パン・アキモトは、もともと秋元社長の父、健二氏が脱サラして始めたパン屋だ。
健二氏は熱心なクリスチャンでもあり、敗戦後の食糧難に苦しむ人々を助けようと、1947年、故郷の那須塩原に秋元パン店を創業。地元のパン屋として親しまれ、発展していった。
~そして、二代目…
【動画】カンブリア宮殿:パン・アキモト パンの缶詰 救缶鳥プロジェクト
被災地へ送ったパンの半分以上が廃棄 街のパン屋さんが考えた名案が世界へ!
株式会社パン・アキモト 代表取締役秋元 義彦氏
所在地 栃木県那須塩原市東小屋295-4
設立年 1965年
資本金 3,500万円
従業員数 約60人
事業内容 パン、パンの缶詰の製造販売
電話番号 0287-65-3351
URL www.panakimoto.com
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栃木県・那須塩原市にあるベーカリー「パン・アキモト」。
戦後間もない1947年・昭和22年に「秋元パン店」として、今の場所にお店をオープン。昔から販売されている「甘納豆パン」が今も名物で、店舗だけ見ると、どこの街にもある普通のパン屋さんですが、実はこの「パン・アキモト」、ある商品を通じて世界に貢献しているのです。
それは・・・「パンの缶詰」
災害が起こった際の非常食として開発されたもので、というと、乾パンのような硬いパンを想像するかもしれませんが、これがまったく逆。
賞味期限は3年間ですが、その間ならいつ缶を開けても、焼きたてのようにフワフワで柔らかいパンが食べられます。
しかも味は何種類もあるので毎日食べても飽きません。
そう語るのは二代目社長の、秋元義彦さん・63歳。
秋元さんは、創業者のお父さんからお店を受け継ぎ、パンメーカーとして発展させましたが、この「缶詰パン」を開発したきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でした。
現地で食料が不足していると聞いた秋元さんは、少しでも役に立てればと、震災直後の神戸に、無償で2千食の食パンや菓子パンを送りましたが、その後知らせを聞いて愕然とします。
震災が起きて、すぐにパンを送ったんですが、あちこちリレーして送ったので、被災者に行き渡る前に、半分ぐらいが傷んで廃棄処分になった、というんです。
ショックでしたねぇ・・・。
日持ちがして、時間が経っても柔らかく風味が変わらない、おいしいパンはできないだろうか?
秋元さんは、被災者の意見も聞き、あれこれ考えた末に思い付いたのが「パンの缶詰」。さっそく開発に取りかかりましたが、実際に作ってみると、いろいろ難しい問題にぶつかりました。
パンを焼きあげてから缶に詰めれば雑菌が入り込む可能性があり、品質が損なわれてしまいます。何とか、焼きたて、フワフワのまま缶詰にできないだろうか・・・? そこでひらめいたのが、
そうだ、缶の中にパンの生地を入れて、加熱殺菌しながら焼いたらどうだろう!
殺菌はうまく行きましたが、今度は、新たな問題が起こります。パンが焼き上がったあと、缶のフタを閉める際、中である程度の湿度を保たないと、パンが「しっとり」しないのです。
しかし、水分が多すぎると、中でカビが発生して、パンがダメになってしまいます。保存性の高さと、しっとり感・・・相反するこの課題も、熱に強く、湿度の調節にも適した特殊な和紙を見付け、ベーキングシートの代わりに、缶の内側に敷くことで解決しました。
その他にも、様々な難題があり、途中、何度も挫折しそうになりましたが、励みになったのは、被災地・神戸からの声でした。
パンの缶詰、いつできるの? 楽しみにしてるから、あきらめないで頑張りなよ!
1996年秋、ついに、3年間風味と柔らかさが変わらない「パンの缶詰」が完成したのです。
さっそく、多くの企業や団体、学校、災害を経験した個人が非常食として購入してくれましたが、ある自治体から、賞味期限が過ぎた缶詰の処分を依頼されたとき、秋元さんの中に、どうしても割り切れない思いが残りました。
災害用の非常食は、本当は食べずに済む方がいいんです。だけどパン職人としては、せっかく作ったパンが食べてもらえず捨てられるのは、何ともしのびないんですよね…
そんなとき、2004年にスマトラ島沖地震が起こり、津波で沿岸諸国に大きな被害が発生しました。被災地のスリランカにいた知人から「売れ残ったパンの缶詰があったら、送ってくれないか?」と依頼を受けた秋元さんは、これをきっかけに、あるアイデアを思い付きます。
それは「救缶鳥(きゅうかんちょう)プロジェクト」
パンの缶詰を購入した人から、賞味期限が来る1年前に前倒しで回収。それを下取りし割引価格で新しい缶詰を買ってもらいます。
回収したパンの缶詰は、飢餓に悩む世界の国々に、NGO団体を通じて寄付。
救缶鳥プロジェクトの缶には「メッセージ欄」があり、パンを受け取る側にメッセージを入れることもできます。
購入する側は、国際貢献ができ、新しいパンの缶詰を割引で買うことができます。寄付を受ける側はおいしいパンが食べられますし、パン・アキモトも新しく商品を買ってもらえるので、誰も損はありません。さらに、大災害が起こったときは、被災地にすぐパンの缶詰を送るシステムも作り上げました。
東日本大震災の際は、那須塩原のパン・アキモトも工場が被災しましたが、直後にパンの缶詰を1万5千食、被災地に送り、秋元さんは今でも、毎月社員と一緒に被災地応援に行っています。
先月の熊本地震では、2度目の大きな地震が起こった朝に、ワゴン車に積めるだけのパンの缶詰を積み、翌日にはまず1800食を届け、これまで、すでに2万食を送っています。
救缶鳥プロジェクトは、 寄付やボランティアが盛んなアメリカでも好評で、今後は、海外のパン屋さんでも展開してもらえるように、支援していきたいと思っています。
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE & MELODY 2016年5月14日(土) より
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株式会社パン・アキモト | パンの缶詰を販売している栃木県那須高原に ...