まさおレポート

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NTTの洞道(とう道) 無形財産権に着目せよ

2023-11-19 | 通信事業 NTT法廃止と課題

 

 

2023年11月19日追記

NTT法廃止議論でNTTの洞道に集まる注目。NTTの洞道に存在する国民無形財産、道路占有権に注目する時代がやってきた。これは電波権と同様の国民の無形財産で、有形財産である洞道そのものや光ファイバーなどと一線をかくして考えるべきもの。

NTTの洞道と言われてもイメージしにくいので今までこの無形財産権は全く注目されていなかったがNTT法廃止議論関係者は是非注目して改めて無形財産権に着目してほしい。実はわたしもこの無形財産権に最近になって気がついたのだった。

アクセス権をめぐる国民の財産論か否かのいわゆる「神学論争」もこの無形財産権に着目すると一気に道筋が見えてくるのではないか。神学論争を続けているとNTTから鋭いブーメラン反論、KDDIもソフトバンクも高速道路中央分離帯や旧国鉄線路側溝を使っているので国民財産なのではというX上の反論は説得性を持つ。だから有形資産の過去を心情論で押しても決定打にはならないと思う。

要は電波や空中権などと同列の目に見えない無形財産がNTTの洞道にはあるということを強調しておきたい、その名は道路占有権。

とう道とは「通信用地下ケーブルを大容量で収容できるトンネル形式の通信土木設備」のことで 細いパイプである管路とは違い、人が通れるくらいの大きさを有しています。 また、とう道は全国の地下に張り巡らされており、その長さは652km。 そのうち約半数にあたる290kmが東京の地下にある。

 

2019/7/30 追記

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46999580V00C19A7TJ2000/?n_cid=SPTMG002

眠る不動産で稼ぐ NTT、電話局など
ネット・IT 住建・不動産
2019/7/8 11:30日本経済新聞 電子版
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NTTグループが膨大な不動産資産の有効活用に本腰を入れる。不動産部門を再編し、中核会社としてNTTアーバンソリューションズ(東京・千代田)を7月1日に発足。2025年までに最大1兆5千億円を投じ、電話局など約8500拠点の活用法を探る。眠れる不動産で稼ぐ体制を目指す背景には、利益の6割をNTTドコモに頼る現状への危機感もある。

洞道の再利用検討の時期が到来

間もなく2025年、メタル線完全撤去の時期が迫っている。そこで気になるのが洞道で、これは地下にあるために誰にも関心が注がれない。おそらく経営幹部でさえほとんど関心のない巨大資産である、しかもだれも注目しない簿外の含み資産が巨大である。そろそろ洞道の利用について考えてもいい頃だと思う。
NTT局舎から局舎あるいは市内に伸びる通信ケーブルのトンネルで、人が通れるものを洞道と呼び、それから先は管路と呼ばれるパイプの中を通る。2メートル以上の高さを持ち、この洞道だけでNTT局舎間を歩行可能で、したがって東京の山手線を一周できるとの話をNTT元幹部の人から聞いたことがある。

都市伝説めいていて真偽のほどは不明だが、人口密集地帯の巨大な洞道を思い浮かべるとまんざらあり得ないことではなさそうだ。

地下の浅い部分にとう道を作る場合は、地表から掘って後に天井部分を埋め戻す「開削とう道」とするのが一般的で、トンネル部分は四角くなる。地下鉄のトンネルのさらに下を通るような深いとう道はシールドマシンで掘削することから「シールドとう道」と呼ばれ、こちらはトンネルが丸型になる。この工法は真藤総裁が事故を防ぐために徹底させた工法だ。

とう道は非常に強固な設計がなされるため、地震を含めた防災の観点から信頼性が高い。とう道各所にはポンプが設置され、水を下水へとくみ出している。このほか、酸素濃度の低下、ガスの流入に備えた対策もされている。高さは5mほど。テロなどから通信インフラを守るためにも有効だ。

地下にケーブル類を埋める方式としては「共同溝」があるが、これは通信以外に電気やガスなど、異なる事業者ないし自治体が工事費用などを分担し、設置する。これに対し、NTTのとう道は、同社の通信ケーブル用。

日本で初めて洞道が作られたのが1926年で共同溝も同じ年に作られた。洞道の総距離は、全国で約1,000km(電力線等との共同溝を除くと総延長は600km)で、その先は「管路」が枝のように分かれ、さらに細い管が地上の電柱やビル、家庭へと続いている。管路の総距離は全国で約67万キロメートルで地球約16周半に相当する。40%が敷設から40年近く経過しているという、つまり老朽化している。

青山電話局の洞道見学

機会があり、米国大使館のスタッフや通信事業者の人たちと一緒に都内の青山電話局の洞道見学に招かれたことがある。管路の借用料金を巡ってNTTと米国通商代表部まで巻き込んでの交渉を続けていた時だから2002年の頃か。外資系の通信業者は都内の自前敷設工事に苦労をしていた。さりとて管路を借りようとすると再構築価格をもとに算出した料金を提示され料金が折り合わない。そんな交渉こう着状態の中での見学会だった。

地下約30メートルと聞いた記憶があるが途中までエレベータで降りていき階段をさらに降りると大きく頑丈なロックのかかった重い潜水艦風の防水壁(扉)からとう道に向かう。ドアを何回も通り抜けるとようやく洞道の入り口にたどり着く。そこはかなり広いスペースで蛍光灯が薄暗く灯り、冬でも寒くないと説明される。

「オペラ座の怪人」が住んでいそうなラビリンスな場所だ。洞道の中に入って頑丈なドアを閉められると、どんな大声を出そうが外部には一切声は届かない。間違って入り込み知らぬ間にロックされると次の巡回がくるまでは誰もこない。そんな想像をすると恐怖を覚えるような場所だ。

洞道内部はメタル線や光ファイバの束がうっすらとほこりをかぶってラックにとぐろを巻き、巨大な蛇のようにみえる。 かつて地下鉄の謎を扱った本を古書店で立ち読みしたことを思い出す。なにか秘密の地下路線が戦前にはあったとのストーリだった。その本の信憑性はともかく、洞道も何か秘密のルートがあってもおかしくない、そんな想像をたくましくさせる場所である。

東京都下の市街地の地下約30メートル。薄暗いトンネル内部に設置された棚に整然と並ぶ太さ約10センチメートルの通信ケーブル。それが何十本も何百本も束ねられ、延々と伸びている。地上を忙しく歩く人たちは、自分の足下にこんな地下空間があるとは想像もしないだろう。しかし太さ約10センチメートルの通信ケーブルはいずれ光に取って代わられる。そのあとには巨大な地下空間が残される。日本の核シェルターを本気で考えたらどうだろう。

パリの下水道は核シェルターにも

映画「第三の男」でハリー・ライム役のオーソンウェルズがパリの下水道を逃げるシーンがある。パリを訪れた際には下水道博物館の入り口まで来たが結局入らなかったことが悔やまれる。パリには全長2100kmにも及ぶ壮大な下水道が存在する。パリの地下にこんな巨大なインフラが存在することに感心したが、日本の地下にも人知れず巨大な全長1000kmのインフラが存在する。

「レ・ミゼラブル」の主人公ジャン・バルジャンがパリの下水道を逃げるシーンも有名であるが残念ながら記憶にない。この下水道は単に下水を流すだけではない。電力、電話、ガス等の共同溝となっている。19世紀ナポレオン3世の時代、セーヌ県知事を務めたオスマン男爵が行ったパリ大改造計画は今から見ても大変斬新で思い切ったアイデアの実現であった。核シェルターとしても利用されている。

毛沢東が1969年に北京の地下に巨大な地下シェルター建設を指示した。北京地下城と呼ばれるここは、核戦争時に6百万人の人民が避難できるよう設計されている。未完だが、83km2に及ぶトンネル網には、居住区、食堂、シャワー、店などが完備され、北京の40パーセントの人口を収容することができるという。

人口あたりの核シェルター普及率(日本核シェルター協会)
スイス    100%
イスラエル  100%
ノルウェー  98%
アメリカ   82%
ロシア    78%
イギリス   67%
シンガポール 54%
日本     0.02%

洞道の巨大含み資産

洞道及び 共同溝等の施設利用権は、18年間の見積耐用年数で償却しているとトーマツTMTインダストリーグループのサイトには書かれている。NTTの洞道の多くがこの期間を既に過ぎて40年以上はざらではないか。仮にそうだとすると洞道の簿価と時価では巨額の差が生じることになる。NTTの株価に反映されているのかどうかが気になるところだ。

通常地下の利用権も地上権と呼ばれるが、地価の2割になることもあるという。その既得地上権と償却済み設備の時価は一体いくらの含み資産になるのか。アクセス系資産の相当な割合をしめるのではないか。1990年代に管路でさえキロ1億円の敷設費用がかかったことを思えば洞道は総延長は600kmだから一体再調達価格はいくらになるのだろう、断面積比例でも仮に500倍はあるとして30兆円程度か、政府が乗り出すには十分な資産価値だろう。

NTT東西はメタル回線は2025年で撤去すると計画している。そのとき洞道の体積のほとんどを占めるメタル線や同軸ケーブルなどは撤去されることになり、洞道はがらがらの状態になる。なにか他への有効利用はないのだろうかと考える。5G基地局への利用や核シェルターを始めいくらでもアイデアがでてくるが。そして地下利用権を国庫への歳入となるように財務省や国土交通省はしっかりと管理しなければならない。

世田谷電話局の洞道火災

1984年11月12日に東京都世田谷区三軒茶屋の世田谷電話局で洞道内火災が発生した。消し忘れた工事用トーチランプが引火し、10時間近く延焼した。世田谷局収容の固定電話約9万回線が不通になり三菱銀行ではオンラインシステムが全面的に停止するなど、完全復旧までに9日間を要した。

以降はトーチランプは禁止され、1本1本線をより合わせる方式とした。耐火素材ケーブルに使用され、既存のケーブルには耐火カバーが付けられた。リクルート事件で有罪になった長谷川寿彦氏がこの事故の指揮をとって真藤氏に認められることになる。私は当時NTTデータ通信本部のあった第17森ビルのオフィスでこの事故を気にしていたことを思い出す。 

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回想の孫正義18 光の道の挫折

 


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