六枚目のコイン

つぶやき、趣味,占星術,

生死の彼方に(二)

2018年12月30日 16時46分31秒 | つぶやき
息も絶え絶えに、やっとのことで賽の河原に着いたのはいいが、
そこにはもう大変な数の亡者がひしめいている。
中には、何ごとか叫んでいる者もいる。

老若男女、あらゆる年齢、あらゆる階層の人々であった。
衣服をまとっている者もいるし、半裸全裸の者もいる。
力尽きたようにそこに倒れ臥した者も無数にいる。

そういう者たちは、ただ透明な寒天状の肉体の輪郭が見えるだけだ。
骸骨も見えない。
大群集は声を限りになにか怒号し喚いている。
多くは口々に念仏をとなえ、
題目をとなえ、
あるいは読経、真言を唱えている。

群集の叫喚は天地に轟くほどのどよめきなのだが、
不思議なことにそれらの音響は、
虚空に吸い取られたように消え、
全く反響を起こさない。

この断層を、娑婆世界では、葬頭河、
または三途の川と呼んでいるが、
死者たちは地獄谷と呼んでいる。
死者たちはこの断層を飛び越えなければならないのである。

この断層を越えた対岸に、冥界がある。

『君は誰の輪廻転生か』(桐山靖雄氏著)より参考する

(途中です)
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