まさおレポート

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1989年 平成はじまる

2018-07-05 | 通信事業 NTT・NTTデータ・新電電

2 1989年1月7日 昭和天皇が崩御、平成に

これまでの競争進展状態 

<1月7日 昭和天皇が崩御、平成に>

平成への元号変更に伴い産業界のみならずコンピュ-タシステムを利用している企業や団体等も組織全体で元号の変更作業が始まる。電気通信事業者も特別プロジェクトを編成するなどして元号の変更作業にあたった。私もドコモの前身である関西移動通信株式会社の顧客システムで帳票類の元号表示変更作業にたずさわった。

 

1984 年

電電改革3法成立 AT&T分割 AT&Tアクセス・チャージ導入、タリフにより公専公接続を解放 1984 年電気通信法成立 BT 民営化(51%株式売却) 電気通信庁(OFTEL)設立

1985 年

電気通信改革実施 すべての市場を競争へ解放 NTT 民営化 本電話機開放 選択的通話料金制(大口割引料金など)を認可(FCC) 住宅加入者にアクセス・チャージ導入 自動車電話・携帯電話、2 社競争体制で開始

1987 年

長距離電話市場(東名阪間、東京・関東地方)の競争開始 BT、マーキュリーの長距離電話市場における競争へ

1987年 孫正義の日本ソフトバンクが大久保秀夫のフォーバルと日本初のLCR「NCC-BOX」を共同開発、新電電からのロイヤリティで巨利を得る

<1989年のテレコム・プレイヤ-達>

NTTを筆頭にDDI 1987年9月国内電話中継開始、日本テレコム 1987年9月国内電話中継開始、日本高速通信 1987年9月国内電話中継開始、東京通信ネットワ-ク 1988年5月電話開始、KDD 1953年4月国際電話開始、日本国際通信 1989年10月国際電話開始、国際デジタル通信 1989年10月国際電話開始、衛星系 NCC サービス開始、IDO、アステル東京など10社が主要テレコム・プレーヤーとして存在した。

海外ではAT&Tに対する料金規制を公正報酬率方式から料金上限方式に移行する。OFTELはBT に対する料金上限規制を見直し、国内専用線の再販売と公専公接続を認可する。

 

<1989年の通信事業動向>

元年度上半期のデ-タではNTT経常収入は対前年度同期比1.3%増の2兆8,598億円、経常費用は同0.2%増の2兆6,567億円、経常利益は同19.0%増の2,031億円。この年はまだ右肩上がりの経営が続いている。

新電電各社の経営状態はどうか。 第二電電(株)は、経常収入399億円、経常費用は329億円、日本テレユム(株)は、経常収入は348億円、経常費用は304億円、日本高速通信(株)は、経常収入は110億円、経常費用は108億円 経常利益は、第二電電(株)は70億円、日本テレコム(株)は44億円、日本高速通信(株)は2億円。

NTTと新電電の市場シェア比較を見てみよう。 国内の電話及び専用線市場は2兆5,323億円で、NTTは97.0%の2兆4,574億円、長距離系新第一種電気通信事業者は2.7%の685億円と40分の一程度の規模で、まさに世間で称された象と蟻の競争状態であったことがわかる。

この年のNTT社長は真藤氏から山口氏に変わったが、新電電の社長各氏は恐らく真藤氏や山口氏と直に顔を合わせたこともないのではなかろうか。双方に格が違いすぎると言う認識があったのかどうか直接聞いたわけではないが、空気としてそのようなものが確かにあった気がする。

 

 

 

<3月6日 真藤恒NTT前会長がリクル-ト事件で逮捕される>

{真藤氏がそのまま率いていたら}

もしも真藤氏がリクル-ト事件でNTT法19条収賄罪に問われることが無く、その後もNTTを率いていたら、NTT再編成問題は現在のような妥協の産物ではなく、分割、非分割どちらに傾くにせよもっとポリシ-のはっきりした、たとえば中曽根氏の提案するような工事部門の会社分離など再編成の形態は大きく変わっていたに違いないと思うのは私だけだろうか。表向きだけの三分割と統括会社への再編成が果たしてなんらかの有意義な結果をもたらしたのか、はなはだ疑問である。

{皮肉なNTT法存続}

真藤氏は1985年の民営化の際にNTTの社内放送を通じて民営化の意義などを、かすれた小さな声で述べていた。(堂島電電ビルのオフィスで聴いた)そのスピーチでは、NTT法の存続を許したことが今後の大きな問題になることをNTT幹部の誰も知見していない、と嘆き今後のNTTにとってこのNTT法は大きな禍根になると予言していた。彼はNTT法に規定するユニバーサルサービスの義務存続をさして将来の禍根になると予言したのだろうが、真藤氏の逮捕はこのNTT法の公務員に準ずる19条によるという実に皮肉な結末となった。

{リクルート事件参照}

リクル-ト事件で、同社事業への支援の謝礼として値上がり確実なリクル-トコスモス非公開株1万株の譲渡を受けたことが発覚し、1988年12月12日にNTT会長を辞任。1989年3月6日にNTT法違反(収賄)容疑で元秘書ともども逮捕。(by wiki)

(罰則)第19条 会社及び地域会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。以下この条において同じ。)、監査役又は職員が、その職務に関して賄賂を収受し、要求し、又は約束したときは、3年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、7年以下の懲役に処する。(日本電信電話株式会社等に関する法律)

 

 

 

<4月1日 消費税課税開始>

1988年竹下内閣で成立した消費税の3%課税が始まる。これにより元号問題と同様に電気通信業界のみならずあらゆる組織のコンピュ-タシステムの変更作業が発生した。この年は元号変更と消費税対応という2大変更作業が日本中のコンピュ-タ・プログラムでおこなわれることになる。

8年後の1997年4月1日には消費税率は5%になる。社会保障と税の一体改革関連法案(8法案)は2012年8月10日の参議院本会議で採決され、可決、成立した。これにより消費税は実施の前提として景気条項を設けているものの2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げられる予定だとされている。

 

<4月1日 ITJが国際専用線サービスを開始>

1986年に住友商事、三菱商事、三井物産、松下電器産業などが出資して設立した日本国際通信ITJは事業者認識番号「0041」でサービスを開始していたがその後1997年に日本テレコムに吸収され、会社は解散した。私の友人もこの会社に勤務していたが日本テレコムに吸収後には月に一回日本テレコム本体側の村上春雄社長がITJに来社して厳しいチェックがはいると述べていた。チェックは当然のことだろうが買収された側の社員の屈辱感も垣間見えた。

又トヨタ資本の入った国際デジタル通信IDCも同じくトヨタが資本参入している日本高速通信と同じ秋葉原のビルに入居していて双方の企画部長もトヨタ出身という事でなにかと意見交換したことのある会社であった。この会社も又2005年に日本テレコムに買収され、結果的にこの2社の国際通信事業はソフトバンクに吸収されソフトバンクIDCとなっている。当時には予測不可能の転変である。そんな将来の転変をしらずにITJはこの日元気に国際専用線サービスを開始した。

 

<4月1日 電話局名称廃止>

明治22年、NTTの前身である電電公社のそのまた前身である逓信省以来用いてきた電話局という名称を廃止し、支店、営業所に変更した。全国の電話局は約480のNTT支店と、約940のNTT営業所に変更された。(他にかつては電話局であったが既に無人局となった局舎が多数ある)ちなみに逓信省の初代大臣はあの榎本武揚である。

電話局の名称、特に局は官庁的だという事での改変であり、民営化4年後の措置であった。名前の変更によってよくも悪しくもこびりついた巨大組織の意識を変えようとしたものだろう。

 

<4月27日 日米政府協議が決裂>

{米国の押しに屈する}

この日、米国モトロ-ラ社の採用する方式の日本国内採用を巡って自動車電話の周波数割り当てに関する日米政府協議が決裂した。(1986年の交渉では小森郵政省事務次官(当時)の活躍がメディアに頻繁に登場していたが1989年以降の日米交渉では奥山事務次官(当時、後にDDI社長に就任)が交渉の任にあたり、政府側は小沢一郎官房副長官(当時)を送り込んだ)そして翌日4月28日には米国政府は日本の通信市場の閉鎖性に対して制裁措置実施を発表した。6月28日の日米通信交渉において首都圏でもNTTとモトロ-ラ両方式を採用することでようやく決着した。

郵政省はIDOに首都圏で一部TACS方式(モトロ-ラ方式)を運営することを命じる。既に5月30日にはIDOが携帯電話サービスを開始していたが6月28日の交渉結果によりモトロ-ラ方式も新たに併用することが余儀なくされ、このため事業の出だしから基地局増設と周波数の変更のために数百億円の新規投資を強いられることになる。無理筋の対日要求として歴史の教訓とすべきだろう。

 

<7月10日 NTTダイアルQ2開始>

{新規のサービスで通話収入増大を意図}

NTTダイアルQ2はその後大きな社会問題となるサービスだが、このころNTTは通話収入を増やそうと多様なサービスを企画していたことがわかる。入社間もないNTT社員にアイデアを出させて「カエルコ-ル」や「甲子園ファックス」など次々と新サービスを提供し始めていた。ダイアルQ2もその一連の流れの中で生まれた新サービスだと思う。

{風俗に利用される}

風俗産業テレクラが即有料アダルト系事業者として飛びついた。そのために利用した青少年が高額の情報料課金を支払えなくなり、あるいは子どもが勝手に当サービスを利用して高額の請求に驚愕するケ-スが続出することになり、裁判も起こされていて、弟の利用した料金を兄が請求されて、兄は支払いの義務なしとするNTTの敗訴のケースもあった。

{25年続いた不適切サービス}

NTT東西はようやく2014年2月28日でダイアルQ2を終了すると発表した。つまり不適切なサービスが25年続くことになる。NTTデータのパチンコ用プリペイドカ-ドが変造されて1996年の1年間で630億円もの被害を出すことになるが、これと双璧をなすNTTの不適切サービスがバブル崩壊のこの年1989年に始まったことになる。

 

<10月2日 電気通信審議会がNTT再編成の検討がされるべきと中間答申>

 


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