門前の小僧になりたいくらげ

学究的な空気に憧れて専門家の周りに出没しては雑感を綴るブログ。化石鉱物系がやや多し、の予定。

2017.05.28 金生山と金生山化石館〜学芸員と歩くふるさとの大地「西濃編」その2〜

2017年09月14日 | 古生物学・地学

 きのうの続きです。時間がないため金生山化石館に急ぎます。といっても場所は金生山の中腹、濃尾平野の説明を受けた場所のすぐそばです。

 「時間がありませんのでお早めに〜!」との講座責任者の声とともに館内になだれ込み・・・入り口で皆止まります。だって、入ってすぐのところに展示品が直置きされてるんですよ!ものによってはガラスで覆われてもいないんですよ!触れる距離です。いや、触りませんけれども。巨大なウミユリの産状化石の前で説明を受け、巨大二枚貝シカマイヤの前で・・・巨大巻貝ベレロフォンの前で・・・当時の海を再現したジオラマの前で・・・対応年表の前で・・・時間がなかったのでは?とこちらが心配してしまうくらい丁寧に説明してくださり、皆様大満足。と思ったら、これから下の階の展示も見に行くという。。。ほんとうに時間、大丈夫なんでしょうか。

 下の階は大理石の加工製品や他産地の化石が主に展示されており、真ん中のテーブルには作業中の細かい砂れきや化石がドーンと置いてありました。そして予想通り講座参加者は化石好きな方が多いので、質問やら化石探しやらが始まります。特に息子その1、真剣に化石を探し始めてしまいます。きりがないので

「化石探しは外に場所を確保してもらってあるから!」

と無理やり引っぺがし、化石探し体験場所へ。。。その様子は金生山その2。20170528の採取物にあるので省略しますが、やはり予定の時間を超過。次の目的地養老の滝に急ぐべく、慌ててバスに乗り込むのでした。

 ↑金生山化石館で販売されている書籍など。左端の<見学のしおり>はわかりやすくまとめてあって大助かり!

金生山化石館についてはこちら→金生山化石館公式サイト

金生山についてはこちら→金生山その1。日本の古生物学発祥の地(ブログ内関連記事)


2017.05.28 濃尾平野〜学芸員と歩くふるさとの大地「西濃編」その1〜

2017年09月13日 | 古生物学・地学

 今回は2017年5月に開催された岐阜県博物館講座の体験記です。講座のサブタイトルは〜大垣赤坂地域の美濃帯堆積物と養老山地の地学〜。はっきりいってくらげびとにとってはすごくハードルが高いです。が、古生物大好きな息子その1にせがまれ、おっかなびっくりの参加となりました。

 で、当日の朝。まずは岐阜県庁東側駐車場の北側に集合。って、駐車場すごく広いんですけど!タイムロス見越して早めに来たのに、やはり時間ギリギリまでさまよい、息子その1にため息をつかれてしまいました。

 気を取り直してバスに乗り込みます。おめあての小井戸由光氏は。。。来られませんでした。体調を崩されたそうです。この暑いなか、さらに体調が悪化されても困りますし。。。うーん、でも残念です。

 車内で小井戸氏ご提供の資料を説明していただきながら最初の目的地”金生山(かなぶやま通称きんしょうざん)”へ。ペルム紀中後期の模式地として有名な標高200メートルほどのこの山、現役の石灰鉱山でもあるのでいずれ消えてなくなる運命なんです。すでに山の西側は大きく削り取られ、山上の虚空蔵山明星輪寺(こくぞうさんみょうじょうりんじ)へ通じる道の部分だけが東端南北方向に残されています。息子その1にとっては日本の古生物学発祥の地であるここ金生山が本日のメインです。場所は地図をご覧ください。濃尾平野の北西の端の端、反対にいうと伊吹山の東端とも取れる位置です。

 そして1か所目なのになぜかすでに時間が押しており、明星輪寺とその北隣にある岩須公園は割愛。行ったことあるからいいけど。。。せっかく学芸員さんと一緒に来てるのにいろいろ聞きたかったな〜。写真はその明星輪寺へと続く道路上から東側を見た景色、濃尾平野の西端部です。写真で見ると盆地のようですが、平野の端っこです。

濃尾平野って愛知県の平野っていうイメージが強いんですが、岐阜県にもまたがっているんですね。しかも平野は西に向かって傾いているため、堆積物は岐阜側の方が深いという。。。この平野の傾き=「濃尾傾動運動」の詳細については講座でいただいた資料がわかりやすいので以下に一部引用します。

「これは、濃尾平野の西側が沈降し、東側の三河高原側が上昇することで、平野部全体が西へ傾く運動であり、」

「平野の西端には北北西〜南南東方向に養老-伊勢湾断層があり、それを境に西側の養老山地側が上昇している。この運動は数百万年前から始まり、平均して約0.5㎜/年ほどの速度で沈降しており、現在も続いている。(中略)平野の中を流れる木曽三川(きそさんせん)(木曽川・長良川・揖斐川)が河口に近づくにつれて養老山地側へ偏っていくのはこのためである。」

・・・大地ってダイナミック。

 

 

参考:学芸員と歩くふるさとの大地「西濃編」配布資料 MayJuly,2017岐阜県博物館

 

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9月初めは防災用品メンテナンス週間

2017年09月11日 | 日記

 メンテナンスというよりは道具の使い方や行動の動線を確認する週間かも。住んでいる地域で一番可能性が高い災害は地震!そして第一次避難場所は構造からいって自分の家より危険な感じなので自宅におこもり想定。となると大切なのは家でのサバイバル準備なわけですが。

 

 飲料はペットボトルの水を2日分ほどローリングストック。湯沸かし器が貯水タンク兼用タイプなのでそっちの水から先に使う予定です。タンクが壊れたら残念ながら避難所生活決定です。

 食料は20年保存できる缶詰を1日分用意、あとはツナ缶や粉末スープなどをローリングストック。いっぱいあっても持ち出せないし管理できないので。。。

 燃料はカセットコンロ及びカセットボンベ、蝋燭、マッチなど日常使いしているもので対応予定。

 情報については、、、乾電池や充電池は日常使いのもので十分。ラジオもOK。問題は携帯電話の充電です。我が家の情報担当者は災害時には仕事に駆り出されてしまうので、担当者がいなくても停電時に携帯への充電ができるようにしておかねば。。。!

 持病薬や最低限の衛生材料はローリングストック。肌着はどうしましょうね。

 そして未成年の子どもたちを安全な場所へ保護する、これがいちばん大変です。毎年シミュレート及び避難訓練時にテストするけど、うまくいく気がしません。そもそも避難訓練って大人が子どもを迎えに行くプランしかないですし、その大人が怪我して動けないとか救助必要な場合、どうするんですかね?真面目に考えだすと泥沼にはまりそう。。。

 

・・・という感じで毎年見直しているのに毎年不具合が見つかります。皆様はどうなさっているのでしょう?

 

 


金生山その2。20170528の採取物

2017年09月11日 | 古生物学・地学

 ↑金生山産の石灰石。フズリナが全面に見える。他の石灰岩は(巻貝&ウミユリのも含めて)息子が管理しているので画像なし。写真ぐらい取らせて!

 と、タイトルでは謳ったものの、はたして採取といっていいものか?先日のブログでも挙げました岐阜県博物館主催の地学講座<学芸員と歩くふるさとの大地「西濃編」>に参加した折、金生山の砕石屑を集めていただいた場所で化石探しを体験できました。化石探しといってもほぼすべての石にびっしりとフズリナがつまっており、どの石をお持ち帰りするか選り好みをするだけという太っ腹サービス企画で、息子その1はウミユリや巻貝の入った石をみつけて大喜びでした。くらげびとは化石好きな息子その1が見向きしなさそうな石をあえて選んでみました。例えば地名赤坂の由来になった「赤鉄鋼」や赤坂大理石細工の原料となる「大理石」、「紅更紗(鉄成分が混ざった方解石)」などなど。大理石鉱脈は江戸時代から続く採掘によって商業レベルではすでに消滅しているそうですし、1873年ウイーン万国博覧会に出品された日本の大理石細工の過半数が赤坂の職人の手によるものと聞くとやはり大理石は押さえておきたい!・・・でもくらげびとの知る赤坂大理石細工とは色が違うんですけれど、もしや他産地の大理石?

「ここにあるのは全て金生山の石です」byスタッフさん

あ、よかった。製材の端っこっぽかったので、限りなく不安だったんです。他産地の石と混ざって分からなくなる前にラベリングしておこう。。。でも、この場合採取者は誰になるんでしょう?くらげびと、ではないような、、、。今回石を運び込んでくださった山を所有しておられる業者さん←(複数ある)?・・・採取者欄は空白にしておいて今度聞いてみよう。

 

↑左下から時計回りに大理石・紅更紗・フズリナ化石を含む石灰岩・赤鉄鋼。紅更紗は他産地で紅寒水石と呼ばれているものとほぼ同じ?

金生山化石館付近の地図


金生山その1。日本の古生物学発祥の地

2017年09月10日 | 古生物学・地学

2017.05.28金生山(筆者撮影)


 ただの砂利採取場のように見えるこの山が岐阜県大垣市にある「日本の古生物学発祥の地※1」金生山(カナブヤマ※2)です。現在では山頂が定かではないほど削り取られているこの山で産出したフズリナ化石を明治7年(1874年)にギュンベル氏(独)が紹介しておられ、これが学術的に記載された日本産化石の初出だそうです。ここから日本の古生物学が始まったと思うとワクワクします。

 この山は全体が古生代ペルム紀の化石の塊で、フズリナやサンゴの化石がごろごろ産出します。シカマイヤやウミユリの化石も常識外れに大きく、巨大化の理由がもっと知りたくなります。山の中腹にある大垣市金生山化石館に行けば担当者さんのお時間があるときには詳しい解説をしていただけます。

あ。注意事項です。基本的に山での化石採掘はできません。金生山は海外でも有名なペルム紀化石の産地であると同時に日本有数の石灰鉱山でもあり、江戸時代から現在にいたるまで採掘が行われているため、当然ながら一般人は鉱山内立ち入り禁止です。明星輪寺という虚空蔵菩薩をご本尊とするお寺も山の中にありますが、これまた当然採掘も採取も禁止です。石灰を掘り尽くして山がなくなる前にこの目で見てみたい!調査したい!という方は金生山化石研究会に加入されると、年1-数回の巡検に参加できます。また、岐阜県博物館主催の地学講座西濃編に参加されると運が良ければ砕石屑から化石探しができたりします。興味を持たれた方は一度お問い合わせください。

 岐阜県博物館公式HP
 大垣市金生山化石館公式HP
 


※1 諸説あります。例えば東京帝国大学は明治10年に地質学教室が開設され、
   ナウマン教授(ギュンベル氏の弟子)による 指導が始まっているので
  「学問発祥の地」である、とか。
※2 通称は「キンショウザン」。


参考:「化石館だよりNo.69」Jan.2017大垣市金生山化石館発行
   「金生山化石調査報告書」Mar.2015大垣市教育委員会発行