これまでの通信政策特別委員会における外資規制の意見が4案示されている。
第4回 通信政策特別委員会 事務局説明資料 外資等規制について 2023年9月25日 総務省 総合通信基盤局
- NTT法の外資規制については、外為法とは目的と手段の両方に違いがあることに留意して検討することが必要。
- 外為法の規制対象は外国投資家であり、日本の投資家ではないため、情報通信インフラを守る上でNTT法の役割は大きい。投資規制強化は資金調達の支障を生じ、経済活動を阻害しうる。外為法と個別法の両方が必要ではないか。
- NTTが公社から承継した電柱・管路等の設備は、競争事業者が持ち得ない「特別な資産」であり、その安定的提供のため外資から保護する必要がある。
- 外国人の株式取得制限は安全保障上の観点からも重要であり、外為法の強化等を検討することが必要と考える。なお、 他の電気通信事業者やその他の分野の重要インフラを担う事業者も同様に産業全体で対応していくべき問題。
情報通信インフラを守る上でNTT法の役割は大きいのでNTT法の廃止でも外為法で国が守れるのかということで妥当な意見だ。
NTT法の役割は外資3分の1規制だ。
1 日本電信電話株式会社は、(a)から(c)までに 掲げる者により直接又は間接に占められる議決権の割合の合計が3分の1以上となるときは、 これらの者を株主名簿に記載してはならない。
(a) 日本国の国籍を有しない自然人 (b) 外国政府又はその代表者
(c) 外国の法人又は団体
2 日本国の国籍を有しない自然人は、日本電信 電話株式会社、東日本電信電話株式会社及び 西日本電信電話株式会社の取締役又は監査役 に就任してはならない。
それでは外為法ではどうか。
外国為替及び外国貿易法
(目的)
第一条 この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、も つて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
必要最小限の管理・調整を行う場合に必要な発動要件は、それぞれの取引・支払等ごとに定められている。 財務大臣及び事業所管大臣(総務大臣など)が当該取引の内容等について、「国の安全を損なう等のおそれ」がないかどうか あらかじめ審査する。
なんでも審査するわけではない。指定業種(事前届出対象業種)に指定された業種であり、電気通信事業はもちろんカバーされる。議決権割合が1%以上となる場合等に対して事前届出を義務付けているのでNTT法外資3分の1規制に倒して網の目は広い。
最大の懸念は財務大臣及び事業所管大臣(総務大臣など)が当該取引の内容等について、「国の安全を損なう等のおそれ」がないかどうか あらかじめ審査する能力集団をどう機能させるかにかかってくるがこれは期待する他ないだろう。
とかく省益あって国益なし特に天下り先に最大の関心がある官庁の宿痾をみてきた一人として国の大事に縦割り行政の悪弊を一掃してほしい。
ボトルネック管理については経済安全保障推進法で外資の脅威に関しては外為法の運用で対処していくのが妥当だろう。いずれもガイドライン的な基準を策定していく必要がある。
参考
日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和五十九年法律第八十五号)
(外国人等の取得した株式の取扱い)
第六条 会社は、その株式を取得した次に掲げる者から、その氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することの請求を受けた場合において、その請求に応ずることによつて第一号から第三号までに掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者に より第四号に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省令で定める割合とを合計した割合(以下この条において 「外国人等議決権割合」という。)が三分の一以上となるときは、その氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録してはならない。 一 日本の国籍を有しない人
二 外国政府又はその代表者
三 外国の法人又は団体
四 前三号に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体
2 会社は、社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第百五十一条第一項又は第八項の規定による通知に 係る株主のうちの前項各号に掲げる者が各自有する株式のすべてについて同法第百五十二条第一項の規定により株主名簿に記載 し、又は記録することとした場合に外国人等議決権割合が三分の一以上となるときは、外国人等議決権割合が三分の一以上とならな いように当該株式の一部に限つて株主名簿に記載し、又は記録する方法として総務省令で定める方法に従い記載し、又は記録するこ とができる株式以外の株式については、同項の規定にかかわらず、同項の規定による株主名簿の記載又は記録をしてはならない。
3 前二項に規定するもののほか、会社は、その発行済株式の総数が変動することとなる場合においても、外国人等議決権割合が三 分の一以上とならないようにするために必要な措置を講じなければならない。
4 会社は、会社法第百二十四条第一項に規定する基準日から総務省令で定める日数前までに、総務省令で定める方法により、その 外国人等議決権割合を公告しなければならない。
日本電信電話株式会社等に関する法律施行規則 (昭和六十年郵政省令第二十三号)
(間接に占められる議決権の割合)
第四条 法第六条第一項に規定する間接に占められる議決権の割合として総務省令で定める割合は、会社の議決権の割合の十分の一以上を
占める同項第四号に掲げる者(以下この項において「法人又は団体」という。)が直接占める会社の議決権の割合に、外国法人等(同項第一号 から第三号までに掲げる者であつて、当該法人又は団体の議決権の割合の十分の一以上を占めるものをいう。以下この項において同じ。)の 当該法人又は団体に対する議決権の割合(外国法人等が二以上あるときは、当該二以上の外国法人等の当該法人又は団体に対する議決 権の割合を合算したものとする。)を乗じて計算した割合とする。この場合において、法人又は団体が二以上あるときは、当該二以上の法人又 は団体につきそれぞれ計算して合算したものとする。
2 法第六条第一項第四号の総務省令で定める割合は、一の者について十分の一とする。
(株主名簿に記載し、又は記録する方法)
第五条 法第六条第二項の総務省令で定める株主名簿に記載し、又は記録する方法は、次に掲げる方法により記載し、又は記録するものとする。
一 法第六条第一項第四号に掲げる者のうち、その者が占める会社の議決権の割合が十分の一未満であるものが有する株式については、そ のすべてについて記載し、又は記録する。
二 外国人等(法第六条第一項第一号から第四号までに掲げる者をいう。以下この条において同じ。)のうち通知を受けた時点の株主名簿に 記載され、又は記録されている者(前号に規定する者を除く。)が有する株式については、当該名簿に記載され、又は記録されている株式の 数と通知に係る株式の数のうち、いずれか少ない数(以下この号において「記載・記録優先株式の数」という。)を当該外国人等に係る株式の 数として一株単位(単元株式数を定款で定めている場合にあつては、一単元の株式の単位。以下同じ。)で記載し、又は記録する。この場合 において、外国人等議決権割合が三分の一以上となるときは、外国人等議決権割合が三分の一以上とならない範囲内で、記載・記録優先 株式の数に応じて一株単位で案分して計算することにより記載し、又は記録する株式を特定し、なお残余があるときは、一株単位の抽せんに より記載し、又は記録する株式を特定して記載し、又は記録する。
三 第一号及び前号前段の規定により記載した、又は記録した場合においてなお外国人等議決権割合が三分の一に満たないときは、外国人 等が有する株式のうち第一号及び前号前段の規定による記載又は記録がされなかつたものについて、外国人等議決権割合が三分の一以 上とならない範囲内で、その数に応じて一株単位で案分して計算することにより記載し、又は記録する株式を特定し、なお残余があるときは、 一株単位の抽せんにより記載し、又は記録する株式を特定して記載し、又は記録する。
2 会社は、前項の規定により株主名簿に記載しない、又は記録しない外国人等が有する株式がある場合においては、その株式を有する者に対 し、記載しない、又は記録しない旨を通知しなければならない。
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