セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

読書ノート「カチューシャの青春」その2

2006-01-04 22:47:52 | 文化
この時期は、朝鮮戦争の影響もあると思うのだが、権力側も左翼側も対立が先鋭化していたみたいだ。社会でも下山国鉄総裁の轢死事件など怪事件(主人公=著者は権力の謀略説)が起っているだけでなく、人心も険しくなっていた。警察の警備課長が、「おれたちはおまえたちを人間とおもっていない」と言うし、他方メーデーに参加した俳優は、プラカードで警官を殴ったのだが、釘の出ているほうでは打てずひっくり返して殴ったことを、後悔して自分の弱さをなげいたそうだ。

主人公は、マッカーサー批判の演説を行ったとして、占領軍の政令違反で指名手配となって、逃亡生活をしながら民商の活動もしていたが、とうとう演劇の世界に入ることができた。失業時代も劇作家の勉強をしていたらしいから希望の方向に進めたということだろう。
新協劇団という劇団の研究所の研究生になったのだ。逃亡者だから名前を変えてだが。ここから主人公の名は三木順一となる。その劇団の中心人物は村山知義という人。戦前からのプロレタリア芸術家。ただし社会主義レアリズムというのではなくてダダイズムとか言う前衛芸術で活躍した人みたいだ。僕が村山知義という名前で思い出すのは「忍びの者」のというテレビドラマだ。その原作の小説の作者が村山知義だ。テレビドラマの主人公の石川五右衛門は品川隆二だが、映画では市川雷蔵だった。品川隆二は他のテレビシリーズの「素浪人月影兵庫」と「素浪人花山大吉」で焼津の半二役をやっていた。主演は両シリーズとも近衛十四郎。なぜ焼津の半二の役名が同じで、主役の役名が違うかというと・・おっと話がだいぶそれた。

研究生である主人公を演技指導したのは西村晃や佐野浅夫らの劇団員。おお黄門様の2代目と3代目ではないか。