3年前に購入したまま見ていないDVDがバグダッドカフェだ。何が動機で購入したのかも忘れた。購入した直後に見ようとして出だしで退屈して他のDVDに変更したことは覚えている。奇妙なDVDのジャケットで不思議に気にはなっていた。
午後になって疲れたのでこの映画を見た。最初から今回は入って行けた。奇妙なユーモアに引き込まれていく。途中から主人公の超太めの女が輝きだす。ジャックパランスの絵かきがこの女の肖像画を描くのだが、最初はイモ臭くそのうち見ている方とジャックパランスの目が一体になって、この女マリアンネ・ゼーゲブレヒトが美しく見えだす。最後には上半身ヌードまでさらすが、輝いて見えるようになる。
パーシー・アドロン監督の手中にはまってしまった。肖像画が輝いて見えるのと同時進行で店は彼女の手品と演出で繁盛する。陰気くさいコメディーがいきなりミュージカルタッチになり、見ている方は乗せられている快感にしびれる。こんな映画をもっとみたい。
この映画の中で唯一知っているのはジャックパランスで、「シェーン」は中学生の時、「モンテ・ウォルシュ」は数年前に見た。主人公アランラッドの敵役であったが黒ずくめが印象深い。実に息の長い俳優だった。この70男が「バグダッドカフェ」では老画家を演じ、太った女にプロポーズする言葉「ビザのいらない方法がある」は笑わせて泣かせる。
ジャックパランスは昨年87歳でなくなった。「シェーン」が9歳のころ作られ、シェーンカムバックのセリフが忘れられない映画であった。その後もときおり映画で彼を見かけるたびにこの映画と、降る年月を感じさせてくれる俳優であった。