暗闇検校の埼玉県の城館跡

このブログは、主に、私が1980年代に探訪した中近世城館跡について、当時の写真を交えながらお話しするブログです。

平山家住宅(埼玉県旧江南町)

2019-06-09 00:25:52 | 古い建物
平山館は、武蔵七党西党に属した一族です。

西党は東京の多摩川周辺に勢力を張っていましたが、平山氏が鎌倉幕府の信任が厚く

実力を蓄え、檜原城に君臨しました。

室町期の関東の混乱の中で、山内上杉氏、北条氏に従いましたが、

北条氏の滅亡とともに、江南町樋春に居を構えて帰農しました。

訪問日は、2018年08月09日です。

私が、平山家住宅に行ったのは二つの目的がありまして、一つは館跡遺構を確認すること、

もう一つは、かやぶき屋根の状況を確認することでした。

家屋はご当主にご案内いただきました。





ご当主にお悩みの点について伺ったところ、屋根の葺き替えが必要な状態にあるにもかかわらず、

資金不足で葺き替えができないということでした。

なるほど、屋根の痛みはかなり進んでいるようです。



平山家クラスのかやぶき屋根になると、現在の相場では、1,000万円以上(材料費・施工費込)かかります。

材料になる水生植物のカモノハシという植物は、市場がなく相対取引なので単位当たり取引額は一切わかりませんが、

平山家の規模になると、現在のレートでは大体300万円と試算しました(昭和52年の補修工事では、

やく280万円。現在の試算の根拠は明らかにできないので、まあ、大づかみに理解してください)。

麦わら葺き、ヤマガヤ(ススキ)葺きもありますが、麦わら3年、ヤマガヤ10年と言われ

(ヤマガヤについての評価は産地・職人ごとに評価がまちまちです)、水生植物の茅やカモノハシが50年もつと

いわれるほど評価が高いです。

写真のような状態では、屋根の中にカブトムシの幼虫が出てしまうかもしれません(というか、出ます。

他地域の聞き取りで、カブトムシの幼虫が落ちてくる話はよく聞きます)。

本来は、保存に地方自治体や文科省が補助金を出すことになっていますが、

財政難を理由に出し渋っているのが現状です。










屋敷の中はさすがに立派です。

平山家は庄屋を務めていましたが、経済史でいえば自作地主にカテゴライズされるくらいの

土地所有状況だったようで、「豪農なんてものじゃないよ」と笑っていらっしゃいました。












現在かやぶきの材料調達と、職人技術について調べていますが、

なかなか、困難です。

公開できる情報が集まったら、書きたいと思っております。