・・・ 地球そぞろ歩き ⑦ ・・・
♠ むかしむかしすれ違うたびときめきし光の君を今夜も避ける 松井多絵子
昨日の午後、わたしは平安時代を彷徨っていた。千年も前の源氏物語絵巻をそぞろ歩き。いま、五島美術館で国宝の源氏物語絵巻が展示されている。平安時代中期に紫式部により書かれた長編物語。美男貴族・光源氏の恋愛をめぐる人生模様。さまざまな女の描かれた物語を読んだのは二十歳ごろだったか。現代語で読みやすく若い女たちに人気だった。当時のアメリ的文化に飽きた私たちが雅な平安時代を懐かしんだのかもしれない。
毎年GWに特別展示される五島美術館所蔵の源氏物語絵巻は「鈴虫・夕霧・御法」など。展示室2 で見ることが出来る。5月10日まで。千年の時空を超えた絵巻が目の前に広がる。長い黒髪の十二単の女はほとんど俯いている。流れるような毛筆の歌、わたしのワープロの歌を紫式部にお見せしたい。烏帽子の男も巻ものを読んでいる。彼女からのラブレターか。何ともノンキで優雅な世界だ。でもこれは貴族の生活。庶民は 「働けど働けど」 だっただろう。
美術館の庭園を歩く。「ムラサキシキブ」と書かれた50センチ位の痩せた木、というより野草が若葉を広げている。園内は新緑に覆われていて、隣駅の二子玉川の高層ビルは見えない。急傾斜の道には赤いサツキが咲いている。時々電車の通過する音が聞こえるが電車は見えない。森のなかを独りでそぞろ歩き、そして古墳の前に来ていた。
♠ 鈴虫のなきごえ小さくなってきた母に会わねば御墓の母に
鈴虫はまだ土の中か、秋のはじめの虫ではないか。先ほど見た国宝源氏物語絵巻の鈴虫の鳴きごえかもしれない。平安時代から現代に戻ったのは4時50分だった。
昨日の歩行は8446歩、5.4km 消費カロリー 176kaL 脂肪燃焼 12g
5月2日 半袖のTシャツを着ている 松井多絵子