「毎日歌壇6月17日」
<米川千嘉子・選>
★近くきてマウスの操作を教わりぬクリックに匂う君の体臭
(倉敷市) 岩瀬順治
作者の傍らに寄りパソコンの操作を教えてくれるのは若い女性であろう。夏が近づけば女性は薄着、肌の露出が多くなる。マウスの操作は寄り添わなければ相手に伝わりにくい。「女がこんなにボクに体を寄せてもいいのか」と戸惑いながらもドキドキしているんですね。順治さん。
昨年の7月から私は「パソコン教室」へ約4か月通いましたので察しがつきます。マウスの操作には散々悩まされました。画面の矢印が蚊のように小さく見え隠れして、それを追い、捉えるためにクリック。視力や反射神経が衰えている私にはやれやれな作業でした。教室は老人が多く若い女の先生たちは大変でしょう。しかも先生たちの言葉がていねいすぎるのです。
「ここをクリックしていただけますでしょうか」と度々おっしゃる。「ここをクリックしてください」でいいのに。パソコンはスピードを求められる。「変換のキーを押していただけますでしょうか」首尾よく押すと「ありがとうございます」と先生からお礼の言葉。教える者と教わる者との関係はシンプルが望ましい。つい余計なことを書きましたが「順治さんがんばってね」
6月19日 二泊三日の旅から昨夜帰りまだ竹田城の廃墟にいるような松井多絵子