ひいらぎ通信

日常のささやかな幸せを拾い集ようと、ブログ、始めてみました。

買えない味

2006年11月28日 | 本のハナシ
「買えない味」
ふとしたことで、この本の存在を知りました。
気になったので、図書館で借りることにしました。

買えない味

筑摩書房

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筆者は平松洋子という方。フードジャーナリストだそうな。
いったい何者ですか、それは。
すみません、そんな仕事のジャンルがあるなんて知りませんでした。

グルメな薀蓄本をイメージしたのですが、ちょっと違いました。
台所に関するエッセイ集です。

題材をちょっと取り上げてみると、
・箸置き
・器(磁器、陶器、豆皿、大皿、取り皿、竹の皮)
・用具(トング、笊とボウル、まな板、土瓶に土鍋、キッチンクロス、さらし、etc)

一文を引用しますと、

 熱い湯がじくじく厚い土肌を温めてゆく。いったん熱を抱きこんだ土瓶はぬくい陽溜まり。時間を誘い込み、とうに忘れていた遠い日を連れて帰ってくる。
(土瓶~のんきなティータイムより)


う~ん、なかなかに情緒的。

センターカラーの写真がまた温かみがあり、すばらしい。幸せな気分になれます。
食べ物をめぐるあれこれが、食卓を豊かにしているのが伝わってきます。食事って、単なる栄養補給じゃない。
好き嫌いは、人生の幸せを半減すると言うけれど、味を彩る様々なものを愛することで、食卓も人生も、ずいぶん豊かになる。
おいしくものが食べられるって、実に幸せなことですよね。食事が単なる栄養補給の習慣になってしまっている私にすらそう感じさせる、これは、そういう本です。
コメント (4)
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