このところ、熱が下がりません。
偏頭痛がして、毎日朝から晩まで、
苦しめられています。
出会いの場面を、一生懸命、思い
出していたせいでしょう、躰は
重くても、心は軽いのです。
沈むことのない太陽のように、
力強く順ちゃんだけを見つめ続け
ていた日々のわたしが、皮膚の内
側に甦り、息づいているようなの
です。
熱が出ると、背中のまんなかあた
りが、しくしく痛みます。神経の
一本一本、細胞のひとひらひとひ
らが、まるで涙を流しているみた
いに、痛いのです。乾かない痛み
って、わかりますか?
染み通ってくる痛みっていうのか
しら。歯痛に似ているかもしれな
い。つらい痛みだけれど、それで
もわたしは、嬉しくなります。
ああ、生きているだなって、わ
かるから。
名残り惜しいけれど、このお手紙
はここでいったん、お仕舞いにし
ますね。
この続きは、どんなに遅くなって
もきっと、きっと、また書きます。
だから、待っていてね、音羽さん。
あなたが今いる場所にも、光が
射し込んでいますように。た
とえ小さな窓であっても、晴れ
の日はそこから、青空が見えて
いまうように。
ひとつぶの砂のような
愛を籠めて
とき子より