~ 震えている巴里 ~
♦ シャンゼリゼに住む人々はみな長者そんなことない風は冷たい 松井多絵子
昨日のパリは悪夢だ。日本では14日早朝だが、パリでは13日の夜の大惨事。同時多発テロによる犠牲者は120人以上。フランスが近年、中東やアフリカで軍事介入姿勢を強めることが原因らしいが何ともヒドイ暴挙だ。テロは絶対許せない。何とかならないか。
地球でもっとも素敵な処パリが、もっとも恐ろしい処になってしまった。近畿日本ツーリストによると、同社の旅行などでパリにいる邦人は600~700人。全員無事らしい。しかし14、15日発のパリ行きのツアーは中止した。日本旅行は15、16日のツアー、JTBも取りやめた。行けない方たちは、まるで目の前の豪華なバイキング料理が、不意に消えてしまって、空腹なままとり残されたみたいではないか。パリへは初めての人、これが最後のパリとなる人などの悔しさ。私もあの世へ行く前にぜひ行きたいのに。
♦ 赤く赤く熟していたり、わが前に横たわる裸婦、ルノアールの裸婦
いまパリやその周辺の黄葉は散りはじめているだろう。でも葉を捨てた木々の間に間に見える大理石の館は古き良き時代を想わせる。シャンゼリゼ通りはすでにXmasか。、気温は低く暮れるのは早いが、真冬のツアーの料金はとても安い。私が初めてパリに行ったのは半世紀前の1月、ルーブル美術館やらベルサイユ宮殿など寒さに関係なく巡り歩いた。
♦ メモをせず写真も撮らずひもすがらセーヌの流れを眺めていたり
自由行動で5月のパリに3週間滞在したときは辺りが新緑でパリが若々しかった。しかし急に寒波が襲い寒い日が続いた。セールのジャケットやマフラーを買ったら、その後は夏のようにやや暑くなり気温の変化の激しさの戸惑った。地下鉄の中は寒くも暑くもない。地下鉄のマップを見ながら時々一人で歩きまわったがトラブルに巻き込まれたことはなかった。女盛りだったのに、私はオイシイ女ではなく、ビンボーに見えたのかしら。
♦ いま空も傷ついている、エアバスの過ぎりしのちに白き疵跡
11月15日 松井多絵子