年末から、短編小説なるものにトライしている。
これはその続きである。
僕は耳を疑って、リョウのほうを振り向いた。
「えっ、何て言った?」
「俺の顔、向こうの世界で見たことない?」
リョウの顔を見ていると、確かにどこか見覚えがある。なんだろう?
考えながら険しい顔をしていると、リョウは微笑んだ。何と爽やかな笑顔だろう。
その微笑んだ顔は、向こうの世界の至るところにあった。
あらゆる家の額縁に飾られてある。
神殿の像にもなっている。
「か…神様。龍神様。龍…リョウ」
呟きながら、何が何だかわからなくなっていると、龍神様が(いやリョウと呼ぶべきか)ゆっくりと語り始めた。
「あの釣り針は悪魔の釣り針で、人間の欲を増長させる。最初は魚ばかりつれるが、しばらくすると、自分の欲しいものが釣れ始める。人間の欲は際限がない。欲しいものが手に入っても、満足することがない。
次々に他の刺激的なものを求めるようになる。
そして、最後には人の魂を釣るようになる。
魂を抜かれた人間は当然死んでまう。
数人の魂を釣り上げていくうちに、その人間は悪魔へと近づいていく。
ケイタはまだ今からだ。
そして知っているだろう。オークが地獄の使者だということを…」
僕はエレベーターでの出来事を思い出す。
「オーク、オク、奥先生…。」
点と点が線になる。エレベーターにのった時の、奥先生が出していた殺気は気のせいなんかではなかったのだ。
僕は地獄の使者からあの釣り針をもらったのだ。
それでも疑問が残る。釣り針はどうやってケイタの手を離れ、僕に渡ったのか?
生命の泉は一体?
リョウは僕が考えていることがわかったらしく、微笑しながら言った。
「それはまた次に語ることにする。
もうすぐ、みんなが追いつく。さあ、釣り針を湖の中に捨てるぞ、いいな。」
僕はリョウが釣り針を湖に投げ込む姿を、見ていた。何でも釣れる釣り針が少しずつ底に沈んでいく。
いざなくなると、惜しくて仕方なかった。
ちょうどその時、みんながやってきた。
僕達はまだ、この湖で何が起こるのかを知るよしもなかった。
続く…
これはその続きである。
僕は耳を疑って、リョウのほうを振り向いた。
「えっ、何て言った?」
「俺の顔、向こうの世界で見たことない?」
リョウの顔を見ていると、確かにどこか見覚えがある。なんだろう?
考えながら険しい顔をしていると、リョウは微笑んだ。何と爽やかな笑顔だろう。
その微笑んだ顔は、向こうの世界の至るところにあった。
あらゆる家の額縁に飾られてある。
神殿の像にもなっている。
「か…神様。龍神様。龍…リョウ」
呟きながら、何が何だかわからなくなっていると、龍神様が(いやリョウと呼ぶべきか)ゆっくりと語り始めた。
「あの釣り針は悪魔の釣り針で、人間の欲を増長させる。最初は魚ばかりつれるが、しばらくすると、自分の欲しいものが釣れ始める。人間の欲は際限がない。欲しいものが手に入っても、満足することがない。
次々に他の刺激的なものを求めるようになる。
そして、最後には人の魂を釣るようになる。
魂を抜かれた人間は当然死んでまう。
数人の魂を釣り上げていくうちに、その人間は悪魔へと近づいていく。
ケイタはまだ今からだ。
そして知っているだろう。オークが地獄の使者だということを…」
僕はエレベーターでの出来事を思い出す。
「オーク、オク、奥先生…。」
点と点が線になる。エレベーターにのった時の、奥先生が出していた殺気は気のせいなんかではなかったのだ。
僕は地獄の使者からあの釣り針をもらったのだ。
それでも疑問が残る。釣り針はどうやってケイタの手を離れ、僕に渡ったのか?
生命の泉は一体?
リョウは僕が考えていることがわかったらしく、微笑しながら言った。
「それはまた次に語ることにする。
もうすぐ、みんなが追いつく。さあ、釣り針を湖の中に捨てるぞ、いいな。」
僕はリョウが釣り針を湖に投げ込む姿を、見ていた。何でも釣れる釣り針が少しずつ底に沈んでいく。
いざなくなると、惜しくて仕方なかった。
ちょうどその時、みんながやってきた。
僕達はまだ、この湖で何が起こるのかを知るよしもなかった。
続く…