京都が舞台になっている小説を、何冊か、枕元に置いておかないと落ち着かない。
山村美沙、和久峻三、柴田よしき、西村京太郎、吉村達也、木谷恭介、などいろいろな作家の作品を試してみたが、寝室で読む小説として、最適かな、と今思うのが、澤田ふじ子さんの時代小説。
奇妙な刺客―祇園社神灯事件簿 (中公文庫) 価格:¥ 620(税込) 発売日:2001-12 |
夜の腕―祇園社神灯事件簿〈2〉 (中公文庫) 価格:¥ 620(税込) 発売日:2004-03 |
真葛ヶ原の決闘―祇園社神灯事件簿〈3〉 (祇園社神灯事件簿 (3)) 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2004-03 |
たとえば、この祇園社神灯事件簿シリーズは、祇園社(現在の八坂神社)の、神灯目付役(祇園社の境内の灯籠に火を点し、それらの見回りに当たる役)の、植松頼助という、公家の庶子に生れた、若侍が、祇園界隈で起こる、不思議な事件を次々に解決していく、という物語(大体、一冊に四話の作品が収められている)。
澤田さんの時代小説のいいところは、舟が往来していた頃の高瀬川など、江戸時代の京都の風景描写がふんだんに盛り込まれているところ。
この祇園社神灯事件簿シリーズでは、神灯目付役というものを主人公に設定している関係上、電灯どころかガス灯もなかった時代の、京都の夜の闇、というものが、ありありと現前に浮かぶように描かれているのだ。
澤田さんは、江戸時代の京都、というものを発見した作家、とも云われる。
幕末、という激動の時代の京都、ではなく、太平の世に、日々の生活が、ただただ繰り返されていた時代の京都を舞台に咲いた、ホロリとするような一輪の人情話、
澤田さんの時代小説の世界を一言で云えば、そんな感じなのだが、
澤田さんの人情話には、独特の癒しの効果があり(→この点、澤田さんの手腕には定評がある)、
最近どうも寝付きが悪い、という御同輩には、是非オススメ !
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