手術は無事終わり

麻酔が効いているらしく、ウツロな表情で横たわっています。
『昨日の話ですが、頭と眼は如何なんでしょう？』
『しばらく様子をみないと何とも言えません。低血糖の影響でボケと視力に問題が残る可能性は否定できません』

『動き回れるようになれば、少しずつ治る可能性も出ますよね？』
『可能性はあります』

病院の外で、
『治療のための治療にならないか危惧していたけど、その可能性があるわね』と妻。
『うん、その可能性があるね』

『動物で眼がみえなかったり、ボケになってしまったら、どう付き合えば良いか分からないわね～・・・』
『今まで、ポ～やチャオがいたけど、頭は大丈夫だったからな～・・・』

ポ～とチャオの最後の日が思い出されました。

メルの寝姿

身体は元気そうだけど、

いつも面会は、午後2時からです。

『だいぶ元気に動き回っていますが、声を掛けないようにして下さい。興奮して暴れるかもしれません』
『元気になりました、良かった』

『もう手術をしても大丈夫だと思いますが、如何しましょう？』
『元気でしたら、お願いします』

『体力は回復しましたが、眼は見えていないようです。動いていて壁にぶつかり方向を変えています。見えていているので方向を変えてはいません』
『あ～・・・本当だ』

医者が、手を振り上げ威嚇しますが、反応がありません。
『顔の前に手をかざしても反応していないでしょ、見えていないんです』
『治るのでしょうか？』

『何とも言えません。でも可能性はあります』
『これだけ元気に動き回れるんだから、大丈夫かもしれないね』

昨夜、家族でメルの今後を話し合い、全員の意見は「安楽死」でした。
このまま苦しませるのは可哀そうだ、
その事を伝えに来たはずが、次の段階に入り込みました。

大きな医院

次の日の午後、

『だいぶ体力が回復してきましたので、手術が出来るかもしれません、でも今、視力が無い可能性があります。お家では如何でしたか？』
『普通に見えていたはずです』

『では、低血糖でなった可能性がありますね～、』
『あ～、そうですか・・・』

『もう少し体力が回復しましたら、手術も考えましょうか』
『はい、お願いします。でも、視力は回復するでしょうか？』

『何とも言えません』

『最初にこの病院に連れて来ていれば、状況が変わっていたかもしれないね。こればかりは運なのかな～』
『以前、フェレットのクッキーを連れて来た時、専門外だから分からないと言われ、この病室で死んでしまったから、又だめかと思って』と娘。

『そうなんだ。ここの病院は10人位で働いているんだね～、最初の日は、12時過ぎになったけど、看護婦さんが3人もいたね。この近くにがあるのかな、3人で帰って行った』

病院が見つかった！

『夜の10時じゃ～、医者も酒を飲んで寝ているよ。明日の朝でないと無理じゃない？』
『思い出した、確か裾野に救急の電話番号が書いてあった看板を見たから、診察出来るか行って来る』と娘。

『電話があって、診て貰えるので、今すぐメルを迎えに来るそうです』
『そ～、良かった！』

娘の車の後を追いかけ、病院に行きました。

『検査をしますので、少しお待ち下さい』
『はい、お願いします』

4人で待合室で結果を待ちますが、落ち着きません。

12時頃、
『低血糖を起こしていました』
『低血糖、ここ2～3日食事をしていないのが原因でしょうか？』

『え～、そうです。今は手術は無理です。今、点滴をして体力を回復させるのが先ですが、体力が回復したとしても、低血糖で脳が損傷を受けているかもしれません、薬で眠らせる事も考えて下さい』
『それは、安楽死と云う事ですか？』

『そういう事態も考慮した方が良いと思います』
『あ～、そうですか・・・』

病院探し

4月終わり頃からの話です。

『メルの調子が可笑しいの、何か変なの物を食べさせた？』と娘。
『いや食べさせないよ、そういえば朝ご飯を食べないで、夕食で半分食べた』

『食べた物を全部吐き出し、ツブツブが出てきた、どうしたんだろう？明日の朝、病院に連れて行こうと思うけど』
『その方が良いね』

病院から帰り、症状を聴いて来た結果、
『犬は子供を産まないと、子宮に膿が溜まり腐るんだって』
『え～、知らなかった、そうなんだ！それで、どんな治療をしてきたの？』

『今日は取り敢えず、膿を散らす注射をして、手術を考えましょうと云う事になったよ。明日の朝調子が悪かったら来て下さいと言われたの』

その日の夜、

『メルが変な声を出して、痙攣しだした』
『え～！』
観に行くと、舌を出して荒い息をしています。

『メル、どうしたの？』
起き上がろうとしますが、倒れ込んでしまいます。

『犬の救急病院を探して観る』
娘、娘婿、妻と3人で携帯で探し始めますが、中々見つかりません。