11月1日に滞在ホテルで伸びすぎた大木の枝を伐採していた。その後で伐採した枝、といっても直径30センチ以上あるものの中の一つが荒削りに鰐の形になっていた。どうするのだろうと思っているうちに姿を消していた。昨日ふとロビーで立派な鰐の木彫りが完成しているのを見た。尋ねてみるとやはりあの荒削りの鰐が完成して持ち込まれたという。
近くに荒削りを制作していた見覚えのある職人がいたので出来栄えを誉めた。背中のゴツゴツが接着剤で貼ったのではなく掘り起こされている。足も尻尾も寄木ではなく一木造である。この職人はウブドから来たという。やはり凄い木彫り職人がいるのだとその層の厚さと腕の確かさに改めて感心した。
職人は枝を切り落とした現場で荒削りを行うことで、完成後の出来栄えの感触を確認していたことを理解した。つまり荒削りでものにならないことがわかれば仕事を断るのだろう。このあたりの感覚もいいものしか作らないという、昔懐かしい職人気質を感じてしまった。