自宅を出るときには、軽い足慣らしのつもりだったが
雷雨予報の状況ではのんびり歩いてもいられない。
日の出平から南月山への道は、灌木帯の中を少し下るように
なって、ツツジやナナカマドと笹の多い道である。
しかし道の脇は誰かが笹を刈って、きれいに手入れされていた。
草むらに咲くアキノキリンソウ
笹の中からはい出すようにしてトモエシオガマ(たぶん)が
咲いていた
コケモモの実が一個、かろうじて残っていた
この日、登山道に沢山止まっていたキベリタテハ
(路上の黒く見えるものがキベリタテハ)
私が歩いていくと、次から次へと舞い上がり空中で
乱舞した。
飛び交うアキアカネとキベリタテハの乱舞が私の
道連れだった。
笹にとまっていたキベリタテハ
この蝶は、花の蜜を吸うことはなく、樹液や腐った果実
あるいは獣糞などの汁を吸うそうである。
ちょっと汚そうであるが、それは人間の感覚での話しで
虫の世界ではよくある話である。
また林道や湿地に現れる性質を持っているらしい
(らしいと書いたのは、私に昆虫の知識が無いからだ)
やがて黒っぽい火山礫の降り積もった南月山の尾根につくと
本来、高山帯に生えるハイマツが有り、1700メートル級の
尾根とは思えない感覚が味わえる。
南月山は、茶臼岳が別名「月山」と呼ばれるのに対して、それより
南にあるので「南月山」と呼ばれるようになったと聞いている
ここは8月のハクサンオミナエシの群落と9月のイワインチンの
群落が有ることで知られている。
イワインチン(岩茵陳)・キク科キク属の多年草・別名インチンヨモギ
名前の由来は、河原ヨモギの別名「茵陳ヨモギ」に似ていて
高山の岩場に咲くので名付けられたという。
この花の基準標本は、日光の女峰山であるが、こちらの
南月山が登りやすいのでついつい(笑)
この花には舌状花はなく、管状花の集まりである
上の写真をトリミングで拡大したもの、但し
カメラ任せで撮ったので、細部はぼけている、ごめん
頭花を形成する、小花の周辺部は雌花、中心部は両性花
だそうである。
辺りを見回すと、ハクサンオミナエシの咲き残りが数本
まだ残っていた。
この花は別名「コキンレイカ」と呼ばれるが、私は
その別名の方が好きだ。
小さい金色の鈴の花というネーミングが絶妙だ
涼やかな音色が聞こえてきそうではないか。
日の出平から伸びている尾根の一つが笹の葉に覆われて
緑色に輝いている。
けれども、その向こうの空には雲が沸き立っている。
振り返ると南月山の頂上付近は、霧にすっぽり隠れていた。
目的のイワインチンも見たし、怪しい雲行きになってきたので
そうそうに戻る事にした。
日の出平に向かう途中で、同年代と思われる男性と会った
何か咲いてましたかと言うので、イワインチンが咲いてますよ
でも空模様が怪しいので帰りますと言って別れた。
日の出平の分岐まで戻って、茶臼岳を見ると、まだ上に青空がある
もう少し持ちそうだなと思って、ベンチに腰掛けて軽い食事にした
そうこうしているところに、先ほどの男性も引き返してきて
食事の準備を始めるのだった。
天候の話やトリカブトが多い事などをかわした後、私は「お先に」と
声をかけて牛ヶ首に向かった。
確かこの辺にダイモンジソウが有った筈と下りのザレ場を探すと
やはりダイモンジソウが草むらに咲いていた。
ダイモンジソウと言っても、大の字に見える花は少ない
ミヤマシャジンの咲き残りがただ一つ岩場の影で咲いていた
雨か朝露で濡れたその花は、わびしい姿だった。
この写真は行きの時に日の出平の岩場から撮影したもの
坂道を下っていると、下から登ってくる熟年夫婦とすれ違った
これから登って大丈夫だろうかと思ったが、挨拶だけで別れた
牛ヶ首に到着すると、先客の二人連れの女性にコースを尋ねられた
ロープウェイ山頂駅から歩いて来て、峰の茶屋経由で下山したいという
ただ荷物をロープウェイの山麓駅に預けてあるので、そこへ
下山できるかとの事だった。
女性の一人が地図を持っていたので、現在地はここ、峰の茶屋は
ここと言う風に説明して、およそ2時間を見れば良いと説明したが
女性の足で2時間で着いたろうか。
ふと峰の茶屋方向を見ると、小学校なのか中学なのか判らないが
大部隊の行列がこちらに向かっていた。
雷雨予報の中でよく登ってきたものだ。
あの二人連れは、まだコースを歩き始めたばかりで、それを
知らない。
すれ違いに、きっと難渋するであろう。
私も喉を潤し、汗を拭いて山頂駅に向かった
22番の道標を過ぎて、東側に回り込むと、下から霧がわき上がって
あっという間に霧に閉ざされた。
霧の中のエゾリンドウなどとしゃれて撮影したが
よく見れば花は痛んでいるし、カメムシのような
虫もとまっていた。
山頂駅に着いて「無事帰ってきました」と言うと
改札担当の女性職員が「お疲れ様」と笑っている。
12時過ぎのロープウェイで降り、八幡の駐車場に
車を駐めて、自然研究路を歩き回った
やがて遠雷が聞こえ、雨が降り出した。
車に戻ると本格的な雨となった。
おしまい。
雷雨予報の状況ではのんびり歩いてもいられない。
日の出平から南月山への道は、灌木帯の中を少し下るように
なって、ツツジやナナカマドと笹の多い道である。
しかし道の脇は誰かが笹を刈って、きれいに手入れされていた。
草むらに咲くアキノキリンソウ
笹の中からはい出すようにしてトモエシオガマ(たぶん)が
咲いていた
コケモモの実が一個、かろうじて残っていた
この日、登山道に沢山止まっていたキベリタテハ
(路上の黒く見えるものがキベリタテハ)
私が歩いていくと、次から次へと舞い上がり空中で
乱舞した。
飛び交うアキアカネとキベリタテハの乱舞が私の
道連れだった。
笹にとまっていたキベリタテハ
この蝶は、花の蜜を吸うことはなく、樹液や腐った果実
あるいは獣糞などの汁を吸うそうである。
ちょっと汚そうであるが、それは人間の感覚での話しで
虫の世界ではよくある話である。
また林道や湿地に現れる性質を持っているらしい
(らしいと書いたのは、私に昆虫の知識が無いからだ)
やがて黒っぽい火山礫の降り積もった南月山の尾根につくと
本来、高山帯に生えるハイマツが有り、1700メートル級の
尾根とは思えない感覚が味わえる。
南月山は、茶臼岳が別名「月山」と呼ばれるのに対して、それより
南にあるので「南月山」と呼ばれるようになったと聞いている
ここは8月のハクサンオミナエシの群落と9月のイワインチンの
群落が有ることで知られている。
イワインチン(岩茵陳)・キク科キク属の多年草・別名インチンヨモギ
名前の由来は、河原ヨモギの別名「茵陳ヨモギ」に似ていて
高山の岩場に咲くので名付けられたという。
この花の基準標本は、日光の女峰山であるが、こちらの
南月山が登りやすいのでついつい(笑)
この花には舌状花はなく、管状花の集まりである
上の写真をトリミングで拡大したもの、但し
カメラ任せで撮ったので、細部はぼけている、ごめん
頭花を形成する、小花の周辺部は雌花、中心部は両性花
だそうである。
辺りを見回すと、ハクサンオミナエシの咲き残りが数本
まだ残っていた。
この花は別名「コキンレイカ」と呼ばれるが、私は
その別名の方が好きだ。
小さい金色の鈴の花というネーミングが絶妙だ
涼やかな音色が聞こえてきそうではないか。
日の出平から伸びている尾根の一つが笹の葉に覆われて
緑色に輝いている。
けれども、その向こうの空には雲が沸き立っている。
振り返ると南月山の頂上付近は、霧にすっぽり隠れていた。
目的のイワインチンも見たし、怪しい雲行きになってきたので
そうそうに戻る事にした。
日の出平に向かう途中で、同年代と思われる男性と会った
何か咲いてましたかと言うので、イワインチンが咲いてますよ
でも空模様が怪しいので帰りますと言って別れた。
日の出平の分岐まで戻って、茶臼岳を見ると、まだ上に青空がある
もう少し持ちそうだなと思って、ベンチに腰掛けて軽い食事にした
そうこうしているところに、先ほどの男性も引き返してきて
食事の準備を始めるのだった。
天候の話やトリカブトが多い事などをかわした後、私は「お先に」と
声をかけて牛ヶ首に向かった。
確かこの辺にダイモンジソウが有った筈と下りのザレ場を探すと
やはりダイモンジソウが草むらに咲いていた。
ダイモンジソウと言っても、大の字に見える花は少ない
ミヤマシャジンの咲き残りがただ一つ岩場の影で咲いていた
雨か朝露で濡れたその花は、わびしい姿だった。
この写真は行きの時に日の出平の岩場から撮影したもの
坂道を下っていると、下から登ってくる熟年夫婦とすれ違った
これから登って大丈夫だろうかと思ったが、挨拶だけで別れた
牛ヶ首に到着すると、先客の二人連れの女性にコースを尋ねられた
ロープウェイ山頂駅から歩いて来て、峰の茶屋経由で下山したいという
ただ荷物をロープウェイの山麓駅に預けてあるので、そこへ
下山できるかとの事だった。
女性の一人が地図を持っていたので、現在地はここ、峰の茶屋は
ここと言う風に説明して、およそ2時間を見れば良いと説明したが
女性の足で2時間で着いたろうか。
ふと峰の茶屋方向を見ると、小学校なのか中学なのか判らないが
大部隊の行列がこちらに向かっていた。
雷雨予報の中でよく登ってきたものだ。
あの二人連れは、まだコースを歩き始めたばかりで、それを
知らない。
すれ違いに、きっと難渋するであろう。
私も喉を潤し、汗を拭いて山頂駅に向かった
22番の道標を過ぎて、東側に回り込むと、下から霧がわき上がって
あっという間に霧に閉ざされた。
霧の中のエゾリンドウなどとしゃれて撮影したが
よく見れば花は痛んでいるし、カメムシのような
虫もとまっていた。
山頂駅に着いて「無事帰ってきました」と言うと
改札担当の女性職員が「お疲れ様」と笑っている。
12時過ぎのロープウェイで降り、八幡の駐車場に
車を駐めて、自然研究路を歩き回った
やがて遠雷が聞こえ、雨が降り出した。
車に戻ると本格的な雨となった。
おしまい。