一通り展望を楽しんだので、時計を見ると10時を
過ぎたばかりだった。
みんな食べているので昼に近いのかと思っていたが
2時間も早い。
しかし栄養補給と水分補給をかねて、私もアンパンと
ウイダーインエネルギーとアクエリアスを飲んだ
身支度していると、またもや団体の中高年が登ってきた
すれ違った人に「富士山が見える」と聞いてきたらしい
開口一番「富士山が見えますか」と聞く
日本人には、何と言っても富士山である。
これほど日本人の精神構造に影響を与えた山は有るまい
深田久弥も日本百名山で「世界各国にはそれぞれ名山がある
しかし富士山ほど一国を代表し、国民の精神的資産となった
山はほかにないだろう。」と語り「もしこの山が無かったら
日本の歴史はもっと別な道をたどっていたかもしれない」
とまで述べている。
確かに考えて見れば、深田が述べているように、一夏に
3千メートルを超すような高山に、数万の登山者が登る
山は他に無いかもしれない。
桐生岳の山頂は狭い、私は「お先に」と挨拶して下り
隣の仁田山岳の「赤城山眺望」と書かれた展望地に行った
ここから真正面に見えるのが、上に掲載した赤城山である
仁田山岳のヒメイワカガミを覗いてみると、花が少なく
しかも開いていなかった。
今年の異常気象は、花の時期も狂わせている。
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頭上に咲く東国ミツバツツジも咲き始めで、花が少ない
登りで途中までご一緒したご夫婦と、また出会って
椚田峠を目指して一緒に下った。
遠くで夏鳥と言われる「ツツドリ」が鳴いている
ポッポッポッと竹筒を打つ音に似ているからツツドリと
言うらしい。
そののどかな鳴き声とは裏腹に、自分の卵を他の鳥の
巣に預けて育てさせるずるがしこい鳥である
最もこれは花友からの受け売りであるが。
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尾根の林の中には、今にも咲き出しそうなヤマツツジの
赤い蕾が見えた。
椚田峠に着くと、下から団体であろう賑やかな声がした
カッコソウの保護地の方から、大勢の登山者が登って来ていた
1団体が登り切ったので、降りていったらまたもや
1団体が登ってきた。脇に避けて道を譲る
いずれも中高年の団体で、中にはヨロヨロしている人もいた
一番最後尾から登ってきた女性が、「団体が全部いなくなった
ので、今行くとカッコソウが静かに撮れますよ」と笑って言う
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カッコソウの花
ロープで囲われたカッコソウの保護地に降りると、犬を連れた
地元の方らしい人がいた
放し飼いの犬で有ったが、私のそばに来てじっとしている
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杉の林に咲くカッコソウの様子
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保護地に建てられている注意書き
根が浅いので、踏まれると切れてしまうと書いてある
保護地の下の方で話し声がするので、そっちを見ると
以前この山でお会いした「こつなぎ」さんに似ている
しかし数年ぶりなので確信が無かった。
そちらの方もこっちを気にしている様なので降りていった
パトロールの腕章もしているので「パトロールですか」と
さりげなく聞いた。
「こつなぎさんですよね」と尋ねるとそうだと言う。
こつなぎさんも、私の黄色いスパッツに覚えが有って
私ではないかと思ったという。
それからしばらくの間、杉の林の下で、諸々の話を交わした
本当はもっと話をしたかったのだけれども、私のとんだ失敗で
明るい内に帰らなければならない理由が有った
こつなぎさんに理由を説明して別れたのだった。
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ルイヨウボタン、カッコソウの保護地の近くに群生している
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ルイヨウボタンの花の部分
この花は茎が細く、少しの風でも揺れる
ボケるし、アップしたら蜘蛛の巣までついていた。
まあ良い、そのうち傑作を撮ってやる!! (笑)
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ヤマブキソウ
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ヤマブキソウ
下山口のこつなぎ橋までは、沢ぞいの道を下ってゆく
道沿いにヤマブキソウの花が盛りで、次から次へと花が見つかった
残念ながらシロバナエンレイソウは終わっていた。
その代わり杉の葉の間からフタバアオイの葉が沢山出ている
下を覗くと、葉の茎の途中から花が出ていた。
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フタバアオイ・別名カモアオイ・ウマノスズクサ科カンアオイ属
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葉柄の基部に花がつくフタバアオイ
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フタバアオイが群生
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沢沿いの道を下れば
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小滝が有ったり
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徒渉する場所が有ったり、
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ようやく「こつなぎ橋登山口」についたのは
12時48分だった。
すぐ近くに「こつなぎ橋」という橋が架かっている。
前回ここについたとき、カジカの涼やかな声がしていたが
昼のこんな時間では、聞こえるはずもなかった。
舗装された長い道を歩いて、大滝登山口についたのは
午後の1時過ぎであった。
おしまい