息も絶え絶えに、やっとのことで賽の河原に着いたのはいいが、
そこにはもう大変な数の亡者がひしめいている。
中には、何ごとか叫んでいる者もいる。
老若男女、あらゆる年齢、あらゆる階層の人々であった。
衣服をまとっている者もいるし、半裸全裸の者もいる。
力尽きたようにそこに倒れ臥した者も無数にいる。
そういう者たちは、ただ透明な寒天状の肉体の輪郭が見えるだけだ。
骸骨も見えない。
大群集は声を限りになにか怒号し喚いている。
多くは口々に念仏をとなえ、
題目をとなえ、
あるいは読経、真言を唱えている。
群集の叫喚は天地に轟くほどのどよめきなのだが、
不思議なことにそれらの音響は、
虚空に吸い取られたように消え、
全く反響を起こさない。
この断層を、娑婆世界では、葬頭河、
または三途の川と呼んでいるが、
死者たちは地獄谷と呼んでいる。
死者たちはこの断層を飛び越えなければならないのである。
この断層を越えた対岸に、冥界がある。
『君は誰の輪廻転生か』(桐山靖雄氏著)より参考する
(途中です)
そこにはもう大変な数の亡者がひしめいている。
中には、何ごとか叫んでいる者もいる。
老若男女、あらゆる年齢、あらゆる階層の人々であった。
衣服をまとっている者もいるし、半裸全裸の者もいる。
力尽きたようにそこに倒れ臥した者も無数にいる。
そういう者たちは、ただ透明な寒天状の肉体の輪郭が見えるだけだ。
骸骨も見えない。
大群集は声を限りになにか怒号し喚いている。
多くは口々に念仏をとなえ、
題目をとなえ、
あるいは読経、真言を唱えている。
群集の叫喚は天地に轟くほどのどよめきなのだが、
不思議なことにそれらの音響は、
虚空に吸い取られたように消え、
全く反響を起こさない。
この断層を、娑婆世界では、葬頭河、
または三途の川と呼んでいるが、
死者たちは地獄谷と呼んでいる。
死者たちはこの断層を飛び越えなければならないのである。
この断層を越えた対岸に、冥界がある。
『君は誰の輪廻転生か』(桐山靖雄氏著)より参考する
(途中です)