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尖閣で何を慰めたのか

2012年10月03日 | くまじろうの一言コラム


朝日新聞(2012年10月3日)のオピニオンから。
尖閣列島戦時遭難者遺族会会長 慶田城 用武さんのインタビューです。

<略>
 自民党の山谷えり子先生から電話がかかってきたのは7月23日です。日本の領土を守るため行動する議員連盟の会長さん、ですか。魚釣島で慰霊祭をしたい、政府に上陸許可申請をするので遺族会も同意してくれないかと。私は「遺族会は、御霊(みたま)を慰めて二度と戦争をしないことを目的にしています。『領土を守る』ということは目的が全然違うので同意できません」とはっきりお断りしました。連絡は後にも先にもそれ一度きりです。
 8月18日に石垣島の慰霊碑前で慰霊祭を開いておられますが、遺族会には案内はなかった。沖縄本島から神職3人を伴ってきて新道形式で行い最後のは「君が代」を斉唱した、報道で知り、驚きました。
 私たちの慰霊はずっと仏式です。しかもなぜ「君が代」なんでしょうね。翌朝には約150人が21隻の船に乗って洋上慰霊祭を行い、その後、10人が泳いで魚釣島に上陸したと。それだはっきりしたんですね。ああ、彼らの政治的なアピールに慰霊は利用されたんだと。
 昨年6月、石垣市長が政府に魚釣島への上陸許可を要請しました。島には69年に市が建てた慰霊碑がありますのでね。遺族会には相談はなかったので、私たちは「魚釣島での慰霊祭挙行は遺族会が望んだものではない」という声明を出しました。

<略>

 山谷先生は8月24日の国会で、野田佳彦首相から「遺族会は領土議連から上陸に対する同意要請を断った」と言われ、「それは間違っています」と反論されています。どういうことかと議事録を取り寄せて読んでみたところ、「私は遺族会の方に、今回一緒に申請なさいますかと聞いたら、『石垣市長が私たちの気持ちをくんで申請してくださっている』『もちろん上陸して慰霊をしたい、しかし政府が認めないなら私たちはどうすることもできない』と、どうしてそんなことを言うのでしょう。少なくとも遺族会の会長である私はそんな話はしていません。非常に憤りを感じます。
 尖閣諸島は間違いなく日本の領土です。かつて魚釣島にあったかつお節工場で働いていた人も八重山には多くいて、なじみ深いというか、近しい感覚があります。中国のは反日デモで、日系企業やスーパーが破壊されているのを見ると、日本人として胸が痛みますね。私は、国を愛する気持ちは人に負けないつもりです。

<略>

 石原慎太郎都知事の尖閣諸島購入を支持する人たちには、日本の主権を守るためだと言っていました。だけど米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定によって、米国人や軍属による事件や事故の被害者は泣き寝入りさせられてきました。主権が侵されている、改定してほしいと私たちはずっとお願いしてきましたが、主権を声高に言う人たちは本気で動いてくれたでしょうか。地元の反対を押して強行されるオスプレイの配備に反対の声をあげてくれたでしょうか。万が一、中国と事を構えることになった時に、国境を接する私たちの生活がどうなるのかを本当に考えてくれたことがあるのか。
 遠くにいる人ほど、大きな声で勇ましいことを言える。その結果生じた「ツケ」はまた、私たちに回ってくるのでしょう。

コメント
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