まさおレポート

医療と死生観 雑誌の拾い読みから

文藝春秋11月号を遅まきながら読んだ。(滞在ホテルに誰かが置いていってくれたもの)慶応大学医学部放射線医療の近藤講師が寄稿している。従来から彼の著作(一九九五年、慶応大学医学部付属病院の近藤誠医師が著した『患者よ、がんと闘うな』)に共感を持ってきたので、今回も興味をもって読んだのだが、健康診断での胸部レントゲン照射や人間ドックでのCTやMRIでの全身チェックが如何にレントゲン過多で危険かを従来通りに主張している。要は診断でのx線照射リスクのほうが発見によるリスク減少よりも多いと言うことを今回もデータを示して説明している。

バリでも最近の週刊誌がビューンで読めるようになった。はやく週刊文春や新潮も読めるようにして欲しいのだが、しかしバリのネットスピードでも多少待たされるが一応読めて楽しめる。この中の記事でもコレステロールが高めのほう、つまり、現在の検査数値基準では要治療とされる範囲が、実は最も長寿というデータが出ているという。これに対して医学界が猛反対をしているという。これを認めると医薬メーカーの巨大な売上が減ることになり、その意を受けての猛反発だという。

これらのセンセーショナルな主張は反対意見も充分に吟味して判断する必要があるのは言うまでも無い。しかし産業界の圧力も相当凄そうだ。こうした巨大な圧力にも屈せず発表することは、そのまま鵜呑みは危険だが議論を引き起こすことに意義があり、大変有意義なことだと思う。

同じくビューンで読んだ週刊誌に小沢昭一と帯津医師の対談が掲載されていた。両者は80代と70代で、お互いタバコ好き、酒好きだが止める気はなさそうだ。お二人とも身体に過度に気を使わないことが身体によいという事らしい。かといって小沢氏など病院も好きで年中通っているという。芸風と同様の人生観であられる。飄々としているのは生来のものらしい。

煎じ詰めるとこの人たちの辿った戦中、戦後の実体験が死生観に色濃く投影しているということになる。戦時中は10センチも離れていないところを機銃掃射が駆け抜けていく経験をしたという。なるほどうんと言うしかない体験だ。つまり、最善をつくしてもなるようにしかならないという境地はこの時代に根を持つらしい。
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