娘の受験用過去問を眺めていたら次のフレーズが目に入った。11歳の娘にこんなことが理解できるのだろうかの疑問が最初に。次に死の観念がわたしに近いなと。
ぼくの好きなフーコーというフランスの哲学者は、これとは違う考え方をしています。死とは,生が終わった後にやってくるのではなくて、生とは別の系列にあるというのです。
「別の系列」とはどういうことかというと、赤ん坊のときから臨終のときまでの全部を照らし . . . 本文を読む
「ゴッドファーザー」パート1はドン・コルリオーネと彼が最も愛した末っ子マイケルの間の父親と息子の愛情がテーマだと理解したが見直してみると三人の息子と養子にも十分な愛情を注いでいる。裏社会で五大ファミリーの一つのドンとなった老境のコルリオーネは息子マイケルに上院議員あるいは知事になって表舞台で生きてくれるように切望する。
長男ソニーが撃たれて死に、ドン・コルリオーネが撃たれた後に息子マイケルが跡目 . . . 本文を読む
四方田氏の「モロッコ流謫」には三島由紀夫の実弟平岡氏が1987年(昭和62年)3月31日、4月2日付で駐モロッコ大使に任命されニューヨークから訪れた四方田氏に語ったエピソードがでてくる。
三島由紀夫が自決する3年前のこと、1967年(昭和42年)、ラオス駐在時代大使だった頃にラオス王と三島由紀夫がプルーストの話で盛り上がった。ラオス王の幼い子供がラーマヤーナの寸劇を演じ三島由紀夫は大変感銘を受け . . . 本文を読む
このところ子規に縁がある。興に任せて「歌よみに与ふる書」を読んでみた。和歌に知識があるわけではないがなんとなくには親しんできた。なるほど子規の目を借りると歌はこういう風に読めるのか。
写生は写真の心構えに通じるなと思いながら読んだ。理屈を嫌い、目に映るそのままを重んじ、調べを大切にする、そして感情を重んじる。人の認識のレイヤの深いところ、つまりは聴覚、視覚が感情に訴えるものを読めということかと理 . . . 本文を読む
上野公園に出かけてみた。国立西洋博物館に行く途中に正岡子規記念球場がある。子規は明治初期に日本に野球が紹介されて間もない頃の愛好者であり、1886年(明治19年)から1890年(明治23年)頃、この球場がある上野公園内で野球を楽しんでいたという。
句碑「春風や まりを投げたき 草の原」と彼の20歳前後と思われる写真がある。懐かしい顔だなと思い、同時に青雲の志を抱いて四国の松山から17歳で上京した . . . 本文を読む
今日は図書館でラマヌジャンの伝記を読んだ。あるときハーディーはラマヌジャンが書いた「1+2+3+4+…=-1/12」の式をみて「なんだ訳のわからない式をかいているな」とやり過ごしていたのだが、気になって考え直してみるとゼータ関数を適用したら合っていることがわかったので僚友にその旨を説明している。しかしラマヌジャンはゼータ関数など勉強したこともないはずだし、どうやって導いたのだろうと不 . . . 本文を読む
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57097 にボクについて、そういう使い方があるのかと思った。関西のボクはモボと芸人に源流があるとは、そして厳しい批判をそらすときに使う韜晦の悍ましさを感じさせるとある。なるほどそう言われてみるとそうかな。
それは一人称の問題、それから「笑いと涙」の問題です。
「ボク」と称して、謝罪の会見を行っているのですが、これがも . . . 本文を読む
Netflix「ブラックリスト」シーズン2-20クォン・ザンでは冥婚を巡る死体売買犯罪がテーマになっている。Netflixのドラマ「ブラックリスト」では「本当かな」と思うような犯罪が次々と登場する。例えばNSAやCIAの幹部層まで秘密結社がはびこっているとかにわかには信じがたい話題も多い。冥婚もその類かなと見ていたが現代ビジネスの記事によると中国には冥婚ビジネスはいまだに残っているという。事実はド . . . 本文を読む
5シーズンと長いドラマ「ブラックリスト」を見終えた。いつものことながら長いドラマを見終えた後の軽い喪失感を覚えているが、これは面白いドラマの証にもなる。シーズン6と7が続くそうだがこのドラマを見ているだけでは謎はまったく解けない。
ジェームス・スペイダーの演じるレッドのリズにかける愛情が半端ではないので一旦はレッドがリズの父親ではないかと思わせるが火災で焼けた骨のDNAでリズの父と判明し、再 . . . 本文を読む
宮元啓一 「インド哲学七つの難問」を読んで以来、インド哲学の自己について興味を持ち続けている。(いや、この本を読んで以来というよりも子供の頃からといったほうが正確かもしれない)
宮沢賢治、松岡正剛も参考になるので過去のブログに付け加えてみる。
松岡正剛氏も千夜一夜でこの本について「ヤージュニャヴァルキヤやブッダの自己認識不可能説」として次のように記述している。
【第3難問】本当の「自己」とは . . . 本文を読む
雨ニモマケズのデクノボー原型と賢治の誓願常不軽菩薩(雨ニモマケズの原型)
宮沢賢治の「雨にも負けず」手帳の121頁から124頁にかけて「不軽菩薩」の詩が書いてある。
121頁「あるいは瓦石さてはまた刀杖もって追れども 見よその四衆に具われる仏性なべて拝をなす」
122頁 「不軽菩薩」
123頁 「菩薩の四衆を礼すれば衆はいかりて罵るやこの無智の比丘いづちより来たりてわれを礼する . . . 本文を読む
(写真はオランウータンです。)
チンパンジーとボノボはいずれも知能が高くアフリカの森林に住むが住むエリアが川をはさんで異なる。ボノボはセックスを有効の手段に使い平和的だがチンパンジーは闘争性が高いそして頻繁にチンパンジーなどを肉食もする。
Netflixのプログラムをみるとチンパンジーは思っていたよりも闘争性が激しく人間の目からみると非常に残忍に映る行為を行う。森の他のチンパンジー集団を襲い狩 . . . 本文を読む
ショーペンハウワーは「意志」を発見する。この意志は現在使われている意志、「なにかを行おうとする気持ち」とはまったくといっていいほど異なるので理解が混乱する。ショーペンハウワーの「意志」は意欲を引き起こす元になり、むしろ奥に控えていている。仏教での無明に限りなく近い、いや同じものではなかろうか。ショーペンハウワーの「意志」に関する文節を拾ってみる。
意志は盲目的な生の衝動であり、無機物 . . . 本文を読む
ベトナム戦争で亡くなった135人のカメラマンの作品を生還した仲間たちが編集した遺作集 女性カメラマン、ディッキー・チャペルが地雷を踏んで亡くなる瞬間を写真家、アンリ・ユエが撮った写真。
『俘虜記』です。大岡昇平の従軍体験を基にした小説「清水次郎長」と「天保水滸伝」大岡昇平がこれらを最高と書いている。
もう一冊は子母澤寛の『遊侠ものがたり』。やくざ者の多くは無学ゆえに、人間そのものの正体が現れる . . . 本文を読む
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」では竜馬の語りのなかにガルバルジが登場する。しかし現代ではガルバルジを知る人は殆どいないと思われるので愛読者の中でも読み飛ばしてしまい記憶に残っていないのではないか。維新の頃、19世紀のイタリア統一運動の立役者ガリバルディのことで、なぜ竜馬がこのガルバルジを知っているのか、恐らく勝海舟から得た知識だとのたてつけだろう。
しかしガルバルジも、また米国を興したワシントンも、 . . . 本文を読む