「1900年」の中で一日の農作業を終えた小作農たちが夕食を食べる。このシーンが海岸沿いのイタリアンレストランで食事中にふと脳裏に蘇り、これが恐らく今までに見た映画の食事シーンの中では最も食欲をそそるものではなかったかと確信に近いものを感じた。
この映画は上映時間が300分以上ある長いもので、面白くていまだに強く印象が残っている。イタリアの20世紀初頭から1945年の第2次世界大戦終了までを3人の男の人生と歴史をからませて描いたものだ。ロバート・デ・ニーロ=アルフレード・ベルリンギエリ(ジョヴァンニの息子のほう)役、ジェラール・ドパルデュー=オルモ役の二人にドナルド・サザーランド=アッティラ・メランキーエ役が加わってあきさせない。
イタリアの農地解放以前の農民の生活を描いているので小作農の食事風景が出てくる。広い納屋のような食堂で皆が食事をとる。ワインに大きなチーズの塊をナイフで削り取るその一片のでかいことが一日の労働の激しさを物語る。におってくるような大きなパンにたしかスープも。
冬の厳しい寒さに備えて豚を一頭屠る。その肉をハムやソーセージにして貴重な動物性たんぱく質にする。一頭の豚は極めて貴重に扱われる。ある人が作りたての貴重なサラミをプレゼントする。このときほどサラミがうまそうに、また貴重に見えたことはなかった。