出た牧草地やアマモが採れる野付湾や風蓮湖、厚岸湾など

を拠点にします。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★ ねぐらに向かうオオハクチョウ ★

オオハクチョウは淡水を好むと思われますが、汽水域から海水に生えるアマモが

多い野付湾のようなところを餌場にし、河口のヨシ帯をねぐらにします。

早朝にねぐらを飛び立ち、湾内のアマモ場に向かうグループと内陸の牧草地帯に

向かうグループがいます。

湾内でアマモを食べるグループは満潮になり水深が深くなると湿地帯の沼に水を

飲みにやってきます。アマモを食べるとどうしても塩分を摂ってしまうので、

水を飲み体内の塩分濃度を調整しなければいけないのです。

多くのオオハクチョウがやってきて沼で水を飲みます。ついでに水辺で休息して

行きます。

夕方、太陽が地平線に沈むころ頃から、それまで頭を翼に入れ休息をとっていた

群れが次々に飛び立ちだします。水面を滑走し、飛び上がって行きます。

柔らかな薄紫に染まった空に向かい、ねぐらにしている当幌川の河口ヨシ帯の

に飛んでいきます。

オオハクチョウたちはしばらくルーティーンな生活を送り、体力をつけて行き

ます。

6000キロ以上の旅のために。