今から5年位前の事でしょうか、
義兄は、知り合いが入院している、
国立がんセンターに見舞いに行ったそうです。
そこで偶然、元若い衆に会ったそうです。
『お前もしかして、Y?』
『えっ、兄貴?兄貴ですか!』と云い、泣き崩れたそうです。
彼は、50位前『子供が生まれるので、抜けたいのですが、お願いします』
と義兄に云い、
『子供が生まれるのか、そうか良かったな~、2度と戻って来るなよ』と義兄に言われ、
確かお祝い金¥300万円位を貰って出た人です。
彼は当時30歳位で、身長180cm、体重70㎏、眉は太く、角刈りでした。
当時、ホンダから出たばかりのシルバーの77Sに奥さんと乗っていました。
あれから、50年近くなります。
今の彼は、ガンを患い痩せて、目を合わせるのが辛かったそうです。
一通り話をし、『Y、又な』と別れたそうです。
もう、会う事が無いのを分かっていながら、
こう云う意外、別れの言葉は見つかりそうも無いですね、
この話を聴き、当時の元気なYさんと奥さんの笑顔を思いですと、辛くなります、
ホンダ77S
1300㏄シングルキャブ100馬力
確か、77Sと99Sとの価格差は、10万円だったと思います。
99Sにすれば良かったのにと云いたかった。
国立がん研究センター
ホンダ1300
『喧嘩に行く時に、腹にサラシを巻くのを見た事があるだろ』
『映画で見た事があるけど、実際の喧嘩を見た事がないから分からない』
『そうか、映画で見た事があるくらいか、実際の喧嘩でもサラシを巻くんだよ。
そのサラシを巻く下に、新聞紙を巻いておくんだよ。
そして、喧嘩をすると決めた時、サラシの上から水をかけ、中の新聞紙を濡らすんだ、
サラシと新聞紙が濡れていれば、ヤッパで刺されても、中まで入りにくい』
『へ~、サラシの下に新聞紙、そして新聞紙を濡らすんだ。新聞紙とサラシが濡れていれば、刃が入りにくく、怪我も軽く済むと。でも、こんな事にならないようにしないとね』
『サラシが無い場合は、新聞紙だけで行くんだ、しょうがないけどな』
『だから、いつもサラシを置いてあるんだね』
「言う方は簡単に『やってこい』と云うけれど、やる方は、色々考えるよ。
相手が、他の組だったら問題ないけど、同じ組の顔なじみだと、躊躇するよ。
それも、可愛がってくれるような人だったりすれば、『簡単にはい!』とは言えないだろ?」
「言えないね~、云えれば、それこそ仁義に欠けるよね」
「殴りこみの時、中々獲物が手に入らない。
そう云う時は、ノコギリとか、台所の包丁とか直ぐ手に入る物を使う時もあるよ」
「は~、映画とは違うのね~。ノコギリで乗り込んだ事があるの?」
「そりゃ~あるよ、手に入るのがノコギリだったら、
それで行くしかないもの。手拭いで、巻いてさ~」
「顔を切りつけりゃ、後で手当てが大変だ~、傷跡が残ってさ~」
「ギザギザに残りそうだね」
「刀で頭を切り付けた事があるけどさ~、刀が跳ね返って切れなかった。
相手にさ~、『お前、刀は初めてだろ!』って言われたよ。
腰を入れないと切れない事が分かった。恥ずかしかった』
「そんな事を経験したんだ~、怖かっただろうね~」
「そりゃ~、怖かったさ、生きるか死ぬかだよ」