「まぼろしのサハリン」
6月4日、暗い記事の多い朝刊にうれしい記事が一つあった。「サハリン島と大陸を結ぶ鉄道を2016年に着工」する方針。さらに北海道~サハリン~大陸、完成はいつになるかは書かれていない。「あゝシベリア鉄道の旅」
★宗谷岬に立ち尽くせども現れぬこの海原のかなたのサハリン
※昨年の今日の今ごろ私は宗谷岬に立っていた。サハリンを見たかった。たった42キロ先、いや42キロも先の島。かなたはどこまでが海か空かわからない。茫々とした空間。
★聞かずともよきことを聞く「昨日はここからサハリンはっきり見えた」
※「きのうは此処からよく見えてキレイでしたのに」と現地のガイドさんに言われると私はいかにも運の悪い女に思えてしまう。
★花の名のようにも聞こえるサハリンは俯く枝に白き花唇の
※サハリンって北国に咲く白い花ではないかしら。花びらが少し垂れたやさしい花。
★星の名のようにも聞こえるサハリンは春の星座のなかの綺羅星
※「サハリン星」ってありそうな気がする。4年前に世を去ったあの人が住む星。
★美少女の名にも思えるサハリンのひとみは時おり遙かかなたへ
※サハリンちゃんは、ほっそりした色白の美少女。海辺に立って彼方を見ている。北海道へ行きたいなあ。宗谷岬はどこかしらと彼女は彼方を見ている。そのとき私は宗谷岬に立っていたのだ。気温は4度、6月なのにまだ冬の、去年の今日の今頃の宗谷岬。 松井多絵子