セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

名古屋市議会議長の辞任拒否

2012-03-17 15:44:38 | 名古屋

今名古屋市政で一番の話題は、市議会の中村議長が慣例の議長職一年交代を拒否して自治法で定められた任期一杯(つまり議員任期と同じ)やるといって、所属する第一党の減税日本はじめ全議会から総スカンをくっていることだ。議会の全会派の賛成で議長不信任決議案が採択された。しかしそれは法的拘束力がないので中村議長を辞めさせられない。不信任決議が有効でないというのは法の不備のような気がする。信頼がなくては議長職は続けられないものね。でも僕の論点は少し違う。

前にも書いた気がするが、議長は地方自治法で議員の任期つまり次の議会選挙までと決まっているのに、多くの自治体も慣例で議長副議長は1年交代としている。これはできるだけ多くの議員に元あるいは現議長・副議長の肩書きを持たせて選挙を有利にさせようという議員互助会的発想による。

今居る議員にとって議会の他党派の議員は敵ではないし同じ選挙区の同僚議員も敵ではない。市長は別としても議員の敵がいるとしたら、外から割り込んでこようとする新人候補者だ。このため議員たちは暗黙のルールを決めている。選挙のときに争点を作ってはならない。これは争点ができると市民の意識の動向で当落が左右されるからだ。また争点ができると投票率が上がるため、後援会を抑えただけでは当選がおぼつかなくなる。だから今までは共産党以外は首長の同じく与党で議会会派としてのマニフェストも出さないできたのだ。そうすれば低い投票率のなかで後援会さえバス旅行で抑えれば、死ぬまで責任が全くなくて高級の安楽な生活が保証される。

たから今までは議員が政策提言しないような構造ができていたの。アメリカの州知事並の収入をもらっているがほとんど責任のない議員が州知事の数50人より数多く名古屋市議会にいたわけだ。

だから減税日本の議員たちの当選後の行動をみると早くも利権に染まっているようにみえる。減税日本の議員達も多くは地盤看板鞄なくて議員になれるから減税日本の候補者になったのであって、本当は民主党でも自民党でもよかったのではないかと思う。中国の諺に「よい鉄は釘にならない、よい人間は兵隊にはならない」というのがあるが、日本ではよい人間は議員にはならないだろうと思う。

大村愛知県知事の政治塾にも河村名古屋市長の政治塾にも応募者が多いようだが、その中にどれほど世の中をよくしたいと真面目に考えている人はどれほどいるだろうか。世の中をよくしたいとほとんどの人は考えているだろうけど、自分の生活の向上ができた上で世の中をよくしたという名誉も欲しいということじゃないかな。

でも河村市長の政治塾の講師が上念氏だってね。国債公債ノープロブレムで一致するから講師を頼んだのだろう。でも上念氏はお金をジャバジャバ印刷すればよいという金融政策派だけど、河村市長はお金がだぶついて銀行の借り手がないから国や自治体が借りてやっているという、財政政策派のリチャード・クー氏のバランスシート不況論だから基本的に違う考えだ。講師を頼む方も受ける方も何を考えているのかね。まあ河村市長の減税への固執もご都合主義的なところがあるからこれでいいのかな。市役所は競争のない独占体だから減税をテコとして経営努力するという考えは理解できなくもないが、市債を出してはおかしい。市債を出さない決意で行政水準を維持高上させる努力をするのが正しい。それに減税の原理的根拠が不明だ。自治体は固定資産税と消費税だけで、所得についての税金はふさわしくないというなら筋がとおる。また適正な課税水準が想定できてそれとの比較で高いから減らす又は増やすと言うならわかるが、ただ減らすのは意味があるのかな。

話は中村議長に戻るけど、地方自治法に従うというのは一応の理屈だけど、それなら自分は辞任する条件として、後は第一会派とは言わずに議員経験が長くて(つまり既成会派になるけど)性格か温和な人に残り3年間ずっとやって欲しいと言えばよい。こうすれば議会改革にもなる。これが中村議長の最善手、今からでも遅くないよ、忠告したからね。

 つぎに議会の5会派へのアドバイス。どうしても中村議長をやめさせたいなら方法はある。中村議長を議員として市議会を除名決議すればよい。

 それから馬鹿だと思うのは共産党。なんで他会派と一緒になって不信任決議に賛成するの。ここは「中村議長は議長としてふさわしいとは思わないが、地方自治法の規定があるので慣例を理由に不信任決議には賛成できない」と声明を出すべきだった。共産党名古屋市議団は政治感覚がないなあ。宮本顕治が市議団にいたらきっとそうしたよ。