男は、遊牧民だった。
けれど、羊も山羊も牛も
馬も犬もロバも飼っては
いない。
家族もいない。友だちも
いない。遊牧民はまった
くもって、ひとりぼっち
だった。
アーモンド色の瞳と、地図
のように広い背中と、ぶあ
つい手のひらの持ち主。
背中のまんなかまで伸びた
髪の毛には、銀色の白髪が
混じっていた。
きょうこそ、あの男に
好きといわせてやる。
鈴愛は握りしめたペンに
きりきりと力(りき)を入れた。
男は、遊牧民だった。
けれど、羊も山羊も牛も
馬も犬もロバも飼っては
いない。
家族もいない。友だちも
いない。遊牧民はまった
くもって、ひとりぼっち
だった。
アーモンド色の瞳と、地図
のように広い背中と、ぶあ
つい手のひらの持ち主。
背中のまんなかまで伸びた
髪の毛には、銀色の白髪が
混じっていた。
きょうこそ、あの男に
好きといわせてやる。
鈴愛は握りしめたペンに
きりきりと力(りき)を入れた。
「もうダネ・・・」な
はずはない
新コロナ・ウイルス関連で
もしも私が人生に絶望し、
もう生きていくのがつら
と思っても、
カーテンの隙間から差し
込む光のような希望を
持てたらいい。
重なり合った葉の隙間から
見える青空のような希望を
持てたらいいと思う。
きっと希望とは壮大なもの
ではなく、日々生きていく
ことを勇気づけるささやか
なものなのかもしれない。
あまりに淋しすぎると、
人はそれ以上感じな
いように心を守ろうと
するものだ。
「やっぱり会わなくちゃ
だめね」
「顔を見て話さないと
だめね」
会えない時間に愛を
育てることもできる。
でも、自分の作り上げた
悲しい物語の主人公に
なってしまうこともある。
けれどその世界には
体温がない。
なぜ今まで気づかずに
いたのだろう。
なぜ時間は過ぎ去って
いくものだということ
を速くキャッチしなか
ったのか。
夏が永遠に続きそうに
感じるのに似て、若い
ということに甘えきっ
ていたのだ。
ありのままの自分で
いられる時間と場所が
いつまでも目の前に
あると錯覚していたの
だ。
あと一年しかないと思って
何もしない人は、5年あって
も10年あっても何もしない
と思います。
『僕の生きる道』ドラマより
余命一年と宣告された教師・
中村秀雄が生徒に語る言葉
より。
ここに一冊の本があるが、
今度読もうと思いつも随分
と年月が経ってしまった。
しかし本当のところは、
読めなかったのではなく、
読もうとしなかった結果
だと語る。
このことに気がつかない
限り、この本を読むことは
ないのだ。
そしてこれはあらゆる事柄
にあてはまる。
人は時間があとわずかしか
ないと嘆き続け、結果的に
何もしないということが
どれだけ多いことか。
今の季節になぜと思うあなたへ、
年賀状の負担は、夏休みの
していなかった宿題のよう
なもの。
だから、年々年賀状を出す
人が減っている。
たった一枚の、小さくて、
うすい紙。
それが年賀状です。
そこには何も入らない。
指輪も、セーターも、シャ
ンパンも入らない。
でも、そこには、あなたを
入れられる。
あなたの気持ちを、あなた
の言葉を、
あなたの表現を入れる
ことができる。
だから年賀状はすばらしい。
そう思いませんか。
大切な人のもとへ。
命の大切さが身に染みる
今こそ、
一年で、いちばん初めに
届けられるプレゼント。
自分より大きな何か出会い
たい。それは目に見えない
ものかもしれないし、誰か
尊敬する人かもしれない。
自然だって私が出会いたい
大きなもののひとつ。
ある日、南の海を眺めてい
たときに、突然クジラが
ジャンプするのを目撃した
ことも・・・・。
その瞬間の感激と、胸が熱く
なる思いは、きっと私を励ま
しつづけるんじゃないかと
思う。