まさおレポート

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NTT法の功罪を通信事業史で振り返る 9 経済安全保障推進法に期待してはどうか

2023-10-05 | 通信事業 NTT法廃止と課題

NTT法廃止後もボトルネック解消をコントロールするにはどうすれば良いか。改正NTT法を作るのも一つの手だろうが完全民営化とはやはり相容れないと思う。

幸い経済安全保障推進法がある。NTT法廃止と経済安全保障推進法は相性が良さそうだ。NTT法廃止後も光ファイバー設備などをボトルネック化させないためにはトレンドであるこの法に期待するしかなさそうだ。しかし楽観的な期待も禁物だ。十分な効果をあげるように声を上げていく必要がある。

具体的には今後の特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する基本指針に向けて早々に声を上げて行くべきだろう。


経済安全保障の4つの柱の一つ(2)基幹インフラ役務の安定的な提供に期待ができそうだ。
法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応するため、(1)重要物資の安定的な供給の確保、(2)基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、(3)先端的な重要技術の開発支援、(4)特許出願の非公開に関する4つの制度を創設する。
 
(2)基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に注目するとボトルネック解放をコントロールする道筋が見えてくるだろうか。明確に光ファイバーだと規定していないので判断が分かれる可能性が大きい。
 
さらに今後の審議会などに心配もある。かつてNTT法分割が情報通信審議会で議論された時に持ち株会社の設立に関して押し切られ、「独占禁止法まで踏み込んだ議論を差し控えた」と斎藤座長が反省の弁とも取れることを述べた。
 
今後この経済安全保障推進法施行にあたって情報通信審議会のような審議会が開かれ、政治的な圧力でこうした反省の弁がなされる結果に終わる可能性もある。
 
この法律は令和4年5月11日に成立し、同月18日に公布された。令和5年4月には、(2)基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、(4)特許出願の非公開の両制度に関する基本指針を閣議決定し、令和6年春頃の制度運用開始に向けて準備を進めている。
 
今からライバル各社は特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する基本指針制定に向けて周到なロビー活動等の準備を始めるべきだろう。
 

第三章 特定社会基盤役務の安定的な提供の確保
(特定社会基盤役務基本指針)
第四十九条 政府は、基本方針に基づき、特定妨害行為(第五十二条第二項第二号ハに規定する特定妨害行為をいう。次項において同じ。)の防止による特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する基本指針(以下この条において「特定社会基盤役務基本指針」という。)を定めるものとする。
 
5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、特定社会基盤役務基本指針を公表しなければならない。
 
(この法律の規定による規制措置の実施に当たっての留意事項)
第五条 この法律の規定による規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならない。

参考1

https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/infra.html

経済安全保障推進法 この法律は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するため、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、所要の制度を創設するものです。

具体的には、法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応するため、(1)重要物資の安定的な供給の確保、(2)基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、(3)先端的な重要技術の開発支援、(4)特許出願の非公開に関する4つの制度を創設するものです。

基幹インフラの重要設備が我が国の外部から行われる役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、重要設備の導入・維持管理等の委託の事前審査、勧告・命令 等を措置。

参考2

特定社会基盤事業者 (※指定基準を踏まえ、対象となるこ とが想定される者であり、現時点におい て指定を行った者ではありません。)

東日本電信電話株式会社 西日本電信電話株式会社 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 NTTリミテッド・ジャパン株式会社 株式会社NTTドコモKDDI株式会社 沖縄セルラー電話株式会社 ソフトバンク株式会社 楽天モバイル株式会社 LINEヤフー株式会社

参考3

郵便事業 郵便事業 郵便の役務をあまねく、公平に提供する者であること。

郵便事業に「あまねく、公平に」の条件が入っているのは光明だ。電気通信事業にも「あまねく、公平に」の条件を入れることで経済安全保障推進法がボトルネック解消に力を発揮するのではないか。

 


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