225『自然と人間の歴史・世界篇』トリチェリーの真空の発見(1644)パスカルの原理の発見(1653)
パスカルの原理というのは、密閉した容器の中で静止している流体(液体あるいは気体)の圧力は、高さに変わりがないならば一定であるが、その高さが高くなれば減少するというもの。密閉容器の一部に圧力pが作用すると、その圧力pが増減することなく容器の形状に関係なく液体内の全ての箇所に伝わる、といってもよい。
まずは、その前史としての、イタリアのトリチェリー(1608~1647)が1644年に行った実験から紹介しよう。彼は、長さ1メートル程のガラス管に水銀を満たしてからふたを被せる。そして、同じく水銀を満たした皿にそのガラス管を逆さにして立てる。その後、ガラス管のふたをはずしてみる。
すると、ガラス管の中の水銀はすっと下がり、お皿の水銀面か約76センチメートルの高さで止まるではないか。これは、お皿の水銀面を押す大気圧(空気の重さ)と、ガラス管の中の水銀柱の重さが釣り合っている。
また、この間、水銀柱の上には何も入り込めないのであるから、真空になっていると考えられ、この部分を「トリチェリーの真空」と呼ぶ。
さらに、フランスのパスカル(1623~1662)は、ガラス管の太さや形を変えても、あるいはガラス管を傾けても、ガラス管の中の水銀柱の高さは一定になることを発見する。かくて、ここで釣り合っているのは一定の面積に加わる圧力であるということがわかった訳だ。
では、この原理を使っては、何ができるだろうか。ここでは、簡単な図を描くとしよう。
この原理の実用化の例としては、流体を入れた密閉容器に断面積の違う二つのピストンを用意してみよう。すると、断面積の大きな方に重いものを置いても、面積が大きい、なので、圧力はそれほど大きくならない。
この原理の実用化の例としては、流体を入れた密閉容器に断面積の違う二つのピストンを用意してみよう。すると、断面積の大きな方に重いものを置いても、面積が大きい、なので、圧力はそれほど大きくならない。
かたや、断面積の小さな方では、軽い力を加えただけでも大きな圧力を掛けることができる。
要は、細い方のシリンダーから押し出した流体の量と同じ分だけ、その押し出された流体が太い方のシリンダー側に入ることになるのだから、ピストンの移動距離は断面積に反比例することになっている。
この場合、かたやp′とA′、かたやp′′とA′′の圧力及び断面積とすると、両方のピストンに働く力は同じとなるので、次式が成り立つだろう。
p′/A′=p′′/A′′
仮に、p′′を100kN(キロニュートン)、A′′を200平方センチメートル、A′を20平方センチメートルとおいて、この式に入れてみよう。
p′/20=100/200
p′=20×1/2=10kN
p′/A′=p′′/A′′
仮に、p′′を100kN(キロニュートン)、A′′を200平方センチメートル、A′を20平方センチメートルとおいて、この式に入れてみよう。
p′/20=100/200
p′=20×1/2=10kN
ちなみに、その場合の力の在り方は、断面積に比例するというのだから、距離と力の積をもって仕事と規定するエネルギー保存則を破らない。
(続く)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆