まさおレポート

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ミス ポター 湖水地方の記憶

2008-04-30 | 紀行 USA・UK・FR・BCN・GVE・AUS・DEU

「ミス ポター」はレニー・ゼルウィガーの名演技で見応えがあった。ピーターラビットの作者ポターの伝記を映像化したこの作品は、ストーリーも十分楽しめたが、イギリス・ウィンダミア湖水地方の風景の美しさに息をのむ。

18年前にこの地を訪れたときのことを思い出した。ロンドンから列車に乗り込むと一時間ほどで街の雑踏を離れる。そこからは美しい田園風景が続いていたような記憶がある。ロンドンからわずか1時間でこんなに美しい静かな郊外にでるのかと驚いた記憶が未だに鮮明によみがえる。

向かいの席にすわった太った大柄な男がビールをぐいぐい空けて酔っぱらい、大きなゲップをして周りの人々の顰蹙を買っていたのまで、ついこの間のように思い出す。

どの程度列車に乗っていたかは忘れたが、5,6時間も乗っていただろうか。ウィンダミアに着いて宿探しをした。B$Bの中の手頃なところに泊まったが、屋根裏風の狭い部屋で鍵が壊れていてドアが開かなくて困った。

なだらかな丘陵地帯に牧草と草花が咲き乱れる風景は、この世界に見るべき風景がいくつもあることを予感させてくれた。詩人ワーズワースがこの地に住んで詩作にいそしんだことは知っていたが、あいにくピーターラビットの作者がこの地に住んだとは知らなかった。ピーターラビットそのものは幼い頃の娘の本棚にあり知ってはいたのだが作者ビアトリクス・ポターの名前も知らなかった。

このポターの住んだ家は保存されており、観光コースにもなっている。しかしひょんな偶然がなかったらこの家は訪れなかっただろうなと、旅先のちょっとした出来事を思い出す。この湖水地方をぶらぶらしてバスに乗り込んだ。すると隣に日本人女性が座った。彼女は英語でこのバスの行き先を尋ねてきた。私はとりあえず英語で受け答えをしたのだが、あまりに日本人英語だったのだろう。自分の勘違いとその返事ではじけたか、しばらく笑いが止まらなかった。

彼女は看護婦で看護婦発祥の地であるイギリスに研修に来ているのだがその合間にこの地に来たのだという。湖水地方に来たのはポターの家を見たかったからだと説明してくれた。それで初めて彼の地が彼女の住んだ土地として著名であることを知った。

ポターの家の内部を見学したがその印象の記憶はとうに薄れてしまった。彼女の愛用の文具などがあったように記憶している。家族への土産にその家でなにか絵本を買った記憶があるが、それはワーズワースの家で買った詩集とともに今どこにいってしまったのか残念ながら見あたらない。

3週間前に町田の本屋に出かけたときに、ふとピーターラビットの飛び出す絵本が目に入った。英語版だがその絵の美しさに惹かれて買い、1才7ヶ月の孫へのプレゼントにした。今宵この「ミス・ポター」を見て、その絵の美しさが幼い娘に買い与えた30年前や18年前に彼の地で見たポターの絵の印象より一層魅力的に感じた。絵の印象も時の経過のなかで育つものらしい。


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