「リトル・バイ・リトル」
島本理生 著
はじめてこの作家の本を読んだ。
とてもここちいい。
小説の内容もそう思わせるのだろうけれど、
胸に落ち着かせる言葉と文章。
子供のころの場面たちは、
大人になってみると感慨深くなる。
そこがまた立ち止まらせてくれて、
深くしみこんでいく。
主人公は高校卒業のふみ、
それから妹のユウちゃん、母の三人家族。
三人のゆるやかな会話と柔らかな切実が、
ポンポンと跳ねるように
ひとつずつの現実を夢に変えていく。
真理はシャボンのように、
息を吹きかければいくつもでてくる、
世界の繭となって。
雪は心を塞いでくれて、雪は体を沁み込んでいき、
雪は静かに降るもので、基本的に閉じ込められた白い世界。
英語は苦手。リトル・バイ・リトル。