茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

雪月も花も友とて・・・茶箱と茶籠 三井記念美術館

2021-06-18 22:57:07 | 美術館・展覧会
 三井記念美術館で開催中の「茶箱と茶籠」展覧会にいってまいりました。
こちら、そもそもの会期は5月1日~6月27日まででしたが、コロナによる緊急事態宣言のため、
実際には6月1日からの開催となりました。
 
 とにかく、茶箱の大きさや形から、入っている道具から、箱の細工まで、様々。
しかも、三井家所蔵なだけあって、どれも豪華です。
まさに玉手箱のよう。

 出品リストだけも盛沢山です。茶箱の中の全ての道具が記載されていますから。




 絵葉書になっていた「唐物竹組大茶籠」
内箱蓋裏には、碌々斎発句「月雪も花も友とて茶箱かな」。この展覧会の表題にもなっています。

 

 大きな籠に、一行書、香合、釜敷、灰器、花入、水指、香箱、菓子器、折据、花月札まで入っています。
しかも、花入や茶入も何個か入っていて選べるようになっている。
びっくりしました。
なんだかおままごと道具のようでもあります。
 趣向に応じて好み道具が選べるよう自由な使い方がされたそう。

 記録では、昭和5年に北三井家10代の三井高棟が小涌谷の別荘で、この茶籠を使って、益田鈍翁、野崎幼庵らを招いた茶会をしていると。
 私たちが習っている茶箱のお点前では、決まった道具が仕込まれていて、点前の順番も決まっていますが、
きっとどれにしようと楽しみながら選び、茶を点てたに違いありません。


 茶箱用の風炉釜もありました。小ぶりにできていて、風炉は道安形で永楽保全による交趾焼、釜は中川浄益による南鐐富士形。
おしゃれでした。




 茶器のつまみが、見ざる聞かざる言わざるの三猿になっているものや、鹿になっているものもあり、茶箱の持ち主のこだわりも見られました。

 私が初めてみたのは、黒塗手提(くろぬりてさげ)というもの。
箱の中で安定させるためのものか、茶筅筒ではなく、茶筅と棗がコンパクトにはめ込むような形になっているもの。

 また、蓋のついた茶筅筒も初めて見ました。

 
 三井高福所持の一閑溜塗曲提茶箱は、円柱状の弁当箱のような形。
縦に茶碗、建水、茶器を重ねていれたのだろうか。
茶入のように袋に入れられて、その紐の先に竹の根付がついていました。
この竹筒の大きな根付は、茶筅・茶巾入れで、”斗酒”と朱書されています。
斗酒(としゅ)とは 大量のお酒のこと。この茶箱は、この根付の意味は一体?
 その昔は茶箱のことをちゃべんとうとも言ったそうですから、最初はこの形だったのかも?と想像を膨らませたりして。。。。

 茶箱は桃山時代から始まるとされつつ、利休様から始まると記す文献もあるそうです。



 これだけ一つとして同じもののない茶箱を一堂に見せられると、茶箱がいかに自由で、自分だけのものとして楽しまれ、愛されてきたかを感ぜずにはいられませんでした。


 夏になると裏千家では茶箱のお稽古をする先生が多いので、その前に素敵な茶箱を見にでかけてはいかがでしょう。
 茶箱以外にも、桃山時代の諸道具も拝見することができましたし、見ごたえがありました。



 これは、永楽和全の菊谷焼十二か月絵替茶碗のうち、一月の富士。十二か月それぞれの絵と形でなかなか楽しかった。
 私は二月の初午土鈴、十一月の夏至梅が好き!でした。

 残念ながら残りの期間は少ないですが、ご興味ある方は是非。


 帰りは久しぶりの日本橋をしばしそぞろ歩き。
楽しい出会いもありましたので、また。


 
 茶箱の勉強をするときは必ず開く本です。
 よく纏まっていますのでご参考まで。
「茶箱の鑑賞と点前」

茶箱の鑑賞と点前 裏千家茶道 [ 千宗室(15代) ]



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