まさおレポート

yahooとgoogleの提携

日経新聞では2日に渡って2人の論者がYahooとGoogle提携に関して寄稿していた。一人は関西大学教授の滝川氏で、もう一人は情報セキュリティー大学大学院学長の林紘一郎氏だ。

滝川教授は独禁法の精神である、独占によって公共の利害に反するかどうかを問い、公共の利害に反するので反対だと述べている。何故公共の利害に反するのかの論拠として提携2社の料金やマーケティングが暗黙の裡に同じになることを挙げている。つまり、Yahooジャパンが提携後は共通の検索エンジンの検索結果をそのまま使うのではなく独自に味付けすることや二社間で顧客データベースを分けることなどを防止策として挙げているが、これらの理由は独禁法を免れる理由にはならないとしている。

一方、林学長は独禁法の適用要件である「公共の利害に反する」点に着目している。牧野弁護士の「検索エンジンと検索連動広告サービスの分離論」に同意を示しながらも、Googleのリスクテイカーとしての姿勢に共感を示している。つまり、電子ブックへの取り組み方に見られたように「オプトアウト」の姿勢にも共感を示し、日本企業のあまりに日本的なコンプライアンス遵守に疑問を呈している。

ちなみにオプトアウトは関係者のクレームがあったときの対処法を決めておき、事前には関係者の承諾をとらない方法をいう。これに対するのがオプトインと呼ばれ、日本国内ではこの方法がとられる。

林学長は明確には述べていないものの、この2社提携に対して独占の弊害を前もって論じるより、事後規制にしてはどうかと提案している風でもあり、あるいは単に日本企業のあまりにリスクテイキングしない態度を疑問視しているだけかもしれない。いずれにしても牧野弁護士説に同意しているのだから後者なのだろう。

滝川教授は、明確な料金談合はカルテルで厳罰もので論外だが、暗黙の談合のほうがより
現実的な問題だと指摘している。この暗黙の談合は容易に起こり得、しかも証拠が得られにくく立件が困難なため摘発が容易ではない。

したがってオプトアウト方式では対処が容易ではないだろう。NTTグループ間での暗黙の談合も完全分離しないことには容易に摘発と立件はできない。そうしたことにも連想がいった。滝川論文、なかなか説得性があると思った。
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