モネなどの印象派や、ゴッホやセザンヌといった後期印象派、に偏し過ぎていた、従来の19世紀のフランス絵画理解が、修正されつつある(保守アカデミーの存在が見直されつつある)、ということは、本ブログでも書いたことがある(→本年3月2日「フランス絵画の19世紀展」)。
しかし、従来、美術史から抹殺されてきただけあって、19世紀フランスの保守アカデミーの実態を知るのは容易ではない。
(たとえば、フランス美術史の名著として定評のある、高階秀爾さんの、「フランス絵画史」、を見ても、ほとんど、19世紀の保守アカデミーについては触れられていない)
フランス絵画史―ルネッサンスから世紀末まで (講談社学術文庫) 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:1990-04 |
西岡文彦さんの、「絶頂美術館」、という本を読んで、フランス保守アカデミーに興味はもったものの、さらに突っ込んで調べようにも良い本が無く、途方に暮れていたところ、最近、たまたま関連の二冊の本を入手することができた。
そのうちの一冊は、「アカデミーとフランス近代絵画」という本。
アカデミーとフランス近代絵画 価格:¥ 5,775(税込) 発売日:2005-04 |
著者は、アルバート・ボイムという、近代美術史が専門の、カリフォルニア大学教授の方。
従来の、印象派、対、保守アカデミー、という図式的な、二項対立的な、19世紀フランス絵画史理解を克服し、両者の連続性や共通性を説くことで、保守アカデミーの復権を図っている。
スケッチや、絵筆のタッチなど、実作の恐ろしく具体的なレヴェルにまで、踏み込んで書かれている、力作。
もう一冊の本は、洋書で、以下のタイトルの本。
The Lure of Paris: Nineteenth-Century American Painters and Their French Teachers
価格:¥ 10,013(税込)
発売日:1991-04
19世紀のアメリカの画家たちが、如何に、フランスの保守アカデミーの画家たちから強い影響を受けたか、が綴られている。
その後、フランス絵画が、キュビズムや抽象絵画といったかたちで、メルトダウンしていくのに対し、アメリカ絵画は、頑固なまでに、具象性、写実性にこだわってきたが、
それがもし、本書に書かれているように、フランス絵画の伝統が、アメリカに渡って、生き続けたものなのだとしたら、随分と面白い話だと想う。
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