以下はyoutube 講演でのメモです。
無批判に師を受け入れよという紀野氏の話は特にオーム真理教の事件以来抵抗のある話ですが、一方で氏は師を選ぶのに時間をかけよと説く。時には何十年かかってもよいと。
金剛般若経 他の般若経典と同じく「空」思想を説くものでありながら、「空」の語彙が一度も用いられていないことも特徴。
鳩摩羅什は10年間丁寧に軟禁されていたときにこれを翻訳した。
祇園精舎の跡地にはブーゲンビリアが咲いている。
金剛般若経の論理は即非の論理 西洋論理学ではない。
神仏は大きな磐に降りていらっしゃいます。霊鷲山の説明で。
仏教は一人では普通は学べない。師匠を持たない人は仏教の信心がなりたたない。知ってる限りすべての人がそうですね。師匠から離れましたが仏教は信じていますというはあり得ない。師匠を変えるというのはあり得る。親鸞も法華堂で20年間修業して後法然に出会い師を変えている。
高野上人も法華経を大事にした。
永遠の仏に名をつけたのが阿弥陀仏。
念仏と法華経は元は仲良く併存していた。
一遍上人は不安を捨てて念仏する。親鸞上人は不安を持ちながら念仏する。どちらもよい。
日蓮よりも親鸞がよい親鸞よりも道元がよいなどという人は信心がわかっていない。好き嫌いはあってよいが優劣を論じるべきではない。そうめんと太麺の差だ。
子どもの時紀野氏は念仏の本を読んでいたら親父にこっぴどく怒られた。
納得がいったら信心するというひとは一生信心しないですね。わからんから面白い。真言もわからんから面白い。やるかやらんかですね。
高野聖は名前は立派だがゴマのはえですね。「高野聖に宿貸すな 娘とられて恥かくな」なんていう俗謡もあった。
日本のかつての水軍はすべて神様への貢物を得るために海賊するという建前になっていた。
河野水軍は河野道教が三島権現に供物。宗像水軍は熊野権現に。
16王子の9番目が阿弥陀仏で16番目が釈迦仏。
人間の業の足し算と引き算の話。人の人生は無数の前世の業を引き継いで生きている。うまくいっている時は業を足し算している。人生のいずれかで業の引き算をする時期がある。
美輪明宏も同じことを述べていた。
ただ座る ひたすら座る ただとひたすらは仏法と世法の差。
だだ仕事する ひたすら仕事する ただ愛する ひたすら愛する 後者は5年もやられると疲れる。
豪放磊落にふるまう禅僧を紀野氏はあんまり好きじゃないという、ひたすらなのが見えるから。
心身ともに放下して仏法で決定する。お坊さんでも遊ぶ人がいるがかまわない。いざとなると決定しているお坊さんであれば。
もつれとしこり 時間をかけてしこりをとくことは本当は楽しみなんです。道心がないと時間をかけてしこりをとくことはできない。
「なにか良いことをいうようなら聞いてやろう」そんな事なら来るな。仏法ではすべてよきこととして学べ。取捨選択するな。我見を捨てて学ぶ。学問ではない、生き方を教えるのだからこれくらい手厳しくやらないと教えではない。紀野氏の言葉。
三谷さんは西田天香の一燈園から満州に赴いた。戦後シベリアに送られ抑留されたた。美人の女性はシベリアでソ連兵に犯されて飛び降り自殺未遂した。
もう一人の将校はソ連の将校から顔つきが気に食わないと言われ、親からもらった顔だからしょうがないと言うとその将校は机の引き出しから拳銃を取り出し射殺した。
三谷さんはいつもソ連の将校に合掌していた。「お前はなぜ俺にそんな合掌をするのか」と問われた。「あなたのなかの神に対して拝んでいるのだ」と応えるとその将校はそれ以降三谷さんの顔を見るたびににこっと笑うようになった。
あるひ三谷さんはソ連の将校から「お前は病院へ行け」と言われた。処刑するばあいにそういう言い方をすることも多い。ああ、とうとう終わりかと観念した。しかし日本に送り返された。日本に帰国した後は経験を話して回った。そのなかでとある結核病院に話をしに行ったときのこと。
三谷さんの話 ある結核病院で講演をした。院長がある少年に話をしてやってくれという。院長に馬鹿野郎と言う。俺は死にたいという。三谷さんを最初は受け付けない。出て行こうとすると後ろから凄い目で睨んでいる。それで淋しいんだなとわかった。
少年は大工の父と母の間に生まれたが父は妊娠すると母を捨てて出て行った。母は産褥熱で死んだ。飲食店に預けられて出前の残りもので食いつなぎ、家出をしてお宮の軒下などで生活していた。保護されたときは重度の結核に掛かっていた。
三谷さんが院長と連れ立って少年の病室に行くと、「俺は死ぬんだ。なんにも聞きたくない」という。じゃあしょうがないですねと院長が三谷さんと部屋を出ようとすると少年が三谷さんの顔を凄い形相で睨んでいる。三谷さんは「ああ、少年は俺に話したいんだな」と感じた。
院長に話して少年に付き添うことにした。
三谷さんが付き添っていると少年は出された飯を食い、三谷さんに晩飯の残りを食えという。結核菌が気になったが喰わないとこちらの言うことを聞いてくれない。そこで最初の人さじをやっとの思いで食べる、二さじ目もやっと。とあとは自然に食べることができた。最後のお椀はうまかった。
少年は心を開いたのか「おっさん、なにか話してくれるか」と言われた。
三谷さんは「お前は死にたいというがな。人間はうまれてきたら一つだけすることがあるんや。お前は周りに死にたいとか言わずに黙って死んでいけ。それがこの世でお前にできるその一つや」という。
少年はやっと心を開いた。「俺は親に意見されたことはない。意見してくれる親がいるということは大変ありがたいことや。おっさん、俺が死んだらそれを皆に話してやってくれ」という。
その子は結核性の痔ろうで肛門が出ている。三谷さんはそれを新聞紙で中に入れてやる。血痰を伴う咳をする少年の背中を一晩中さすってやる。翌朝三谷さんが部屋を出ようとすると少年は「おっさん、帰るな」という。
三谷さんは人は別れがつきものだと少年にさとす。院長室へ行くと豪華な朝ごはんが出ていた。あの少年の食事をみたらこんなごちそうは申し訳ないといって御飯と香の物だけ箸をつけた。これじゃあ院長も食べられませんわな。
院長と話していると看護師が呼びに来た。看護師はいつも馬鹿野郎とかいうのににこにこしているので少年にわけを聞くと「今日はご機嫌なんだ」と少年は言う。そうしてふと振り返ると少年は布団の中で静かに手を合わせて死んでいたという。
「誰にも知られずに静かに死ぬのがお前ができるたったひとつのことだ」との教えを守ったんですね。三谷さんは少年に手を合わせることは教えていない。少年は自らの意思で手を合わせて死んだ。
「お前は誰にも知られずに静かに死ぬのがお前ができるたったひとつのことだ」とは誰も言えませんね。三谷さんが言ったのではなくほとけさんが言わせたのだと紀野一義は言う。
凄みのある話だ。
パスカルと親鸞
親鸞は法然にあうまでは地獄を覚悟していた。法然で浄土に賭けることにした。1かゼロである。この潔さが大事。
パスカルの賭けは好きではない。どっちにころんでもゼロではないなどは賭けではない。
人生に一度は賭けがある。
善鸞は親鸞と入れ替わるように関東に来て「わたしだけが知っていることがある」「念仏だけでは救われない」と異端を唱えた。
関東の信者が京都の親鸞の元へ集団で訪れ、善鸞のことを問うた。
疑うなら「疑問があるなら興福寺の僧に問え」と応える。
この世はゼロであり仏の世界だが一をつまり一点を信じてほとけの世界に入っていく。
あるひとが来てかみさまとほとけさまはどうちがうのか。
あんたのほうの神様は高いところにいておいでおいでと。わたしのほとけさまは同じ位置にいて背中を押してくださる。
みずすましの波紋のようなものだ。うしろに三角形に波紋がひろがり池一杯になる。そのようにうしろを押してくださる。
親鸞上人が法然上人にであうというのは説明がつかない。説明のつかないことを弥陀のはからいと言われた。
ある弟子が離れて行った。他の弟子が持って行ったものを取り戻せといったところ、わたしの弟子ではない仏の弟子だ、捨てれば誰かが拾ってほとけの弟子が増える。こんな有難いことはない。親鸞は弟子を一人ももたない。
今の僧はみんな自分に従うものを弟子だと思うが間違っている。
親鸞は六角堂で夢を見た。奥さんになるひとは観音様の化身である。39年後に奥さんの方は親鸞が亡くなったときに娘が本当に観音様の化身かと尋ねたとき、疑うなと手紙を書いた。夫婦でお互いに観音の化身だと思っていた。
顔をみたくなる。手紙は情に溢れている。日蓮上人の手紙。手紙は書き直さないほうが人の心を打つ。佐渡にあしかけ5年いた。涙をこぼす情 こぼさない情がある。
これから何十年いきるか知りませんが商売がうまくいったところで金が動いていくだけのこと終わってしまえばまあむなしいもんじゃ無いでしょうかねえ。
法華経が哲学を生み、詩を生み、そして商売の根底にあればそれはすばらしいものになるんじゃないでしょうか。
日蓮上人は命を龍ノ口で落としたと思い定めた。紀野氏は3度死にかけた。信管を抜くのがほんの一瞬遅ければ爆死で、指に刺さったことや機銃で攻撃を受けたことで俺はあのとき死んだんだという気持ちと、絶対に死なないという思いが降りてきた。日蓮上人も同じ気持ちだったのではと思いますね。あれだけ腹の座ったお方は凄いですね。
航海でも一隻だけ生き残った。こうなりますとわたしの命はあのとき死んだんだなと思うのは当たり前じゃないでしょうか。今生きているのは儲けものだと思うことは幸せなことではないでしょうかね。
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