えくぼ

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十個の老眼鏡

2013-06-15 14:03:01 | 歌う

           「十個の老眼鏡」

★地球のみの色かもしれぬさ緑をひきよせ離さぬわれの老眼
                  松井多絵子歌集『厚着の王さま』より

 ぱっちりした目ではないが私の視力は抜群だった。「デザインより性能」などと視力を自慢していたが、五十路の頃から老眼鏡なしには、まともに生きていられなくなってしまった。新聞も本も読めない、買い物も値札の3と8を見間違える。薬の説明書が読めない、郵便物の活字はまるで蟻の行列、やれやれである。
 現在はわが家の玄関、居間、寝室、机、本棚、パソコンの傍、そして台所、洗面所にまで老眼鏡を置いている。外出するときはバッグに2個、旅行は3個~4個も持ち歩く。はじめての老眼鏡は何万だったか、高価だった。いまは100円ショップのおかげで度の合った老眼鏡を常に10個
も傍に置くことができる。私のサポーターたちだ。

 昨年の今頃、歌人クラブ東京の会員たちと千葉の「佐太郎記念館」を訪れた。そのときメガネを置き忘れた会員がいて幹事さんが参加者40名に電話をかけたが持ち主は現れない。先日「古河文学散歩」のとき、幹事さんが「忘れものメガネ」を持参し会員たちに見せても皆が「さーねー」だった。Aさんが「それは百円ショップのメガネみたい」と言い、彼女も私と同様に家のあちらこちらに置いていることを知った。Aさんだけではない。「私も」「私も」という会員が続々。

製薬会社さま 薬の説明書の活字はできるだけ大きく太文字にしていただけませんか。
       6月15日  降るはずが降らない午後 松井多絵子