京都夏物語 (SUIKO BOOKS―京都物語シリーズ) 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:1999-07 |
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京都でどの季節が一番好きか、というと私は夏だ。
桜の京都(春)、紅葉の京都(秋)、雪の京都(冬)ももちろん美しいし、
それぞれに風情もあるのだが、私は夏が一番いい。
祇園祭や大文字があるからだろうか。
たしかに、祇園祭の山鉾巡業の日までの期間、
街全体にコンチキチンという鈴の音が響くの情緒は格別だ。
しかし、そんな特別のことがなくても京都の夏はいい。
たとえば、夏の日、今出川通りを歩いていると、
片側の同志社のキャンパスには夏休みで人影もないのに、
反対側の京都御苑の森からは蝉の声があわさって轟音のように聴こえてくる。
尋常ではない京都の暑さの中で、それこそ、蝉の声が地鳴りのように響いてくる、
という感じだが、私にとって京都の夏の強烈なイメージの1つだ。
うまくお伝えすることはできないと思うが、このようなことがあるから、
私は夏の京都が好きなんだと思う。
大文字は少し寂しすぎる。
京都のお盆の行事では、
祖先の霊を迎えるという六道珍皇寺の梵鐘が響き渡る行事の方が好きで、
祖先の霊を送るといわれる大文字が昔からなんとなく苦手なのは、
客人が家に来ると無性にうれしくなり客人が帰るときには泣きたくなるほど寂しかった、
子供の頃の記憶の名残だろうか。
いずれにしろ、大文字の送り火は、大好きな京都の夏というものがこれで終わるのだ、
というなにやら象徴めいていて、いまだに苦手なままだ。(Y)