![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/59/a8dcd9e653911cc5379396cc31fcff42.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/52/2278758f3f6251d9c0ce5f758ddef1c6.jpg)
スカラ (Sekala):これは「見える世界」を意味します。物理的な現実、つまり我々が五感を通じて経験することができるすべてのものが含まれます。自然、人々、建物、物体など、目に見え、手に触れられるもの全てがスカラに含まれます。
ニスカラ (Niskala):これは「見えない世界」を指します。我々の五感では捉えることのできない霊的、精神的、超自然的な現象や力がここに含まれます。これは神々、精霊、魂、マジック、カルマ、運命、エネルギーなどの概念を包含します。
スニア (Suniya):これは「静寂」または「無」を意味します。スニアは絶対的な平和や安らぎ、絶対的な静けさ、究極的な真理を指す概念です。
彼らの宗教的な儀式、芸術、建築、社会の組織など、生活のあらゆる側面に反映されています。
また、絵画はスカラ、つまり「見える世界」の描写にも使用されます。バリ島の風景、人々の日常生活、祭りや儀式などが描かれます。
スニア「静寂」または「無」の概念は絵画を通じて霊的な平和や調和の概念を反映している。
仏教の「空」は、全ての事象や存在が常に変化し、固定的な自己性を持たないという考え方を表しています。この概念は、仏教の四諦(苦諦、集諦、滅諦、道諦)および無我の教義の中核をなすものです。空は、一切が互いに関連しながら存在し、それ自体で独立した存在を持たないという概念です。
一方、バリのスニアは、「静寂」または「無」を指す概念で、物質的な世界(スカラ)と霊的な世界(ニスカラ)の両方を超越した存在を指します。この概念は、究極的な平和、安らぎ、静けさを追求するバリ人の世界観を表しています。
バリのスニアと仏教の空の概念は、お互いに一見似ているように見えますが、それぞれが異なる文化的・哲学的な文脈から生まれたものであることを理解することが重要です。どちらも「無」や「絶対」といった概念を表現していますが、それぞれの文脈での解釈は異なります。
バリのスニアと仏教の空の概念の違いを理解するための具体例として、それぞれの伝統での瞑想の実践を考えてみましょう。
-
バリヒンドゥー教のスニア: バリヒンドゥー教の実践者は、祭りや儀式の中で、スニアと呼ばれる究極的な静寂や平和の状態を追求することがあります。これは、音楽、踊り、祈り、瞑想などを通じて達成されることがあります。スニアの状態は、物質的な世界(スカラ)と霊的な世界(ニスカラ)の両方を超越した存在を示すものとして理解されます。これは、宇宙との一体感や究極的な調和の状態を指すかもしれません。
-
仏教の空: 一方、仏教の実践者は、瞑想を通じて「空」の理解を深めることがあります。空とは、全ての事象や存在が常に変化し、独立した自己性を持たないという概念です。瞑想の中で、実践者は自己と外界の境界が曖昧になる体験を通じて、この無自我の状態や一切が相互依存していることを実感することがあります。
音楽:バリ・ガムラン(金属楽器によるアンサンブル)は、儀式中の神聖な音楽として重要な役割を果たします。これらの楽器の調和のとれた音色は、参加者をより高い精神的な状態へと導くのに役立ちます。
踊り:バリの伝統的な踊りは、神々や霊的な存在への敬意を表すために重要な役割を果たします。踊りの動きとリズムは、物語を語り、参加者を神聖な経験へと導きます。
祈り:祈りは、個々の信者が直接神聖な存在と対話し、感謝、願い、祈願を伝える手段です。祈りは静寂と内省の時間を提供し、個々の信者が自己を超越してスニアの状態に接近するのを助けます。
瞑想:瞑想は、静けさと平和を追求し、自己を超越するための重要な手段です。瞑想を通じて、個々の信者は心を静め、霊的な現実への意識を深め、究極的な静寂と平和の状態であるスニアに近づくことができます。
これらの実践は、物質的な世界(スカラ)と霊的な世界(ニスカラ)を統合し、信者がスニアの状態に到達するのを助けるものです。スニアは、究極的な調和と平和の状態であり、それは世界と一体となり、全てが一つであるという実感をもたらします。
スニアは「究極的な静寂」または「無」を意味する非常に抽象的な概念であるため、スニアへの旅やその追求を象徴的に描くことで、この概念を表現するかもしれません。
「マハーバーラタ」は、インドの古代の叙事詩でインドの神々、英雄、哲学を描いたこのエピックは、インドやバリ島の文化、宗教、社会に大きな影響を与えてきました。
クル族とパーンダヴァ族という二つの王家間の闘争と、その結果として発生する大戦です。物語の中で多くの神話、物語、教訓が織り交ぜられており、これらは人間の道徳、倫理、宗教的な責任についての洞察を提供しています。
マハーバーラタには「バガヴァッド・ギータ」という重要な部分が含まれています。これは、主人公アルジュナと彼の戦車の御者であり、実は神々の王クリシュナである者との対話を描いた部分で、ヒンドゥー教の主要な聖典の一つです。ここでは、人間の義務、倫理、瞑想、そして究極の真理について深く議論されています。
マハーバーラタの物語は、インドだけでなくバリでも広く知られています。バリでは、マハーバーラタのエピソードがワヤン・クリや舞踏劇(バリ・ダンス)などの形で表現されることがあります。
日常生活への影響: スカラとニスカラは、バリ人の日常生活の一部であり、行動、決定、儀式などに影響を与えます。例えば、家を建てる場所や新しいプロジェクトを始めるタイミングを決める際には、ニスカラ(霊的な要素)を考慮することが一般的です。
儀式と祭り: バリの儀式や祭りでは、スカラとニスカラの両方が重要な役割を果たします。物質的な供え物(スカラ)が神々や霊的な存在(ニスカラ)に奉げられることで、物質的な世界と霊的な世界の間の調和が図られます。
芸術と表現: バリの芸術、特に舞踏や音楽、絵画などは、スカラとニスカラの関係を表現する手段として使われます。これらの芸術作品を通じて、バリ人は物質的な世界と非物質的な世界の間の相互作用を理解し、その深い意味を表現します。
健康と病気: バリの医療観では、健康はスカラ(物理的な健康)とニスカラ(精神的な健康)の両方が調和している状態とされます。したがって、病気の治療には、物質的な治療法だけでなく、祈りや儀式といった霊的な治療法も一緒に行われます。
これらの例から、スカラとニスカラがバリ人の世界観と行動、そしてバリの文化全体にどのように影響を与えているかが理解できます。
スニアという概念は、「究極的な静寂」や「平和」を表すバリ・ヒンドゥー教の概念で、バリ人の信仰体系と日常生活に深い影響を与えています。以下はその具体的な影響の例です:
瞑想と精神的な実践: スニアは、個々のバリ人が究極的な平和や静寂を求めて瞑想や祈りを行う動機付けとなります。これらの精神的な実践は個人の内的平和を促進し、精神的な安定をもたらすと信じられています。
芸術と表現: スニアの概念は、バリの音楽、ダンス、劇、絵画などの芸術形式に影響を与えています。これらの芸術作品を通じて、バリ人はスニアという概念を視覚的、音楽的、動きの形で表現し、感じることができます。
儀式と祭り: バリの宗教的な儀式や祭りでは、スニアの状態の達成が一つの目標とされます。これは、静寂と平和の中で神々との繋がりを深め、神聖なエネルギーを感じることにより実現されます。
社会的な調和: スニアの概念は、個人だけでなくコミュニティ全体の調和にも影響を与えます。バリ人は静寂と平和を追求することで、個々人とコミュニティ全体のバランスを保つことができると考えています。
日常生活の決定: スニアの追求は、バリ人が日常生活の中での決定を下す際のガイドラインともなります。これは仕事、家族、友人との関係など、人生の様々な側面に影響を及ぼします。
以上のように、スニアという概念はバリ人の信仰体系と日常生活に深く根ざしており、個々の行動から社会全体の調和まで幅広く影響を与えています。
バリの芸術は、霊的な信仰体系と非常に密接な関係にあり、スニアという概念はその中でも特に重要な役割を果たしています。以下にその具体的な例をいくつか紹介します。
バリ舞踏: バリの伝統的な舞踏は、スニアの概念を体現する一つの手段です。ダンサーは精神的な状態に入ることで、観客に究極的な静寂と平和の状態を体験させます。これは独特な動きとリズム、そして深い集中力を必要とし、観客が舞踏の中に存在する静寂と平和を感じ取ることを可能にします。
ガムラン音楽: ガムランとはバリの伝統的な打楽器アンサンブルで、バリの祭りや儀式でよく演奏されます。ガムラン音楽はしばしば瞑想的なリズムと旋律を特徴とし、聴衆をスニアの状態へと誘導します。ガムラン音楽は、一種の音楽瞑想としても機能し、静寂と平和の体験を深めることができます。
バリ絵画: バリの伝統的な絵画もまた、スニアという概念の視覚的表現を提供します。バリ絵画にはしばしば神聖なテーマや物語が描かれ、観る者が霊的な洞察や平和な心の状態を得ることを助けます。特に、色彩や形、線の使い方は観る者を静寂と平和へと導く独特の視覚言語を形成しています。
影絵劇 (Wayang Kulit): バリの影絵劇は、古代の物語を通じて道徳的、霊的な教えを伝えるための劇的な表現形式で、しばしばスニアの状態への到達を描き出します。登場人物の動きや物語の展開、音楽と語りによって、観客はスニアへと導かれます。
これらの芸術形式は、観る者がスニアという概念を直接体験し、理解するのを助けるとともに、観る者が自身の内なる静寂と平和を発見する機会を提供します。
バリ・ヒンドゥー教における「ニスカラ」と「スニア」は、両方とも霊的な世界や経験を表す概念ですが、その意味と使われ方は異なります。
ニスカラは、物質的で直接観察可能な現象や事物を超越した、非物質的な、目に見えない領域を指します。ニスカラは、神々、霊、エネルギー、感情、思考、意識など、物質的世界を超越した存在や経験を含みます。ニスカラの領域は、祈り、瞑想、儀式、祭りなどの霊的な実践を通じて体験され、理解されます。
一方、スニアは、「究極的な静寂」や「平和」を指す概念で、これはバリ人の信仰体系と日常生活に深い影響を与えています。スニアは、個々のバリ人が究極的な平和や静寂を求めて瞑想や祈りを行う動機付けとなる。
ニスカラは物質世界を超越した霊的な領域を指し、スニアは究極的な平和や静寂を指す概念で、その実践と表現方法は異なります。