まさおレポート

当ブログへようこそ。広範囲を記事にしていますので右欄のカテゴリー分類から入ると関連記事へのアクセスに便利です。 

回想の孫正義 ストイックな日常生活

2018-09-11 | 通信事業 NTT・NTTデータ・新電電

 

 

孫正義氏のもとで2001年から5年間働いた。彼の人間的魅力で周りの人々は全力を出し切ったと思う、彼の人間的魅力は半径5メートルの距離にいないと見えて来ないものが多く、その魅力はいくつもあるが、その一つはストイックな日常生活にあったと言ってもあながち外れてはいないだろう。もちろん半径5メートルの距離にいると欠点も見えてしまうものだが、それはそれ、どんな人間にもあることだ。

孫正義氏は2001年当時既に日本で有数の金持ちであったが当時の日常における生活感覚について書いてみたい。人によっては、どこがストイックだと反発を覚えるかもしれないが、少なくとも私にはそう映った。

食事 既に当時日本で有数の金持ちであった孫正義氏は専任のシェフを持ち、食事は味覚や健康を考えて特別に作らせていると当初は考えていた。しかしその予測は見事に外れた。

2001年から2005年当時の昼食と夕食は殆ど会議での仕出し弁当で会議参加者と同じ弁当を食べる。会議は12時を回ることは日常であり、常に日本橋周辺の弁当が出た。夕方は7時をすぎると弁当が入り口のテーブルに山積みされていた。鳥飯丼風や寿司弁当、近所の名店玉ひでの親子丼、とんかつ弁当などボリュームのあるものが提供されていた。

人は腹が減っては良い知恵が浮かばないということを知っていたこと、そして自らの健康を考えて不規則になりがちな環境で極力規則正しい食事を心掛けていたこと、さらには食事休憩をとることによる残業代よりも労働コスパがよいことなどを合理的に考えてのことだろうが、一緒に同じ飯を食って議論するということの効果を熟知しており、何よりも優先していた気がする。

あるときは総務省の帰りに日本橋本社近くの吉野家に黒塗りのベンツを店の前で止め、2階まで階段をのぼり、カウンターで牛丼を食ったことがある。味噌汁とつけものを追加で注文して私にも勧めたのでそのオーダーシステムを熟知していることがわかった。

サプリメントや薬

会議しながら昼食や夜食を取り、その秘書がプレートに載せて持ってくる、ブラジルから毎日空便で取り寄せたプロポリスをスプーンで掬ってのむ。毎日空便で取り寄せるところが金持ちらしいといえばそうだがあくまでも健康を考えてのものだ。プロポリスに加えてヨーグルトに抹茶を入れて摂り、「ハイゲンキ」とラベルのついたサプリメントを水で服用する。これが5年続いていたので今でも継続されているかもしれない。自らの健康のために決めたことを必ずストイックにやり遂げる人柄がこんなところにも現れている。

孫正義氏がNTT西の社長と自前工事を交渉するために大阪に出張したときのこと、ひどい風邪気味で体調不良だった。車の行き交う大通りで反対車線に薬局を認めた氏はやにわに停車を命じ、ドアを開けて車の行き交う大通りを渡り薬局に入り、風邪薬のアンプルを2本飲み干して帰ってきた。2本飲み干すという、やや滑稽な行動がストイックな性格の現れだとすぐに理解できた。

赤ワイン

会食などで唯一飲むのが赤ワインで会食場に自ら購入したワインを持ち込ませて一緒に飲んでいた。港区のとあるレストランでオーパス・ワンをお相伴に預かる。「安物のワインを飲むと頭が痛くなるんです」と会食相手に話していたことがあるが、聴きようによっては嫌味に聞こえるが人柄でそうではないことがすぐに分かる。自ら購入したワインを持ち込ませて一緒に飲むという当時の習慣もむやみな交際費を抑えるという配慮なのだが、健康を考えた上での行動だとわかる。

列車チケット

あるとき家族が待つ軽井沢に遅れて参加するために一人で向かう列車のチケットを4席押さえていたので、周りの席に座られるのが嫌なのだな、つまり人ぎらいなのかと思った事がある。これなどが金持ちらしいふるまいかなといえばそうなのだが、実は人ぎらいなのではなく列車中でも仕事をするので書類やパソコンを置くスペースが必要なことや、初対面の相手に話掛けられて仕事のじゃまをされるのを嫌う、あるいは携帯で話すので企業秘密が漏れるのを避けるという合理的な判断にたっての座席占有なのだ。

プライベートジェット

50代とみえるパイロットがときどき社長室を訪問していた。プライベートジェットに同乗した同僚の話では二度と乗るものではないと冗談めかして話していた。とにかく到着するまで仕事の話を続け、寝る間もないと。プライベートジェットも列車のチケットを4席押さえるのと同じく贅沢や見栄ではなく時間を大事にするという合理的な判断にたっての結果だ。

自宅

あるとき自宅に招待されたことがある。もちろん仕事がらみの招待なのだが驚いたことに奥さんが自らブラインドを開けている。東京吉兆銀座本店からシェフと仲居さん数名が出張って来て料理を出してくれたが、こうした時以外はマハラジャの生活ぶりではなく普通の生活を送っていることが感じ取れた。

自宅の地下にはゴルフ練習機が置いてあり、世界の有名ゴルフ場をシミュレートできるようにセッティングできるもので地面がせり上がったり雨や風などの天候までもシミュレートする。隣には映写室もあったが、これらはむしろゴルフの練習にもいけないほど忙しいストイックな生活を浮かび上がらせる。

当時の孫正義氏は早朝から深夜まで、土曜、日曜もなく働くあたかも千日回峰行者のような極め付きのストイックな生活を送っていたなかでのささやかな息抜きになっていたことを思うと、こうした豪華な装置もみようによっては痛々しく感じてしまった。

自宅を周って説明をしてくれたが「あれはプールだけど犬が泳いでいる」と一言説明があった。泳ぐ時間は皆無ということを端的に言ったのだ。帰るときに「送っていこうか」と言ってくれたが言葉だけのものでないことがすぐにわかった。無論「とんでもないです」と歩いて帰ったが。

鉄下駄

「なぜ試験の成績が悪いのか理解できない、試験から逆算してやるべきことをすべてやる、それだけのことをやらないから良い成績がとれないのだ」会議で孫正義氏がよく使ったセリフだ。それができれば誰も苦労しないのだが睡眠や食事までも犠牲にしたストイックな生活でそれをやってしまう。剣道に強くなるために鉄下駄を履いていたとのエピソードもストイックな(ややコミカルで劇画風だが)性格を伺うことができる。

https://blog.goo.ne.jp/masaoreport/c/707fdb0241be5a19eae78c9d9f0da339

 

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。